今回のコンペティションでは、キーボードのタイピング動作から作成された文章の採点結果を予測するAIアルゴリズムの精度が競われた。脇本氏は、「アンサンブル」と呼ばれる複数の機械学習モデルを組み合わせた方法と、ChatGPTの基礎にもなった「Transformer」という技術をベースとした言語モデル*¹を活用することなどにより、高得点を記録した。また、キーボードのタイピング動作で作成した文章を効率よく入力する工夫を行うことで、より多くの情報を言語モデルに学習させることができたことが得点向上に大きく寄与した。
ブラザーは、社内でAI活用を進めており、製造現場でのインクジェットプリンターヘッドの確認作業における無人化、検査精度の高度化や、生成AIを使った刺しゅうミシン、カッティングマシン向けアプリ「ArtSpire*²」のイラスト作成などを実現してきた。また、社内に「AI活用プロジェクト」を立ち上げ、「AI Everywhere.」を合言葉に、ソフトウエア開発部門が中心となり、従業員一人ひとりが主体的にAIを活用できるよう支援している。このプロジェクトでは、自社で独自にカリキュラムを作成した社内AI研修の実施や、専用イントラサイトによる最新のAI技術や社内でのAI活用事例の共有、現場における課題解決のためのAI活用支援など、幅広く取り組んでいる。ブラザーでは、今後も脇本氏の知見と経験も生かしながらAIの活用を推進していくとしている。
*¹:言語モデルは、言語処理に使われる技術の一つ。人間が日常的に使用する言語のパターンや言い回しを表現できるように単語の出現確率を用いながらモデル化したもの。BERTやGPTに代表される深層学習を活用した言語モデルでは、単語予測や翻訳、要約などを行うことが可能。
*²:https://www.brother.co.jp/product/hsm/special/artspira/index.aspx
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