1. 事業概要
アライドアーキテクツ<6081>は、自社開発の多様なマーケティングプラットフォームの運営等を通じて、顧客企業のSNSマーケティング活動を総合的に支援する事業を展開している。また、中国を中心とする越境ECやインバウンド市場に向けた越境プロモーション支援のほか、企業の広告クリエイティブに特化したグローバルプラットフォーム「CREADITS®」(旧「ReFUEL4®」)にも注力している。
市場が拡大しているSNS領域に特化し深掘りすることにより、SaaS※とソリューションを組み合わせた独自の価値提供が同社の強みとなってきた。また、Facebookをはじめ、Instagram、Twitter、LINEなど主要な各SNSとの強固なリレーションを構築しており、登録ユーザー総数は600万人以上、顧客企業数も累計で5,000社以上に上る。また、企業のマーケティングが「マスベース」から「ファンベース」へと大きく変化する方向にあるなかで、これまでの事業概念を「ファン・リレーションシップ・デザイン」という形で再定義した。これまでのようなWeb上やSNSのみならず、リアルな場所を含めた生活者との接点を通じて、企業のビジネス成長に必要な「ファン」との最適な関係構築を支援する方向性を打ち出している。
※Software as a Serviceの略称。同社においては原則として月額契約(サブスクリプションモデル)のプロダクトを示す。
海外子会社への先行費用等により、足元業績は低調に推移しているものの、サービス進化と市場ニーズの拡大が同時進行していることに加え、新モデルへ変更したグローバルプラットフォーム「CREADITS®」も順調に伸びており、成長加速に向けた新たな局面を迎えている。
2. 2018年12月期の業績
2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比27.1%減の4,088百万円、営業損失が14百万円(前期は57百万円の損失)と2期連続の営業損失を計上した。大幅な減収となったのは、海外子会社であるCreadits Pte. Ltd.における利益率の低い海外SNS広告からの撤退による影響が大きかったほか、同子会社が展開する「CREADITS®」のビジネスモデル変更に伴う解約が想定以上に発生したことが理由である。利益面でも、海外SNS広告売上高の減少や「CREADITS®」の旧モデル解約に伴う一時的な落ち込みに加え、体制構築等への先行費用(人件費)の増加により、海外子会社の営業損失が311百万円(前期は201百万円の営業損失)に膨らんだ。ただ、国内事業(同社単体)の営業利益は前期比107.2%増の297百万円と大幅な増益を実現しており、海外子会社のマイナスを国内事業でカバーする格好となっている。
3. 2019年12月期の業績予想
2019年12月期の連結業績予想について同社は、売上高を前期比3.0%増の4,210百万円、営業利益を251百万円と増収増益(黒字転換)を見込んでいる。売上高は、前期に引き続き、利益率の低い海外SNS広告からの撤退に伴う影響が若干残ることから微増にとどまるものの、利益率の高い国内事業及び「CREADITS®」が順調に伸びる想定となっている。利益面でも、好調な国内事業の営業利益が増益を確保するうえ、これまで収益の足を引っ張ってきた「CREADITS®」も新モデルの伸長により大幅な損益改善(期中での単月黒字化)を図る見通しである。
4. 成長戦略
同社の成長戦略の軸は、主力のファンリレーションシップ事業の拡大、越境・インバウンドプロモーション事業によるグローバル展開の拡大のほか、海外子会社による「CREADITS®」の事業拡大である。弊社では、国内SNSマーケティング領域は、まだこれからの市場であり、市場が拡大するなかで優位性を発揮できる同社には大きな成長力があるものと見ている。また、革新的な事業モデルで世界シェアNo.1を目指す「CREADITS®」についても、今回の新モデルへの変更により、いよいよ成長に拍車がかかる可能性が高い。一方、越境・インバウンドプロモーション事業については、本格的な業績貢献には時間を要するものの、ポテンシャルや具現性を高く評価している。
■Key Points
・2018年12月期の連結業績は、海外SNS広告事業からの撤退や海外子会社への先行費用(ビジネスモデルの変更を含む)等により2期連続の営業損失を計上
・ただ、新たな「ファン・リレーションシップ・デザイン」構想の始動や「CREADITS®」(新モデル)の立ち上げでは、今後の成長に向けて大きな成果を残した
・2019年12月期の連結業績は増収増益による黒字転換を見込む
・サービス進化と市場ニーズの拡大が同時進行していることに加え、新モデルへ変更したグローバルプラットフォーム「CREADITS®」も足元で順調に伸びており、成長加速に向けた新たな局面を迎えている
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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