今週の新興市場はまちまち。今週の騰落率は、日経平均が+0.60%だったのに対し、東証グロース市場指数は-0.20%、東証グロース市場250指数は+0.03%だった。日経平均同様、12月19日の日本銀行の金融政策決定会合での「金融政策の現状維持」結果発表を材料に買われ、翌20日に週内の高値をつけた。ただ、為替市場で1ドル=144円台まで円安ドル高が進行したことなどから、東証プライム市場の大型株が強含む格好に。結果として為替の円安ドル高も一巡したことから、大型株も週末にかけて調整したが、東証グロースCore指数20など主力銘柄もさえない展開となり、東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに「往って来い」のチャート形状となった。
個別では、システム開発のエフィシエントを子会社化したと発表したジェイック<7073>の上げが目立ったほか、太陽光設備で大型案件を受注したテクノロジーズ<5248>も買われた。一方、カンボジア子会社で不適切な融資取引の可能性があると発表したリネットジャパン<3556>は急落した。また、今週は、7社がIPOを果たしたものの、公開価格を上回る初値をつけたのは雨風太陽<5616>、エスネットワークス<5867>、早稲田学習研究会<5869>の3社に留まり、前評判が高かったマーソ<5619>、ヒューマンテクノロジーズ<5621>は公募割れとなった。なお、公募割れは12月IPOでは7社となった。
■「掉尾の一振」による25日移動平均線突破に期待、IPOは2社
来週から再来週にかけての新興市場は上昇か。例年通りであれば、機関投資家の多くはクリスマスや年末年始の休暇入りすることで大型株の売買が減少する一方、個人投資家主体の新興市場は、これぞ「掉尾の一振」という強い動きを見せるケースが多い。今週までの新興市場は、東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに25日移動平均線(MA)に跳ね返されており、投資家のセンチメントも高まりにくくなっている。両指数ともに今年6月下旬の年初来高値から10月下旬の年初来安値の下落幅に対して4割ほどしか戻していない。取引時間中の年初来高値に跳ね返された日経平均と比較すると戻りは弱い。逆に考えるとそれだけ戻り余地はあるとも言える。両指数ともに、早いタイミングで上値抵抗線である25日MAを上抜けると反発が強まると考える。
また、今週は、ストップ高となった銘柄が翌日も大幅に買われるケースか、真逆に売り圧力が強まるかの両極端のパターンが散見された。一見すると短期資金が流出入する荒い地合いと見られるが、超短期的な循環物色が活発に行われているというポジティブな考え方もできよう。個人投資家のセンチメントは、さえない両指数と比較するとそこまで悪くないと考える。その証拠に、12月22日の東証グロース市場の値上がり銘柄で前日比2桁上昇率を記録した銘柄は9銘柄あり、コラボス<3908>、QPS研究所<5595>にいたっては20%超だ。一方、2桁の下落率は5銘柄に留まっており、下落率トップとなったエスネットワークス<5867>は前日比14.1%安だ。つまり個人投資家の循環物色は、活発に行われていると考えられ、来週以降も材料銘柄や直近IPO銘柄をメインに物色が続くと想定する。なお、来週は新規株式公開(IPO)が2社で、25日にナルネットコミュニケーションズ<5870>、27日にyutori<5892>がグロース市場に上場する。今週上場したマーソは初値こそさえなかったが、初値形成後は買われる展開となったことから、初値後の価格形成にも注目したい。
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