1. 2023年9月期の業績概要
IC<4769>の2023年9月期の業績は、売上高が8,562百万円(前期比0.9%増)、営業利益が404百万円(同36.1%減)、経常利益が476百万円(同33.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が372百万円(同29.3%減)と増収減益となった。ITソリューション事業とITサービス事業がそろって増収だったことがトップラインの拡大に寄与した。一方で利益面は、中期経営計画に基づき事業・人材・研究開発に対する先行投資を実行したことを受け減益となった。
事業別の業績は、ITソリューション事業の売上高が8,331百万円(前期比0.5%増)、売上総利益が1,758百万円(同3.2%減)となった。情報・通信メディア、製造からの引き合いが好調だったことなどにより、ソフトウェアソリューションの売上高が3,882百万円(前期比9.2%増)、売上総利益が939百万円(同6.0%増)と好調だった。一方で、電力・ガス・水道・鉄道、情報・通信・メディアからの引き合いが減少したことなどを受け、インフラソリューションの売上高は4,448百万円(同6.0%減)、売上総利益は819百万円(同12.0%減)と減収減益となった。加えて、企画提案型ソリューションの立ち上げなどに伴う各種先行投資も、ITソリューション事業全体の利益に影響した。ITサービス事業の売上高は、231百万円(同15.1%増)、売上総利益は56百万円(同115.3%増)だった。「チケット for LINE Hybrid」の導入企業数とチケット販売数が順調に拡大したことや、連結子会社であるフィートの多言語音声翻訳サービスが好調だったことなどが業績拡大に寄与した。「チケット for LINE Hybrid」に関しては、顧客層を自治体から一般企業へと積極的に拡大させていること、カスタマーサクセスを強化し導入企業の利用率を上昇させること、などの事業戦略が売上拡大に結実した。
先行投資により減益となったものの、中期経営計画の基本戦略は着実に進捗した。具体的な進捗として、新規ITサービスである「らくらく入場サービス HINORI」と「iDEP」の事業化、企画提案型ソリューションである建設会社向けDX支援サービスの開始、受託開発体制及びプロジェクト管理・品質管理の強化、DX人材の育成強化、などを挙げることができる。長期ビジョン達成に向けて経営基盤の強化と再構築が着々と進んでいる状況だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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