産業廃棄物とは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」及び「輸入された廃棄物」と定義されており、産業廃棄物以外のものが一般廃棄物とされる。総排出量は、一般廃棄物が年間約4,500 万トンに対して、産業廃棄物は年間約4 億トンと圧倒的に大きい(環境白書)。
一般廃棄物は市町村に処理責任があるのに対して、産業廃棄物は排出事業者に処理責任があるが、産業廃棄物を処理できる許可を受けた産業廃棄物処理業者へ処理を委託することができる。なお、産業廃棄物は、法律により21品目が列挙されており、取扱許可は品目ごと、施設ごとに取得しなければならない。
環境省が2013年4月に公表した報告書「環境への取り組みをエンジンとした経済成長に向けて」によれば、「廃棄物処理・資源有効活用」の市場規模は43.1兆円と推計されている。2009年にはリーマン・ショックによる景気後退の影響で落ち込んだものの、その後は堅調に推移している。全体的には底堅い市場とみることができるが、建設系産業廃棄物においては、建設業界の景気変動による影響を受けやすいところに注意が必要である。
もっとも、廃プラ輸出規制の影響により、足元では需給バランスがひっ迫する状況が見られる。すなわち、2017年末からの中国における廃プラ輸入規制に加え、バーゼル条約に係る会議(2019年5月開催)においても相手国の同意なしで、汚れたプラスチックごみを輸出することが禁止されたことや、深刻化が指摘される海洋プラスチック汚染問題の解決に向けた取り組みなどが背景としてある。それに伴って、高カロリー廃棄物がだぶつくとともに、処理可能数量の低減や外注委託費の高騰などの混乱を招いているものの、受入単価の見直しにより処理施設を保有する事業者にとっては追い風と言える状況となっている。
なお、産業廃棄物処理業者は全国で約11.6万(環境省ホームページ)に上り、産業廃棄物処理施設(2017年4月1日現在)も中間処理施設数が約19,018件、最終処分場が約1,783件であることから裾野の広い業界構造と捉えることができる。もっとも、環境省の「平成23年度産業廃棄物処理業実態調査」によれば、売上高の上位企業によってシェアが占められていることから、収集運搬業だけを行う零細事業者と資本力の必要な中間処理あるいは最終処理を手掛ける事業者の2極構造であるとともに、後者については、規模の経済が働いていることが考えられる。したがって、資本力の弱いところや後継者問題を抱える事業者を巡って業界淘汰が進んでおり、今後もこのような動きが加速される可能性は高いと想定される。
同社以外で産業廃棄物処理を行う上場会社には、専業として要興業<6566>、ミダック<6564>、タケエイ<2151>、アミタホールディングス<2195>、事業の一部としてアサヒホールディングス<5857>などが挙げられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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