AIAIグループ<6557>は、経営理念に「社会課題を解決し、世の中に貢献する」を掲げ、未就学期の子どもに関する事業として、東京・千葉・神奈川・大阪で保育・療育・教育の3つの「育」を一体的に提供し、3つの事業のシナジー効果を最大化させる「AIAI三育圏」を展開している。なおグループの業容の拡大や社会の環境変化を踏まえ、2024年度からグループ経営理念を改定した。
1. 認可保育園AIAI NURSERYと児童発達支援施設AIAI PLUSが主力
同社は東京都・千葉県・神奈川県及び大阪府で、認可保育園AIAI NURSERY、児童発達支援施設AIAI PLUSを主力として事業展開している。2024年3月期末時点の施設数はAIAI NURSERYが86施設、AIAI PLUSが20施設となっている。また、発達障害児童数が増加傾向という事業環境に対応し、職員が保育所等に訪問して療育サービス(保育所等訪問支援)を提供するAIAI VISITの展開を本格化させる。
2. 特色ある独自の幼児教育プログラムや「AIAI三育圏」のシナジーが強み
同社の「AIAI三育圏」の強みとしては、特色のある独自の幼児教育プログラムが高い評価を得ていること、千葉県・東京都・大阪市に集中したドミナント戦略によって効率よく展開していること、近年需要が高まっている未就学児の療育の分野においても豊富なノウハウと実績を有していること、保育・療育・教育の3つの「育」を一体的に提供する体制を自社内で構築していること、「AIAI三育圏」のシナジー効果によって高い生産性を実現していることなどがある。なお認可保育園の収益特性としては一般的に、新規施設開設時は費用先行や低在籍数・低在籍率で赤字だが、開設後3~4年目以降になると在籍数増加・在籍率上昇によって収益化(黒字化)する。AIAI PLUSはAIAI NURSERYと同じ建物で運営できるケースもあり、AIAI NURSERYに比べて投資額を抑えられることに加え、AIAI NURSERYとのシナジー効果で集客力や採用力の強化、戦略的な人員配置などにつながるメリットもある。さらにAIAI NURSERYは4月1日オープンを原則とするが、AIAI PLUSはオープン時期を自由に設定できるという柔軟性もあり、AIAI PLUSはAIAI NURSERYに比べて早期の収益化が期待できる。
3. 2024年3月期は計画を上回る大幅増収増益で着地
2024年3月期の連結業績は売上高が前期比9.2%増の11,818百万円、営業利益が同559.5%増の532百万円、経常利益が同111.8%増の875百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が353百万円(前期は506百万円の損失)だった。前回予想(2023年11月2日付修正値)を上回る大幅増収増益だった。2024年3月期末時点のAIAI NURSERYの合計園児在籍数は2023年3月期末比314人増加の4,792人、充足率は2ポイント上昇して95%となった。売上面では、新規施設として2023年4月1日付でAIAI NURSERYを5施設開設(うち1施設は定員数を拡大して移転)したほか、既存施設において園児数が順調に増加して充足率が上昇した。利益面は、保育士の処遇改善に伴う人件費増加などのコストアップ要因があったが、在籍数増加・充足率上昇効果に加えて、保育士の適正配置、施設運営や業務の効率化なども寄与した。なお営業外収益では補助金収入を431百万円(2023年3月期は450百万円)計上、特別損失では減損損失を363百万円(同549百万円)計上した。なお四半期別に見ると、営業利益は2023年3月期第2四半期に33百万円の黒字に転換した後、営業黒字が定着した状況となっている。
4. 2025年3月期は先行投資を考慮して営業・経常減益予想だが保守的
2025年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比2.4%増の12,100百万円、営業利益が同6.1%減の500百万円、経常利益が同31.5%減の600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.2%増の400百万円としている。新規開設はAIAI NURSERYが3施設及びAIAI PLUSが1施設(2024年4月1日に開設済み)の計画で、増収、営業・経常減益、最終増益予想としている。新規施設開設や既存施設における在籍数増加・充足率上昇効果により収益の拡大を目指すが、売上高については前期に比べてAIAI NURSERYの新規開設数が減少すること、2024年5月にAIAI Life Careの株式を譲渡して連結から除外することなどを考慮して小幅増収にとどまる見込みとしている。営業利益については人件費の増加、AIAI VISITの本格展開に向けた先行投資費用などを見込み、小幅減益予想としている。経常利益については、新規開設数の減少に伴って営業外収益に計上する補助金収入も減少するため減益予想としている。親会社株主に帰属する当期純利益については増益予想としている。全体として保守的な印象が強く、期末に向けて充足率上昇効果や生産性向上効果が期待できることなどを勘案すれば、弊社では会社予想に上振れの可能性があると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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