酒井重工業<6358>は、長期にわたり安定的な経営基盤の確保に努めるとともに、配当についても安定的な配当の継続を重視し、業績と健全な財務体質に裏付けられた成果の配分を基本方針とし、配当政策と自己株式の取得を行っている。既述のとおり、中期的な株主還元方針としては、ROE3%未満の場合は配当性向100%、ROE3%~6%の間はDOE3%、ROE6%超の場合は配当性向50%の還元を行うとしている。また、自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式取得の実施を検討している。
上記の配当政策に基づき、2022年3月期は期初に配当性向100%(年間配当120.0円)を発表していた。しかし、既述のとおり足元の業績が好調で、通期業績予想を上方修正したことに伴い、2022年3月期末のROEが3%を超える見込みであることから、配当基準を配当性向100%からDOE3%とし、年間配当150.0円(中間配当60.0円、期末配当90.0円)とすることを発表した。なお、業績がさらに上振れするようであれば、さらなる増配の可能性もあると弊社では見ている。
また自己株式の取得についても、中期的な経営方針に基づき、2021年7月15日までに130,000株(同340百万円)を取得済みである。
このように、ROEの改善に向けて明白な方針を発表し、それに沿った株主還元策を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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