―再配達抑制から接触減へ変わった注目理由、関連株を再点検する―
新型コロナウイルス の感染拡大の影響で、世界的に宅配需要が増加している。感染を防ぐために、各国で外出制限がとられているためで、消費者による生活必需品などのインターネット通販の利用が拡大している。
これに伴い、米インターネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムは3月16日、米国内の物流拠点などで約10万人を雇用すると発表。更に4月13日にはこの10万人の採用計画について既に目標を達成し、新たに7万5000人を追加採用すると発表した。アマゾンでは、需要の急増を受けて、食料品の宅配など一部のサービスでは利用者数の制限を余儀なくされており、追加採用でこうした問題の解消を図る方針だ。
●巣ごもり消費で宅配便個数が増加
日本でも、3月初旬から全国の小・中・高校が一斉臨時休校となったことや、政府・自治体の外出自粛要請で自宅で過ごす人が増加し、インターネット通販やネットスーパーを利用する、いわゆる「巣ごもり」消費が増加している。これを受け宅配個数も増加しており、ヤマトホールディングス <9064> の3月度の小口貨物取扱実績(宅急便)は1億4899万1349個(前年同月比3.9%増)と2ヵ月連続で前年実績を上回った。
その後の政府による4月7日の7都道府県への緊急事態宣言の発出と4月16日の緊急事態宣言の全国への拡大を受けて、インターネット通販の更なる拡大が見込まれており、宅配個数についても増加が見込まれている。
●注目集めるOKIPPAサービス
インターネット通販が拡大するなか、にわかに注目されているサービスがある。
物流スタートアップのYper(イーパー、東京都渋谷区)が手掛けるOKIPPAと呼ばれるサービスで、利用者は同社のバッグをドアノブなどに吊るしておくと、配達員が荷物を入れてファスナーを閉じ、南京錠をかけて配達完了となる。利用者は直接、配達員と顔を合わせる必要がないので、感染防止につながるとして人気を呼んでおり、利用者は既に10万人を突破しているという。
最近では、配達時に不在の場合、荷物を玄関付近に置く「置き配」を選択する事業者や利用者が増えているが、「荷物が汚れた」「盗難にあった」というクレームが多数あるという。OKIPPAを利用することで、そうしたトラブルを防ぐことができるとして、注目されている。
●感染防止の観点で再注目
OKIPPA同様、配達員との接触を避けることができるとして改めて注目されているのが宅配ボックス(ロッカー)だ。宅配ボックスといえば、物流業界の人手不足を背景に再配達の抑制や業務の効率化などから注目されていたが、最近では感染防止の観点からも注目されている。
もちろん、ボックスやロッカーの設置にはコストや手間がかかるが、より安全性を求めて設置に対するニーズは強い。また、これを背景にコンビニエンスストアなどに宅配ボックスやロッカーを設置するケースも増えており、今後も需要の高まりが期待できよう。
●駅などに設置された宅配ロッカーで注目
最近よく目にするようになったのが、ヤマトHDと仏ネオポストグループの合弁会社Packcity Japan(パックシティジャパン)が運営する「PUDOステーション」だ。駅やスーパー、公共施設などに設置され、団地やマンションなどへの設置も進む。また、豊田自動織機 <6201> は「PUDO」と連携するシステムを開発しており、普及に一役買っている。
グローリー <6457> はコインロッカーのパイオニア的存在だが、宅配商品を受け取ることを目的とした専用ロッカー「LEBシリーズ」を展開している。また、駅などに設定されている楽天 <4755> の「楽天BOX」やスーパーなどへも宅配ロッカーを提供している。
FUJI <6134> は宅配ロッカー「Quist(クイスト)」シリーズを展開しているが、同製品はカインズ(埼玉県本庄市)が展開を開始するホームセンター業界初の店内設置型ロッカー「CAINZ PickUp Locker」に採用されるなど、展開を強化しており注目だ。
●住宅向け宅配ボックスで注目
アルファ <3434> は、集合住宅や戸建て向けに宅配ボックスを展開している。主に戸建て向けに展開している「ed-CUBE(イーディーキューブ)」は、使用者が登録した暗証番号もしくはICカードで取り出しができるため、ダイヤル式の簡易宅配ボックスよりもセキュリティー性が高い。また、集合住宅用の宅配ロッカー「IEB-70」は、非接触ICカードによる取り出しを標準としているほか、ロッカー上段の利用が難しい居住者向けに、配達物を上段で受け取らないように設定可能とするなどきめ細かい対応を可能としたのが特徴という。
ダイケン <5900> [JQ]は、建築金物や内・外装建材などを手掛けているが、集合住宅向けを中心に宅配ボックスを展開している。マンションのエントランスなどに設置するタイプだけではなく、専用使用できるものなど幅広い製品を展開しているのが特徴で、後付け設置などでシェア拡大を図っている。
このほか、パナソニック <6752> は、「COMBO(コンボ)」シリーズの宅配ボックスを展開しており、戸建て用から集合住宅用まで幅広いラインアップを展開しており、ブランド力を背景にシェアを伸ばしているもよう。更に山善 <8051> は、「P-BOX(ピーボ)」シリーズで宅配ボックスを展開しており、他社と同じ鋼板製のものに加えて、折り畳み式のソフトタイプを展開しているのが特徴で、マンションなどの集合住宅でも使用しやすいとの声が聞かれるようだ。
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