(2) 賃貸開発事業
売上高は5,868百万円(前期比16.2%増)、セグメント利益は698百万円(同6.9%減)を見込んでいる。具体的な重点施策は以下のとおりである。
a) スタートアップ事業から安定的成長事業へ
賃貸開発事業では、売上高50億円の突破を契機に、スタートアップ事業から安定的成長事業への進化を目指す。これまでの取り組みとしては、開発用事業推進フローの確立(設計課創設)を行い、請負受注用の仕様を準用した商品提供と開発専用の仕様を確立し商品化を行った。また、人員を増強し、2023年3月には11名体制であったが、2024年3月には15名体制を確立した。さらに、用地選定基準を厳格化し、城南・城西エリア、駅徒歩5分圏、200平方メートル以上、角地に選定基準を絞り込んだ。これらの取り組みにより、累計仕入件数24件、累計販売件数15件、累計引渡件数14件を達成し、売上高50億円の突破という飛躍的成長につながった。
b) 安定的成長を目指した取引先との連携強化
今後の取り組みとしては、安定的成長を目指した取引先との連携強化に注力する。選択と集中により供給する商品が確定したため、完成毎に入居者の反応を確認し、必要に応じて修正を加える。また、2024年2月期の売上物件における角地割合は71.4%であったが、2025年2月期は用地選定基準に適合した用地仕入れをより徹底する。さらに、安定的に用地選定基準に合う土地を仕入れるために取引先との連携を強化し、建築条件付き土地売買による資金回転率の向上を図る。そして、富裕層向け物件に特化した商品の提供と早期販売のために取引先との連携を強化する。なお、2025年2月期の供給予定物件には、都立大学駅から6分の「My Style vintage 目黒平町」、大崎駅から6分の「My Style vintage 大崎百反坂」、下北沢駅から5分の「My Style vintage 下北沢鎌倉通り」等が挙げられ、いずれも用地選定基準に基づいた好立地物件である。
(3) 賃貸経営事業
売上高は10,124百万円(前期比8.6%増)、セグメント利益は1,101百万円(同0.1%増)を見込んでいる。具体的な重点施策は以下のとおりである。
a) 自社管理受託率の積極的な改善
受託営業を自社新築物件に集中させるとともに、アセットマネジメントカンパニーと建築受注前の連携を密にし、計画提案段階から積極的に関与することで、建築受注及び管理受託の向上につなげる。具体的には、建築・管理紹介が可能な業務提携先への管理紹介手数料の引き上げや、アセットマネジメントカンパニーと合同の促進キャンペーン等の実施により、潜在的な顧客の引き上げを図る。
b) オーナーサービスの強化(専従者の増員)
オーナー対応の担当者増員と、資産運用面の専門性が高い人財採用により、個別事案へのきめ細かい対応を強化する。リフォーム部門との連携を強化することで、10年目の管理契約更新と建物延長保証工事を紐付け、アパート経営目線での点検フロー構築(ハードとソフトの点検)と提案を実施し、オーナー満足度向上につなげる。
c) 取引業者との関係強化と業務品質のさらなる向上
賃貸仲介の業務委託先であるセレリーシングパートナーズ担当者向けに、商品知識向上によるリーシング強化を目的とした「セレマイスター勉強会」を定期的に開催する。業務品質のさらなる効果のほか、リーシング力強化+事業目的(ビジョン)共有+業務品質の向上効果が期待できる。また、外部コンサルティング業者を活用した建物管理品質の再検証と、退去リフォーム工事を中心とした業務品質の均一化、業務精度向上を目的とした業務マニュアルを整備する。
d) オーナー及びゲスト(入居者)向け商品見直しによる業務の生産性向上
オーナー向け建物管理サポートプラン(パッケージ商品)への切替促進により、オーナーが都度行う必要のあった承認・確認業務を削減し、対応スピードの向上を図りゲスト満足度向上につなげる。また、ゲスト向け商品(火災保険・家賃保証関連)のリニューアル(サービス内容の見直しと月額支払いへの変更)により、ゲストサービス強化と業務の生産性向上の両立を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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