テックポイント・インク<6697>は、HD監視カメラシステムと自動車用インフォテインメントシステム(情報の提供(インフォメーション)と娯楽の提供(エンターテインメント))を対象とした独自のHDビデオ接続技術を開発しているファブレス半導体メーカーである。米国に複数の設計拠点と、中国、台湾、韓国、日本の各地にオフィスを持ち、ターゲット市場において最先端の技術を確立している。直近では、画素数が800万画素の4Kカメラ向けCMOSイメージセンサー用半導体のほか、ハイビジョン対応のドアフォン用半導体製品のサンプル出荷など、車載カメラシステム市場及び監視カメラシステム市場に向けて、付加価値の高い半導体製品を開発し提供している。
1. 2023年12月期第2四半期業績の概要(米国基準)
2023年12月期第2四半期業績(米国基準)は、売上高29,440千米ドル(4,269百万円:前年同期比11.0%減)、営業利益7,436千米ドル(1,078百万円:同21.9%減)、税引前四半期純利益8,390千米ドル(1,216百万円:同11.2%減)、同社株主に帰属する四半期純利益7,426千米ドル(1,077百万円:同12.4%減)となった。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の四半期純利益)は8,072千米ドル(1,170百万円:同13.8%減)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。
注:同社の財務会計は米国会計基準(US-GAAP)、米国ドル建てにて行われている。日本における同社の開示及び本レポートに記載する円貨の値は該当決算期末日における為替相場による換算値であって正規の財務会計の数値ではない。
2. 2023年12月期業績の見通し(米国基準)
2023年12月期の業績(米国基準)は、売上高62,812千米ドル(9,107百万円:前期比3.5%減)、営業利益16,010千米ドル(2,321百万円:同17.3%減)、税引前当期純利益18,010千米ドル(2,611百万円:同8.1%減)、同社株主に帰属する当期純利益16,209千米ドル(2,350百万円:同8.2%減)を見込んでいる。また、Non-GAAP指標は17,840千米ドル(2,587百万円:同7.6%減)を計画している。
3. 事業環境
半導体業界は電子デバイスの販売不振の影響を大きく受け、世界的な成長鈍化に直面している。電子デバイスメーカーは、足元では、依然として新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う半導体供給不足に対応するために積み増した在庫を通常在庫へ戻す調整プロセスを継続している。世界中の半導体需要が集まるファウンドリー業界の世界最大手ある台湾積体電路製造(TSMC)においても、従前は2023年12月期第2四半期から市場の回復を見込んでいたが、回復速度が遅くリバランスまでには第3四半期まで要するとの見解を示している。世界シェアの6割ほどを占め、半導体の価格決定権を持つともいわれているTSMCの慎重な見方を鑑みても、世界経済の回復が予想以上に遅れている可能性がある。また、足元の世界的なインフレ・金融引き締めに伴う世界経済の低迷、中国の景気悪化などから、回復がさらにずれ込むことも想定される。ただし、AI(人口知能)向けや車載向け及び産業機器向けは旺盛な需要が継続すると弊社では見ている。
■Key Points
・2023年12月期第2四半期の業績(米国基準)は、顧客の在庫調整が続き前年同期比より減収減益
・車載カメラシステム向け半導体製品は新規顧客開拓や新機種向けの受注増により回復基調
・2023年12月期第2四半期は、上期に半導体需要が低調ななかでも、売上高・営業利益は第1四半期に対して増収増益
・供給不足への対応策で各社が積み増した在庫を通常在庫へ戻す調整プロセスが継続
・2023年12月期成長エンジンとなる新製品の業績は織り込まずも、達成確度は高い
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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