半導体業界は電子デバイスの販売不振の影響を大きく受け、世界的な成長鈍化に直面している。電子デバイスメーカーは、足元では、依然としてコロナ禍に伴う半導体供給不足に対応するために積み増した在庫を通常在庫へ戻す調整プロセスを継続している。過剰在庫の度合いは需要家ごとに多様ではあるが、従来モデル完成品と部品在庫の過剰解消の見極めが出来ず、新規モデルの開発に消極的な需要家が依然として多い状況である。
監視カメラシステム、車載カメラシステムを含む電子デバイスメーカーの多くにおいても同様で、「2023年新モデル」の開発に着手する完成品メーカーは限定的である。テックポイント・インク<6697>の新製品であるCMOSイメージセンサー、ドアフォン向け半導体についても、一部のメーカーで機能評価は終わっているものの、新モデルの開発には慎重な状況である。
ファウンドリー業界の世界最大手であるTSMCにおいても、従前は2023年12月期第2四半期下期から市場の回復を見込んでいたが、回復速度が遅く、リバランスまでには第3四半期まで要するとの見解を示している。なお、足元の世界的なインフレ・金融引き締めに伴う世界経済の低迷、中国の景気悪化などから、回復がさらにずれ込むことも想定されるが、BYDなどがグローバル成長を加速させており、車載向け及び産業機器向けは旺盛な需要が継続すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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