ABEJA<5574>の財務戦略は、短期的な株主還元よりも、中長期の企業価値最大化を重視する点に明確な特徴がある。配当による利益還元を優先するのではなく、AI産業の次なる成長局面であるフィジカルAI時代を見据えた先行投資を最優先課題として位置付けている。足元の財務基盤は極めて健全であり、自己資本比率は約9割、有利子負債ゼロの無借金経営を継続している。潤沢な現金及び預金を背景に、外部資金に依存することなく成長投資を継続できる体制を確立している点は、同社の財務戦略を支える重要な前提条件となっている。
同社が重視する投資領域は、人材、研究開発、データ基盤の3点に集約される。特にAIモデルやロボティクスを社会実装するためには、高度なエンジニアリング能力と長期的な研究開発の継続が不可欠であり、短期的な収益性よりも技術蓄積を優先する姿勢を明確にしている。また、フィジカルAI領域では、ソフトウェア開発にとどまらず、実環境データの収集・検証、シミュレーション基盤の整備、運用安全性の確立など、初期段階での投資負担が相対的に大きい。同社はこの点を認識したうえで、早期から研究開発投資を実行し、将来の成長オプションを確保する戦略を採っている。
利益配分の観点では、当面の間、内部留保の充実を優先する方針である。これは株主還元を軽視するものではなく、AI市場が拡大期にある現在において、内部資金を成長投資へ再投入することが、結果として株主価値の最大化につながるとの判断に基づくものである。実際に、同社のビジネスモデルはプラットフォーム型であり、初期投資を積み上げることで将来的に高い利益レバレッジが期待できる構造にある。運用フェーズの拡大に伴い営業キャッシュ・フローが安定化すれば、将来的な配当や自己株取得の選択肢も広がるが、その段階はフィジカルAI領域の事業化が一定程度進展した後になると考えられる。
財務規律の面では、無理なレバレッジ拡大や短期的な利益確保を目的とした投資抑制は行わず、あくまで長期的な技術競争力の確立を最優先とする。NEDO事業への参画や公的プロジェクトの活用は、自己資金と外部資金を適切に組み合わせながら、リスクを抑制しつつ研究開発を加速させる財務戦略の一環と位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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