1. 2023年9月期の見通し
IC<4769>の2023年9月期の業績見通しは、売上高で前期比1.1%増の8,581百万円、営業利益で同47.9%減の329百万円、経常利益で同52.1%減の342百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同61.1%減の206百万円を見込んでいる。新中期経営計画の初年度である2023年9月期は、価値創造型IT企業グループへの変革に向けて将来の成長加速に向けた先行投資に注力するとともに、グループ間シナジーや外部のステークホルダーとの協同により、新規ITサービスの創出にも注力する。先行投資によって利益は一時的に減少が見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が薄れ、足元でソフトウェアソリューションの受注が堅調に推移しているほか、インフラソリューションは引き続き安定した需要が見込めることから、売上は堅調に推移すると弊社では見ている。
2. 中長期の成長戦略
同社は2022年12月、2031年9月期を最終年度とする長期ビジョン「VISION 2031」及びその実現に向けたファーストステップである新中期経営計画「co-creation Value 2025(2023年9月期~2025年9月期)」を策定した。
(1) 長期ビジョン「VISION 2031」
「ITで感動社会へナビゲート」をビジョンとし、最終年度である2031年9月期に売上高10,950百万円、営業利益1,140百万円、営業利益率10.5%の達成や、顧客が抱える潜在的な課題を顕在化し解決することによって、新たな価値を創造する価値創造型IT企業グループへの変貌を目指す。具体的には、社会課題解決に資する新規ITサービスと顧客課題の解決に資する企画提案型ソリューションを提供することによって、収益性をさらに高めていく。新規ITサービスの創出に向けては、グループ間シナジーや外部との連携を積極的に活用し、2031年9月期の営業利益に占める新規事業の割合を3割程度まで拡大することを目指す。
(2) co-creation Value 2025
「共創を牽引する経営基盤の構築」という基本方針の下に社会、顧客、従業員という3つの観点から各種戦略を実行していく。基本戦略「社会」では、「社会課題解決につながるサービスを創出する」をテーマに、(1)研究開発体制の強化、(2)営業機能の強化、(3)M&A・アライアンス戦略の策定と推進に注力する。基本戦略「顧客」では、「顧客エンゲージメントを高めることで、共創価値の拡大につなげる」をテーマに、(1)企画提案型ソリューションの確立、(2)受託開発体制の強化及びプロジェクト管理・品質管理の強化、(3)営業機能の強化に重点的に取り組む。基本戦略「従業員」では、「共創を支える価値創造型人材を育成する」をテーマに、(1)DX人材の育成強化、(2)次世代マネジメント層の育成強化、(3)タレントマネジメントの戦略的活用に取り組む。これらの各種取り組みにより、経営基盤の強化・再構築と企業価値の最大化を実現する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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