匂いの検知材料に先端AI技術を融合し、特定の匂いをデジタルで識別、定量化するデジタル嗅覚技術は、医療分野、食品・飲料などの生活関連分野での応用が期待されており、その市場規模は2026年までに3兆1,200億ドルまでに成長すると予測されているという。
同事業で検討中の「匂いセンサー」は、プローブ(人間の嗅覚細胞に相当する物質)に香り分子が吸着することによる電気抵抗の変化で匂いを検知する方式のもので、機械学習を通じてAIが様々な匂いの香り分子の組み合わせパターンを検知する。界面制御技術を織り込んだ樹脂材料から構成されているのが特徴で、その組み合わせにより複雑な香り分子を識別することが可能。
事業化にあたり、同社は、界面活性剤および機能性高分子に関する技術と知見を活かし、独自の組成設計に基づいた樹脂材料により、多様な匂いの識別を可能にする高精度なプローブの組み合わせの提案を行う。長瀬産業は、プローブから得られたデータ処理を含むセンサーシステムの上位設計と、顧客ニーズに沿った分析結果を提供する新規DXビジネスの構築を目指す。
「匂いセンサー」の事業化に向けては、まずは日本酒の醸造工程における品質管理と、香り成分の管理・計測や分析を通じた新商品開発への活用を目指す。その後は食品、医療、香粧品や工場での環境対応などの様々な市場においてのマーケティングを推進し、長瀬産業が国内外に有する顧客ネットワークを活用して幅広い分野に展開していくとしている。
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