NITTAN、売上高は前期比+22%、営業利益は前期比+201% 原価改善とインフレ分の価格改定に加え、円安が追い風に
2024年3月期第2四半期決算説明
李太煥氏:みなさま、こんにちは。株式会社NITTANの代表取締役社長、李でございます。本日はご多忙の中、当社の2024年3月期第2四半期決算説明会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。また、Web上でご参加のみなさまにも厚くお礼申し上げます。
さて、直近の経済状況を見ますと、ウクライナ戦争、ガザ地区の戦争、予想をはるかに上回る円安、物価高、そして人材不足等、複合的な危機、いわゆる「ポリクライシス」に直面していると思われます。
また、当社が属している自動車業界は100年に1度の大変革期を迎え、先行きが不透明な状況が続いています。このような状況で企業はどう対処すべきかを考えたところ、まずは直面している課題に全力であたることが大切だと考えました。その上で、中長期経営ビジョンを掲げ、事業環境の変動に柔軟に対応しながら突き進んでいくことも大切だと思っています。
そこで当社は、この2点に軸足をおいて事業を進めてきました。本日はその内容についてご説明しますので、よろしくお願い申し上げます。
目 次
今回のご説明は、スライドに記載の3部構成で進めます。
第1部:当社概要
第1部は当社概要について、スライドに記載の7項目をご説明します。
1. 会社概要
会社概要です。2023年3月期の資料から変更はありません。
2. 沿革 since 1948
沿革についてご説明します。当社は今年で75周年を迎えました。75年間培ってきたコア技術を発展させ、「NITTAN Challenge 10(NC10)」を成功させることにより、さらなる事業領域の挑戦を続けていきます。
3. 事業領域
現在の事業領域は、スライドに記載の5つで構成されています。その他事業には、リフター事業、生産設備事業、水耕栽培によるアグリ事業が含まれています。
4. 生産拠点(国内,海外)
生産拠点についてです。国内に2拠点、海外に14拠点を設けています。
5. 売上高及び事業セグメント別比率
売上高及び事業セグメント別比率についてです。スライドには、2023年3月期の実績を示しています。主力の小型エンジンバルブの比率が81パーセントと高い状況ですが、今後は「NC10」開発アイテムの拡販により事業の多角化を進めていきます。
6. 国内・海外 主要お取引先様比率(連結売上高)
スライドのグラフは、国内及び海外の主な取引先別のシェアを表しています。国内においては、系列に属さない強みが表れています。海外では、地産地消のニーズに対応しています。
7. エンジンバルブ当社推定シェア(グローバル)
当社のグローバルシェアについてご説明します。各事業領域でトップシェアを持つお客さまと取引していることが、結果に表れていると言えます。
第2部:2024年3月期第2四半期決算及び通期業績見通し
第2部ではスライドのとおり、2024年3月期第2四半期の決算及び通期業績見通しについてご説明します。
1-1. 2024年3月期第2四半期業績総括
2024年3月期第2四半期の業績です。売上高は、半導体不足によるお客さまの生産調整が改善されたことで、前年同期比22パーセント増の248億4,100万円となりました。営業利益は、原価改善とインフレ分の価格改定に加え、円安も追い風となり、前年同期比201パーセント増の10億6,800万円となりました。
1-2. 事業セグメント別業績
事業セグメント別の業績です。小型エンジンバルブ事業は、各地域での受注回復と円安の影響により増収増益となりました。舶用部品事業も、補用部品の需要が増加したことで増収増益となりました。
歯車事業は、本格的な受注回復には至らず減収となりましたが、原価改善活動と価格改定により損失幅を大きく減らすことができました。PBW事業も受注は減少傾向ですが、原価改善と価格改定により増益となりました。
1-3. 所在地別業績
所在地別の業績です。日本では、お客さまの生産調整が改善されたことと価格改定により増収となりました。アジアでは、タイでの受注減少はあったものの、全般的に堅調な売上が維持され増収増益となりました。
北米では、現地の需要が急増し大幅な増収となりましたが、雇用問題がいまだに残っている状況です。欧州は新製品の立ち上げによって増収となり、黒字を取り戻すことができました。
1-4. 連結営業利益増減要因
連結営業利益の増減要因です。何といっても受注回復が大きく影響し、前期比で7億1,400万円増の10億6,800万円となりました。今後も原価改善活動を続け、利益拡大に努めていきます。
1-5. 連結貸借対照表
連結貸借対照表についてです。資産の部は、円安と株価上昇の影響を受け、前期末から51億2,800万円増加した620億3,500万円となりました。
負債の部は、下請法対応のために仕入債務が増加したものの、利益回復に伴い借入金の返済が進み、前期末から19億1,200万円増加した258億4,100万円となりました。純資産の部も円安を追い風に増加しました。
1-6. 連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローについてです。大幅な増収増益により、前期末から11億8,500万円増加した80億1,000万円となりました。
2-1. 2024年3月期通期業績見通し総括
2024年3月期の通期業績見通しについてです。全世界的な自動車生産の回復とインフレ分の価格改定により増収増益を見込んでいるため、10月31日に上方修正を発表しました。
なお、この見通しは期首の為替レートを据え置いて試算した結果ですので、円安が続けばさらなる増収増益が見込まれます。
2-2. 事業セグメント別業績見通し
事業セグメント別の業績見通しです。小型エンジンバルブ事業では、全世界的な自動車生産の回復により増収増益を見込んでいます。舶用部品事業は、受注が好調であるものの、先行投資と価格改定の遅れにより減益が見込まれています。
歯車事業およびPBW事業の見通しはスライドのとおりですが、この計画を必ず達成できるように努めていきます。
2-3. 設備投資・減価償却費
設備投資と減価償却についてご説明します。今期は前期に比べほぼ2倍の51億円を計画しています。こちらには前期からの繰越投資が約20億円、「NC10」関連投資が約8億円含まれています。
連結売上高に対する減価償却費の比率は9.5パーセントであり、当社の管理基準を下回っている状況です。また、複数拠点でソーラーパネルの設置を計画しているなどポジティブなものが多く、付加価値の高い製品への投資となっています。
2-4. 配当の状況
配当の状況についてです。すでに発表のとおり、中間で5円、期末で7円の計12円を予定しています。この場合の配当性向は28パーセント弱ですが、最終的には期末の業績見通しをもって増配も検討していきます。
第3部: 中長期戦略及び新たなトピックスについて
第3部では、中長期戦略及び新たなトピックスについてご説明します。
1. 中期経営計画
中期経営計画についてです。スライドには、2024年3月期の業績見通しを予測値として追記しています。その他の部分は、期首計画から変更はありません。
収益性や投資効率の改善が見られていることから、ROEは8パーセントを目指します。また、既存事業の安定的な営業利益を「NC10」の投資に回して収益性と投資効率を高め、PBRの改善にも努めていきます。
1. 中期経営計画 拠点別 売上高 & 営業利益率
中期経営計画の地域別計画です。日本国内は「NC10」アイテムの立ち上げにより、売上維持と利益向上を図っていきます。北米と欧州は、需要の変動に対応できる体制作りが急務であると判断しています。アセアンと中国では、安定的な利益が維持できるように努めていきます。
2-1. NC10(NITTAN Challenge 10)
「NITTAN Challenge 10」についてです。こちらは、NITTANの新しい中期経営ビジョンで、スライド下部に記載の4つの柱をもって進めています。前回は「VISION X」に関するご説明を省きましたが、今回はその趣旨や進捗についてもご報告します。
2-2. 主要自動車市場の規制動向
「NC10」を進める上では、自動車業界の規制や販売動向を熟知しておく必要がありますので、スライド数ページにわたってご説明します。まずは、主要自動車市場の規制動向についてです。
世界の内燃機関の販売規制や排気ガス規制は、スライドのとおりです。2035年から内燃機関車の販売を禁止する規制が多い中、北米ではTier4排気ガス規制が検討されており、各自動車メーカーへの影響が懸念されています。
イギリスを含む欧州においては、内燃機関車の販売延長や合成燃料(e-fuel)を使用する内燃機関を認める方向で規制が修正されています。
2-3. 自動車メーカー 電動化の動向
各自動車メーカーの電動化の動向についてです。各社の戦略はまちまちです。
2-4. 乗用車 パワートレイン予測 -2020~2040-
乗用車のパワートレイン別販売予測です。変化が激しいため、現時点で正確に予測することは難しいと思っています。早ければ2030年にも電動車が主流になるとされていますが、ICE(内燃機関)も一定量残ると予測されています。
2-5. 商用車 パワートレイン別販売予測 2020~2040
商用車のパワートレイン別販売予測です。当面はICEが主流になり、電動化には少々時間がかかる見込みとなっています。
2-6. 自動2輪 パワートレイン予測 -2020~2040-
自動2輪についてです。街乗りがメインのスクーター系は、電動化が加速すると予測されています。しかし、趣味の世界であるスポーツバイクにおいては、ICEが一定量残るものと予測されています。
2-7. 船舶 パワートレイン燃料予測 2020~2040
舶用のパワートレインにおいては、電動化の動きよりもGHGフリー化への対応技術がメインになると予測されています。
2-8. パワートレイン動向予測 まとめ
スライドに、すべてのパワートレインの2040年度の予測をまとめました。業界によっては、依然としてICEがメインとなる予測です。当社は「NC10」を通じ、両方のニーズにしっかりと応えていきたいと思います。
2-9. NC10開発のターゲットアイテム
「NC10」の開発ターゲットアイテムの例を、スライドに示しています。
「VISION Ⅰ」では、底面鏡面化バルブやハイパー中空バルブがあります。こちらはICEの燃費改善に役立つアイテムとなっています。また、舶用中空バルブやGHGフリー対応バルブなど、ICEが長く残る分野における開発も進めています。
「VISION Ⅱ」では、電動化に向けたヘリカルギアや減速機、燃料電池用のローターに加え、まったくの異業種である設備用部品などの開発を進めています。
2-10. VISION Ⅰ(ICE領域)の開発状況
それぞれのアイテムの進捗状況をご説明します。まずは「VISION Ⅰ」についてです。
底面鏡面化バルブはすでに2拠点で量産を開始しており、需要増加によってもう1台の増設が完了したばかりです。ハイパー中空バルブは、北米での燃費規制であるTier4対応のために、多くのお客さまから引き合いをいただいている状況です。
舶用中空バルブおよびGHGフリー対応バルブについては、2024年以降の量産化を目指し、お客さまと開発を進めています。
2-11. VISION Ⅱ(EV領域)の開発状況
「VISION Ⅱ」のアイテムについてです。設備用部品は昨年から量産を開始しており、受注品目が増えて増産傾向にあります。
しかし、FC用電動過給部品については、お客さまの都合により量産が延期されている状況です。その代わりというわけではありませんが、同じ機構のアイテムである電動ターボのローターおよび軸受けの新たな引き合いをいただいています。
2-12. 減速機(Nixtroid)について
減速機(Nixtroid)は、「VISION Ⅱ」アイテムの目玉商品とも言えるものです。こちらはトルクタイプ減速機をNITTANのアイデアにより改良したものであり、その由来から「Nixtroid」という名前を付けています。
コンパクトかつ高トルク仕様での開発を目指しており、現在は電動アシスト自転車に的を絞って開発を行っています。しかし、市場では自動2輪や小型モビリティ、AGVなど、多様なニーズが予想されていますので、拡販も期待できるアイテムだと判断しています。
2-13. 電動過給部品について
電動過給部品とは、当社のコア技術を駆使して開発した高精度な回転ローターとその軸受けのことです。こちらも、お客さまの量産日程に沿って対応していきます。
2-14. VISION X(SDGs配慮商品)の開発状況
ユニークな商品の開発を進めている「VISION X」についてご説明します。本日ご紹介するのは、スライドに示した2つのプロジェクトです。
1つ目は、NITTANゴルフパタープロジェクトです。高精度な鍛造技術と加工技術を駆使して成形を行い、プロも欲しがる唯一無二のパターを製造・販売することを目指しています。
女子プロの試打会で打音の大切さを教わったことから、打音にこだわった2種類のパターンモデルを完成させました。現在は地元のジュニア選手に使っていただきながら、完成度を高めています。その由来から、パターの名前を「奏(KANADE)」としました。
2つ目は、NITTANスマートアグリプロジェクトです。自宅で簡単に葉物野菜を栽培できる栽培キットの開発と販売を目標にしています。このプロジェクトの最終的なゴールとして、インドに新鮮な野菜を届けるという大きな夢を持っています。
2-15. NC10目標の現在値(23年9月基準)
「NC10」の目標値に対する、現在の実績値についてご説明します。現時点の単純積み上げでは目標売上高1,000億円には届かず、670億円から680億円と予想されています。
そこで、現在の開発アイテム以外の新商品アイデア創出活動を展開しています。加えて、M&Aを通じた事業拡大も視野に入れ検討を進めています。
2-16. アイデア創出活動
スライドには、新商品のアイデア創出活動のプロセスを示しています。このような活動を通じて生まれたのが、先ほどご説明したNITTANスマートアグリプロジェクトです。市場での困りごとを解決できる手段とツールは、良いビジネスにつながると判断しています。
3-1. カーボンニュートラル達成に向けた取り組み
当社のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みについてです。「NITTANカーボンニュートラル(NCN)」というグローバル方針を制定し、海外子会社も含めて真摯に対応しています。主な取り組みとして、太陽光発電の積極的な活用を行っています。
3-2. カーボンニュートラル達成に向けた取り組み
CO2排出量の削減状況です。基準年度である2013年度に比べ、今期は27パーセントの削減を目標にしています。2030年までには目標値を達成できるように、省エネや生産性の向上活動を展開しつつ、再生可能エネルギーの利用も増やしていきます。
4-1. DXを活用したスマートファクトリーへの挑戦
DXを活用したスマートファクトリーへの挑戦についてご説明します。山陽工場での生産実行システム(MES)の導入と、歯車工場でのAI外観検査機の活用により、稼げる筋肉体質の会社を目指していきます。
李氏からのご挨拶
ご説明は以上となります。冒頭でお話ししたように先が読めない事業環境ではありますが、計画している改善活動を全面的に展開し、第2四半期は実りある結果になったのではないかと思っています。
このような姿勢を維持・向上し、年度目標を達成するとともに、さらに期待できる来期にすべく備えていきます。引き続き、NITTANにご関心とご期待を寄せていただきますようお願い申し上げます。最後までご清聴いただき、誠にありがとうございました。
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