1. 美容マーケティング領域の市場規模
社会のデジタル化に伴ってインターネット広告市場は着実な成長を続け、2022年には3兆円を突破したとの調査結果もあり、今や日本の広告費全体に占める割合は4割超を占めている。インターネット広告が広告市場全体を牽引している状況にあり、インターネットが社会全体のインフラとなっている現在、インターネットでアクセスできる各種プラットフォームやWebサイト、Webサービスなどは、生活者にとって欠かせない情報源である。なかでも、多種多様なアカウントより発信される情報をリアルタイムで入手できるSNSは、生活者の意識や購買行動に対する影響力を増している。日本におけるSNS利用者数は増加傾向にあり、企業においても、SNSを活用したマーケティングに注力する動きが加速している。また、トレンダーズ<6069>が2023年1月、15~34歳の女性を対象に行った調査(複数回答)によれば、美容情報の収集メディアとして、Instagram67.9%、YouTube59.9%、X(旧Twitter)48.7%、TikTok23.4%とSNSが上位を占め、TV19.2%、雑誌11.9%を大きく引き離しており、TV、雑誌は2019年の調査開始時点より比率が低下してきている。美容情報収集におけるSNSの影響力増大の動きを受けて、同社の顧客の大半が属する化粧品業界においても、広告費のデジタルシフト・SNSシフトが進み、TVCMや雑誌広告などのマス広告費がSNS広告費やインフルエンサー施策費に移行してきている。また、2021年9月に実施された15~49歳の美容男子を対象にした「美容情報収集」に関する意識・実態調査の結果では、情報収集源として最も多かったのは「SNS」の57.2%であり、「Webメディア」は48.4%、「テレビ」は48.6%だった。
同社の推計によれば、日本の化粧品業界の広告費は約6,400億円(電通の「2022年日本の広告費」より広告費全体の9%を化粧品・トイレタリー業界の広告費と推定)であり、そのうちインターネット広告費は約2,800億円(電通調査による広告費全体に占める割合43.5%より、美容業界のインターネット広告比率を44%と推定)。その中の約500億円を同社のSOM(Serviceable obtainable Marketの略:自社がアプローチして獲得できるであろう市場規模)、すなわち、美容カテゴリにおける同社のターゲット市場と位置付けている。今後はデジタルシフトがさらに進み、市場はさらに拡大していくと弊社では考えている。
2. 美容医療の市場規模
Google Trendsを利用して同社が調べたキーワード「美容クリニック」「美容医療」のGoogle検索数指標は、直近10年間で約2.6倍に上昇している。生活者からの美容医療への関心は着実に高まっている一方で、生活者には、「自身の悩みに最適な美容クリニックの選択が困難である」「インターネットやSNSの情報の中には誤情報やステルスマーケティングなども氾濫している」「施術効果が一時的な場合もあり継続的かつ頻繁に施術を受けるには経済的負担が大きい」などの課題がある。一方、クリニック側には、「クリニック数の増加やマーケティング手法の多様化により集客コストが高騰し難易度も上昇している」「予約管理や顧客管理、運営オペレーションにおけるDX化の遅れが生産性・利益率低下の要因となっている」といった課題がある。そのため、生活者に美容医療に関する正しい情報を提供するとともに、美容クリニックの効率的な集客と運営を支援することで、両者の課題・ニーズを解決していく潜在的な市場は、相当な規模に膨らんでいるものと弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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