同社の事業は、成長を牽引するフォーカス事業と、それを支えるベース事業で構成される。
フォーカス事業は半導体材料と情報通信材料の2セグメントで構成されている。半導体材料セグメントは、グローバルシェア64%のスパッタリングターゲットなどを手掛ける。技術優位性を裏付けとして装置メーカーから標準材料として指定を受け、半導体メーカーに供給する強固な関係性が強みとなっている。特にAIサーバー向け最先端半導体ターゲットではさらに高いシェアを持つ。情報通信材料セグメントは、FPC向け圧延銅箔や高機能銅合金を供給する。主力製品の圧延銅箔では世界シェア78%を保持している。次に、ベース事業においては、銅製錬やリサイクルを担い、フォーカス事業への原料安定供給と、収益性の高いリサイクル事業への注力へと戦略的にシフトしている。
同社を取り巻く事業環境は良好である。半導体市場は生成AIやEV化を背景に今後も堅調な成長が見込まれる。特に同社が強みを持つAIサーバー市場は、足元高い成長を続けており、強い追い風となっている。また、情報通信材料が使われるFPC市場も安定成長が見込まれる。同社はこれらの成長市場で技術的優位性による高い参入障壁を築いている。
2025年8月に、2026年3月期の通期連結業績予想を上方修正している。売上高は前期比6.3%増の760,000百万円、営業利益は同2.2%減の110,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同2.5%増の70,000百万円を見込む。第1四半期は営業利益が前年同期比21.8%増と好調に推移し、特にフォーカス事業の利益が同29%増と業績を牽引した。今回の上方修正は、AIサーバー関連の需要拡大が想定を上回ったことや、良好な為替・銅価前提などを織り込んだもの。銅価やAI需要においては、目先は堅調に推移することが見込まれることに加え、同社の想定為替レート(JPY/USD)は141円となっており、足元のドル円相場を踏まえると、更なる上振れ余地は十分にあると考える。
2024年5月に中長期事業戦略を策定しているが、定量目標として連結営業利益率12~17%、ROE10%以上などを掲げている(2028年3月期)。その原動力として、フォーカス事業の営業利益を年率35~40%成長させるなどとしている。中長期的にROE水準を向上、維持するには、フォーカス事業において、先端半導体領域の成長を取り込む施策群が想定される。
株主還元については、業績拡大を着実に還元する姿勢を示している。同社は、連結配当性向 20%程度を基本とした上で、当社の想定対比で銅価が上昇した結果として、ベース事業の利益が上振れた分については、その一部も株主に還元する方針としている。2026年3月期の年間配当予想についても、期初予想の1株当たり15円から18円へ増額修正している。
投資の視点としては、技術的優位性に裏打ちされた高シェア製品群を武器に、AIというメガトレンドの波に乗る成長ストーリーはポジティブ。事業ポートフォリオ変革による収益構造の質的向上と財務体質の改善も着実に進んでいる。足元株価は急騰しておりバリュエーションはPER25.8倍、PBRは2.97倍とさほど割安感はないものの、中長期的な成長が見込める銘柄と考える。
<HM>
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