2. 特徴・強みと主要商材
GMOアドパートナーズ<4784>のインターネット広告業界におけるポジションは、サプライチェーンを横断的に包含した総合インターネット広告代理店として、売上高では大手3社(電通グループ、博報堂DYグループ、サイバーエージェント)に次ぐ規模となっている。そして、広告主と生活者を自社商材でつなぐ事業体制を確立し、自社企画サービスを特徴・強みとして業容を拡大している。
(1) エージェンシー事業
エージェンシー事業では、フルファネル対応のマーケティング支援を提供している。フルファネルとは、消費者の商品購買過程を行動プロセスに分けてモデル化した「ファネル」の全体に対して、認知からCRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)まで一気通貫で、共通のマーケティング施策やキャンペーンで消費者にアプローチしていく考え方である。認知から興味喚起・動機形成、購買、ファン化にいたる全フェーズに対応し、広告ROI(Return On Investment=投資収益率)最大化への施策を顧客ニーズに合わせて提供している。
商材としては、アフィリエイト広告「TRUE Affiliate byGMO」が近年大きく成長している。同サービスはワンタグシステム※1・アドベリフィケーション※2・運用自動化により、アフィリエイト広告で顧客のビジネス成長を加速させる統合管理型プラットフォームである。広告主のブランド毀損リスクに対応し、不適切な媒体への広告掲載防止や誇大広告の恐れのあるワードの個別設定など、独自開発のブランドセーフティ機能を特徴・強みとして、顧客から高い評価を得ている。さらに、LINE(株)の法人向けサービス「LINE公式アカウント」のメッセージング管理機能で、顧客セグメントに応じたLINEでのターゲティング配信を実現する「TRUE Connect byGMO」なども提供している。
※1 顧客が複数プラットフォームの広告の設定(広告タグの設定)をせず、1つの設定で様々なサービスを利用するための仕組み
※2 配信された広告が、イメージ低下を招くようなサイトや、見えにくい・表示されないなどの不適切な掲載方法を取っているサイトなど、広告主の意に沿わないサイトに掲載されていないか検証するための仕組み
新規事業への取り組みとしては、「GMOメタバースラボ」を設立(GMO NIKKOが2022年7月に設立)してメタバース事業に参入した。デジタルマーケティング技術のインターネット広告事業や、ブロックチェーン技術を活用したNFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)事業の知見・ノウハウを組み合わせて、メタバース空間を活用したビジネスの立ち上げサポートなど、多様なサービスを展開する方針だ。
(2) メディア・アドテク事業
メディア・アドテク事業では、メディア分野においては、アドテクノロジー分野の技術開発を支える自社メディアを展開している。生活者の興味や関心を把握し、インターネット利用に溶け込んだ広告配信を探求する。主力のライフスタイルメディア「michill(ミチル) byGMO」は、はたらく女性の「もっと日常を便利にしたい」を見つけるために、信頼できる情報・ノウハウ・コツを提案する生活情報サイトである。2022年3月には月間利用者数(MAU)が1,000万人を突破した。インスタグラム総フォロワー数は2022年6月末時点で105万人となり、ファッション&ビューティーカテゴリーで国内トップクラスのフォロワーを持つメディアに急成長している。
アドテクノロジー(広告配信を高度にシステム化した配信技術)分野において、広告主への広告配信の最適化、メディア(広告媒体)に対して広告掲載の最適化をサービスとして提供している。主要商材としては、スマートフォン向けインフィード特化型アドネットワーク「AkaNe byGMO」、DSP※1のコンテンツ集客特化型広告配信プラットフォーム「ReeMo byGMO」、SSP※2のメディア収益最大化プラットフォーム「GMO SSP」などがある。
※1 Demand-Side Platformの略で広告主側のプラットフォーム
※2 Supply-Side Platformの略で媒体メディア側のプラットフォーム
第1四半期(1月~3月)の構成比が高い季節要因がある
3. リスク要因・収益特性
インターネット広告業界の一般的なリスク要因として、景気変動などによる広告出稿量の変動、市場競合、技術革新への対応遅れ、システム管理・情報セキュリティ対応、法的規制などがある。これらのリスク要因の対策として同社は、取扱量拡大に向けた顧客ニーズへの適切な対応や顧客開拓、市場革新に対応した自社商品・サービスの開発・機能・運用力の強化、内部統制・法令遵守体制の継続的強化などに取り組むとともに、事業拡大に向けて新規事業領域への展開も推進している。
また同社独自のリスク要因として、親会社であるGMOインターネットグループ(2021年12月期末時点で同社議決権の9.88%を直接保有、48.43%を間接保有)との関係があるが、同社はGMOインターネットグループのインターネット広告・メディア分野を担う中核企業と位置付けられている。そして事業活動及び経営判断において、すべての業務を独自に意思決定しており、経営の独立性が担保されている。
収益特性は、広告業界においては年度末(3月)に広告出稿量が増加する傾向がある。このため同社の売上高も第1四半期(1月~3月)の構成比が高い季節要因がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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