アクシージア<4936>は、Made In Japanの高・中価格帯の化粧品・サプリメントの企画・製造を行い、主に中国市場でのEコマース(以下、EC)で販売する成長性の高い化粧品会社である。社名のAXXZIA(アクシージア)とは、『女性の染色体「XX」』を美の象徴とし、『アジア(ASIA⇒AZIA)の美』を日本から世界へ発信するとの想いを社名に込めている。主力ブランドは「AXXZIA(アクシージア)」と「AGtheory(エイジーセオリー)」であり、それぞれ目元ケア商品「エッセンスシート」と美容サプリメント「AGドリンク」のヒーロープロダクツ(ヒット商品)化に成功している。2020年には、中国最大のECプラットフォーム「天猫(Tmall)」(アリババグループ。以下、Tmall)で「2020年度新鋭企業賞」を受賞、創業10年目にあたる2021年2月に東証マザーズ市場に上場した。
1. 業績動向
2021年7月期の売上高は5,787百万円(前期比34.9%増)、営業利益1,383百万円(同28.5%増)といずれも過去最高を達成した。売上高について、地域別では全体の9割を占める中国市場が前期比41.6%増と好調に推移し、チャネル別では中国EC及び日本ECが伸長した。また、ブランド別では主力の「AXXZIA」が成長をけん引した。営業利益については、ブランド知名度向上・販売基盤拡大のための先行投資により販管費が増加したものの、増収による売上総利益の増加が上回った。
2022年7月期第1四半期の売上高は1,788百万円(前年同期比46.0%増)、営業利益321百万円(同5.4%増)となり、計画比では売上高で13.9%、営業利益で32.5%上振れて着地した。売上高について、ブランド別では主力の「AXXZIA」及び「AGtheory」が順調に推移した。動画プラットフォーム「TikTok」の中国本土版「抖音(Douyin)」(以下、TikTok)及びECプラットフォーム「京東(JD.com)」(以下、JD.com)に旗艦店を出店したことも購入者の拡大に寄与しており、積極的な広告宣伝投資により成長を目指す戦略が奏功している。営業利益については、広告宣伝費や支払手数料の増加により販管費が増加したものの、増収による売上総利益の増加が上回り、各利益は増加基調となった。例年、第1四半期は主要なECイベントがないため、通期業績に対する第1四半期の比重は四半期で最小となるが、2022年7月期第1四半期は好調に推移した。
2. 業績見通し
2022年7月期の売上高は7,117百万円(前期比23.0%増)、営業利益1,466百万円(同6.1%増)と期初計画を据え置いた。売上高については、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響から早期に脱却した中国市場を中心に成長を図る。既存のECプラットフォームの深耕に加え、「TikTok」や「JD.com」への横展開により売上高の上積みを狙う。営業利益については、中国及び日本市場でのブランド知名度向上・販売基盤拡大のため、引き続き広告宣伝活動に先行投資する方針のため販管費は増えるものの、増収効果により増益を目指す。
通期予想に対する進捗率については、売上高で25.1%(前年同期は21.2%)、営業利益で22.0%(同22.1%)と順調に進捗している。中国最大のECイベント「W11」開催期間中における同社のGMV(流通取引総量)は前年比61%増と大きな成果を上げた。なお、「W11」の収益は第2四半期に寄与する予定となっている。弊社では、中国経済の部分的な混乱や中国ECプラットフォームの勢力地図の変化などが発生しているものの、これらは同社が対象とする化粧品EC市場の成長を脅かすものではなく、マルチプラットフォームに展開している同社にとってリスクは低いと考えている。2022年7月期第1四半期業績や足元の好調な状況を考慮すれば、通期業績は上振れて着地する公算が高いと言えよう。
3. 成長戦略・トピック
同社は2021年12月に中長期計画を発表し、3ヶ年の中期経営計画の数値目標として、最終年度の2024年7月期に売上高11,200百万円(年平均成長率24.6%増)、営業利益2,800百万円(同26.5%増)、営業利益率25.0%を掲げた。基本戦略は引き続き「ブランド力を維持しつつ成長・拡大し、増収効果に伴う利益増を、コストコントロールにより担保する。」を継続し、(1) ブランド戦略、(2) マーケティング戦略、(3) ビジネスアライアンス/M&Aを実行していく。なお、5年後(2026年7月期)の目標としては、売上高で200億円、営業利益率で20%以上を掲げている。
■Key Points
・高・中価格帯の化粧品・サプリメントの商品開発・製造及び中国ECでの販売を手掛ける
・2022年7月期第1四半期業績は、積極的な広告宣伝投資を実施しながらも計画値を超過し、好調に推移。通期業績は前期比23.0%増収、営業利益率20.6%の予想
・中長期計画では5年後に200億円を目指す。既存ECプラットフォームに加え、「TikTok」や「JD.com」などへの横展開により、さらなる認知度拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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