1. 2024年3月期決算の概要
2024年3月期の同社グループを取り巻く外部環境は、インフレーションの長期化と金利高止まり、日米金利差を背景とした円安の進行、長期化するウクライナ紛争や不安定な中東情勢、中国経済の先行き懸念など先行き不透明な状況が続いた。こうした環境下で、同社グループは、「三和グローバルビジョン2030」及び「中期経営計画2024」の2年目として、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に注力し、基本戦略を着実に実行した。
以上の結果、同社の2024年3月期決算は、売上高611,107百万円(前期比3.9%増)、営業利益65,360百万円(同16.1%増)、経常利益64,903百万円(同23.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益43,228百万円(同30.7%増)の増収増益決算となった。売上高・利益ともに第2四半期決算発表時の修正予想を上回り、過去最高を記録した。売上高は、欧米は数量減により現地通貨ベースでは減収となったが、円安の影響により円ベースでは増収となった。日本は数量増と売価転嫁により、またアジアはAUBと三和NF常熟の新規連結効果により増収を確保した。営業利益では、欧米は市場環境の悪化による数量減の影響を受けた。販売価格は米州で下落に転じたが、日本と欧州では上昇となった。世界的なインフレによりコストアップとなったが、米州でのコストダウン効果が利益に大きく貢献した。またアジアでは、香港各社や安和(台湾)が好調を維持し、大幅増益となった。この結果、営業利益率は10.7%(同1.1ポイント上昇)であった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が大きいのは、特別損益の改善によるものだ。すなわち、欧米事業における一過性の減損処理などの減損損失など合計7,367百万円(同3,467百万円増)の特別損失があったが、受取和解金などの特別利益4,758百万円(同4,564百万円増)を計上した。
2024年3月期の期初予想では減収減益を予想していたが、為替相場の動向を勘案した想定為替レートの見直しと、米州事業において想定以上に売価維持ができる見通しとなり、国内事業も堅調に推移していたことから、第2四半期決算発表時に期初予想を上方修正した。しかし、2024年3月期決算は、上方修正後の数字をさらに上回る良好な結果であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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