「ギグエコノミー」とは、インターネットなどを通じて単発・短期の仕事を受注する働き方やそれによって成立する経済活動のことを言う。もともと「ギグ(Gig)」とは、ライブハウスなどで演奏者がゲストとして一度限りのセッションを行うことを意味する言葉である。「ギグエコノミー」は2015年頃から米国を中心に使われるようになった用語で、ネット仲介の配車サービスや宅配サービスなどに注目が集まったが、ソフトウェア開発やクリエイティブ系の仕事など様々な業務がある。シェアリングエコノミーの一分野であり、“スキルシェアリング”と呼ばれることもある。ギグエコノミーは、個人の働き方が多様化した1つの形態であり、日本国内においても、働き方改革、副業・兼業の容認拡大やフリーランスの増加のなかで、これからの本格的な普及が期待される。経済誌が巻頭特集で「ギグワーカー」(ギグエコノミーにおける働き手)を紹介するなど、国内でも注目度が上がってきた。ギグワーカーは、独立したフリーランスや個人事業主、学生や主婦、本業を持つビジネスマンなど多彩である。年々その数は増えており、近年は米国で6,000万人以上が副業を含めたギグワークに従事していると報告されている。日本においては新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)でリモートワークが一般的に普及し、また働き方改革により副業・複業を解禁する企業が増えたため、スキマ時間を有効活用する人口が増加し、フリーランス人口は1,577万人(出所:ランサーズ<4484>「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」)と高水準で推移している。これは生産年齢人口6,917万人(2021年)の22.8%に相当し、5人に1人がフリーランスと言える。また、副業・兼業という観点からも働き方は変化している。Job総研調べ「2023年 副業・兼業の実態調査」によると「現在副業・兼業をしている」と答えた人は22.6%であり、一定数が複数の仕事を持つワークスタイルを開始している。また「今後、副業・兼業をしたい」と回答した“潜在副業人口”は85.5%に達する。これらの変化は、2019年頃から本格化した働き方改革やコロナ禍でのテレワークの普及、各業界での人材不足なども影響している。
市場成長の背景には、必要な時に必要なだけ仕事ができるという利便性の高いマッチングサイト・アプリの存在があり、プラットフォーム提供企業の役割が重要となる。世界的にギグエコノミーをリードするのは、米国に本社を置くUber Technologies
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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