● 2020年11月期の業績見通し
アサヒ衛陶<5341>の2020年11月期通期の業績予想については、新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、第2四半期決算発表時に一旦取り下げた。同社では、第3四半期の影響が大きくなると見込んでいる。これは、国内事業で、緊急事態宣言の発令により卸売業者の経済活動が3月から5月までの3ヶ月間にほぼ休止していたことにより、メーカーへの影響が後追いで出てくると予想していることによる。一方、量販店やホームセンターなどの小売業向けは、相対的に堅調に推移している。なお、期初計画では、売上高が前期比1.1%減の2,400百万円、営業利益が70百万円を見込んでいた。これは、事業構造改革による不採算事業からの撤退と好採算商品の販売強化で売上総利益率が改善し、不良在庫の廃棄処分がなくなるため、コスト削減額は290百万円を見込んでいることによる。
2020年11月期第2四半期には、国内市場向けに「PICCOLA SANITARY UNIT(ピッコラ サニタリーユニット)」1116シリーズを新たに投入した。これは、広さ0.67坪(約畳1帖)ほどの狭小スペースに、トイレ・洗面とバスユニットを完全分離したサニタリーユニットである。平日はシャワー、週末は入浴という若者の生活習慣に適合している商品で、浴室と洗面所を折れ戸で仕切り、それぞれの干渉を受けない設計としている。これは、賃貸住宅等で人気の「バス・トイレ別」の条件を満たす。また、従来のトイレ・洗面・バスの3点式ユニットバスでは、風呂に入ると洗面・トイレの床が濡れてしまい、漏電防止のためドライヤー用や温水洗浄便座用コンセントが確保できないが、この新製品はドライヤー用コンセント付はもとより温水洗浄便座付きトイレとなっており、新築のワンルームマンションやリノベーション時の居住部分拡大のニーズを満たす。同社にとって初のユニット製品となるだけでなく、顧客に新しい価値を提供する期待の新商品であると言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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