Chatwork、中計の3戦略がいずれも順調に進捗 ロードマップを更新し、更なる推進の加速を目指す
2021年12月期決算説明会
山本正喜氏(以下、山本):本日はお忙しい中、Chatwork株式会社の決算説明会にご参加いただきまして、ありがとうございます。代表取締役CEOの山本正喜でございます。東京は大雪のため、今回はオンラインでよかったと思っています。それでは決算説明会を始めさせていただければと思います。
先ほど開示させていただいた当社の2021年12月期本決算は通期の決算となっています。本決算説明資料をベースにご説明させていただければと思います。
INDEX|目次
決算説明資料の概要はスライドのとおりです。会社概要から始まり、主要トピックでは四半期を含めた通期の主要な話題についてご説明します。そして、昨年2月に発表させていただいた中期経営計画の1年の進捗についてご報告します。それから、2021年12月期業績の発表を行い、2022年12月期の業績予想をご説明します。
その後、事業概要・中期経営計画、Appendixと続きますが、このあたりの内容については今まで開示している内容と同じもので、数字だけ最新のものになっています。こちらは時間の都合上、今回はご説明を割愛しますので、資料をご参照いただければ幸いです。
会社概要
会社概要です。Chatwork株式会社は、2021年12月末時点で従業員数251名となっています。所在地は、東京、大阪、ベトナム、台湾と変わらず4拠点で、東京がメインのオフィスとなっており、こちらに従業員の8割ほどが在籍しています。
コーポレートミッション
当社のコーポレートミッションとして、「働くをもっと楽しく、創造的に」を掲げています。この時間もそうかもしれませんが、人生の大半を過ごすことになる「働く」という時間において、お金や生活の糧を得るためだけではなく、1人でも多くの人がより楽しく、自由な創造性を存分に発揮できる豊かな社会を実現するというミッションを掲げ、そのために「Chatwork」という事業を手段として推進しています。
事業概要
事業概要です。社名にもなっている国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を主力事業として展開しています。また、「Chatwork」を中心とした複数の周辺サービスを、あわせて展開しています。
約10年前の2011年3月に、ビジネスチャット「Chatwork」をリリースしました。当時は世界でもビジネスチャットというサービスがほとんどなかったのではないかと思いますが、ビジネスチャットという言葉がない時代からの業界のパイオニアということで、市場を作ってきたという自負があります。
現在では、日本国内の利用者数はアクティブユーザー数ベースでNo.1ということで、国内最大級のビジネスチャットとなっています。導入社数は最新の時点で34.3万社を突破しています。電話、メールというコミュニケーション手段もありますが、そこから効率的なチャットへとビジネスコミュニケーションの変化を加速させる事業を展開しています。
Chatworkが実現したい世界
Chatworkが実現したい世界のイメージをお伝えできればと思います。コーポレートミッションの「働くをもっと楽しく、創造的に」を実現する世界観を表す言葉として、「シゴトがはずむ」というブランドのタグラインを発表しています。
コミュニケーションが活性化すると会話がはずむことがありますが、同じようにビジネスの現場でも会話をはずませて活性化させていくことで、仕事をもっとワクワク、心がはずむものに変えていきたいと思っています。
ユーザーのみなさまの働き方を誰よりも深く理解することで、ビジネスチャットの特徴でもある「いつでも、どんな場所でも、やりたいことに集中できる働き方の提供」を通して、ビジネスを活性化させる存在になっていきたいと思っています。
この世界観を表すブランドムービーとして、「かわる、はじまるChatwork」と題したムービーを作っていますので、ぜひご覧いただければと思っています。スライド右下にQRコードを掲載しており、そちらをスキャンするとYouTubeが開きます。QRコードの下に掲載しているURLをクリックして開くこともできますので、ぜひご覧いただければと思います。
ビジネスチャットの市場環境
ビジネスチャットの市場環境についてご説明します。ビジネスチャットの普及は進んできましたが、潜在市場規模が大きいマーケット、つまり普及率がまだまだ低いマーケットです。
3万サンプルほどの調査のためかなり正しいデータだと思っていますが、我々の最新の調査ではビジネスチャットの国内の普及率は15.6パーセントとなっています。少ない状況ではありますが、裏を返せば8割強の方々がビジネスチャットを使っていないということですので、成長余地が極めて大きいマーケットだと捉えています。
個人のやり取りでは携帯メールを使っている人はほとんどいなくなってきたのではないかと思っており、チャットやメッセージングツールを使っている方が多くなっていると思います。
一方で、ビジネスではまだまだメールや電話、FAXが主流です。しかし、個人の携帯メールと同じように、ビジネスメールからビジネスチャットへという流れが間違いなく進んでいくと思っています。
我々は、変化が不可逆に進むと考えています。一度チャットを使い始めると「なぜ、あれほど面倒くさいメールを使っていたんだろう?」という世界が、ビジネスにおいても間違いなく起こってくると思っています。ビジネスチャットを使っている方はビジネスメールに戻ることなくビジネスチャットを使い続け、ビジネスチャットのユーザーがどんどん広がっていくと確信しています。
また、近年の社会情勢を受けてテレワークが急増しています。新型コロナウイルスのオミクロン株が拡大し、在宅ワークが定着化しつつあります。例え新型コロナウイルスが収束したとしても、ハイブリッドな働き方が根本的な働き方を変化させ、定着していくだろうとも言われています。
我々はそれを大きな事業機会と捉えており、普及の加速時期において投資を加速しているというのがステータスです。現在は15パーセントを超える普及率ですが、今後3年間は、キャズムや普及の壁と言われている16パーセントを超え、ITリテラシーが高い一部の方が使うツールから、一般のみなさまも使うマジョリティ層へ広がる転換点になると考えています。
ビジネスチャット「Chatwork」の強み
そのようなポテンシャルのあるマーケットということで、ビジネスチャット「Chatwork」の強みをご紹介します。「Chatwork」の最大の強みは、社外との接続のしやすさにあると我々は考えています。
「Chatwork」には、1つの同じアカウントで社内のユーザーはもちろん、社外のユーザーともシームレスにやり取りができる「オープンプラットフォーム型」という、非常に特徴的な仕組みがあります。社外とのやり取りがしやすいということは、つまり紹介が起きやすい、口コミが起きやすいという構造を持っているプロダクトです。そのため、紹介や口コミで広がったユーザーが、さらにまた別のユーザーを招待するという複利の構造でユーザーが増加していきます。
スライド左下に、複利で増加するユーザー数のグラフを掲載しています。「Chatwork」がサービスインしたばかりの2012年1月から直近までのグラフで、我々の非常に重要なKPIである無料・有料を含めた登録ID数の伸び方を表しています。
ビジネスチャットというマーケットの競争環境が加熱し、強い競合が入ってくるシーンもありましたが、我々は紹介経由の複利で広がっていくという強い構造を持っているため、KPIが歪むことなく、きれいな2次曲線で成長していることがご確認いただけると思います。
また、ユーザー数の拡大だけでなく、継続的な機能追加という面でもプロダクト価値の向上を行っていますので、1ユーザー当たりの価格単価であるARPUも長期にわたって上昇し続けることができています。
機能追加をどんどん行うことでプロダクト価値が上がってくると、今までのプライスとのギャップ、乖離が出てきますので、プライシングの適正化を10年にわたって継続して実施しています。プロダクト価値の向上、プライシングの適正化は継続的に実行可能な戦略だと考えていますので、長きにわたってARPUを向上し続けていますし、今後も向上し続けていく見込みです。
ビジネスチャットの大きな特徴として、過去のチャットの履歴が蓄積されていくことがあります。Chatworkの場合は社内だけでなく、社外との取引による関係性も生まれてくるため、ほかのツールに乗り換えることが非常に大変で、乗り換えコストが高いです。
そのため、一度使い続けていただける状態になるとほとんど解約しないため、非常に低い解約率となっています。解約率の推移は長期にわたって低い水準ではありますが、少しずつ低下しており、高い定着率を実現しています。
ビジネスチャットに留まらない高いプラットフォーム価値
そのようなビジネスチャットというプロダクトを展開していますが、ビジネスチャットだけにとどまらない高いプラットフォーム価値があると我々は考えています。ビジネスチャットはホリゾンタルSaaSとも言われるカテゴリーのSaaSツールですが、業界や業種を問わず、全従業員が使うことができます。
営業、エンジニア、バックオフィスの経理、総務など、すべて職種の方が使うことができ、加えて朝から夜まで業務時間中ずっとコミュニケーションツールとして使い続けるため、ほかのSaaSと比較して圧倒的なユーザー接点、ユーザー接触時間を持つのがビジネスチャットだと思っています。
この高いプラットフォーム性を活かし、ビジネスチャットを使っているユーザーに、さまざまなDXに関わる周辺サービスの販売を展開しています。2017年から実証実験を行い、事業検証を進めて売上を積み上げていますが、勝ち筋が見えてきたということで、昨年に大きく事業推進を行い、前年比でプラス39.9パーセントと大幅成長を実現しました。
接触時間が長いことに加え、お客さまとのチャットを経由したコミュニケーションという強力なタッチポイントを有しています。我々のメインのマーケットは中小企業ですが、そのような方々に対して非常に効率のよいアプローチができており、顧客課題に対して効果的なサービス提供が可能だというところが大きな強みになっています。
具体的に言いますと、Chatworkでは「Chatwork DX相談窓口」という、DXに関わるさまざまなお悩みごとを何でも相談できる窓口を設けています。そちらにご相談いただくと、当社のDXアドバイザーがユーザーのさまざまな課題をヒアリングし、我々が提携するソリューションや提供するサービスのご案内を行っています。
中小企業No.1からビジネス版スーパーアプリへ
我々の中長期の方針はスライドのとおりとなっています。まず、メインのマーケットとなっている中小企業という領域においてNo.1のビジネスチャットを目指していきたいと思っています。そこからビジネス版スーパーアプリとしてプラットフォーム化していくという展望を掲げています。
中期経営計画では、2024年まではシェアを拡大することが大きなテーマになっており、中小企業におけるNo.1ビジネスチャットのポジションを確立することをビジョンとして掲げています。
中小企業におけるNo.1のポジションを確立したあとの2025年以降は、圧倒的なシェアを背景にあらゆるビジネスの起点となる、ビジネス版スーパーアプリのプラットフォーム化を長期のビジョンで目指していく展開を考えています。ビジネス版スーパーアプリというプラットフォームを展開するためにも、2021年から2024年の中期経営計画の範囲が、当社においてシェア獲得における最重要フェーズと捉えており、投資スピードを最大限に加速しているところです。
スライドの図が大きなロードマップになっていますが、初年度の2021年の大きなテーマとして、「前年を超える売上成長率の実現」「継続した売上成長のための体制整備」を掲げています。
後ほどご説明しますが、前年を超える売上成長率の実現についてはCAGR40パーセントに成長するというコミットメントに対して、47パーセント強と大きく上回る売上成長率を実現できました。また、売上成長のための体制整備では、特にビジネスサイド、セールスマーケティング、カスタマーサクセスの体制が大幅に強化できています。後ほどトピックでご紹介できればと思います。
当期2022年の定性的な目標としては、「ユーザー獲得数の成長ペースを大きく引き上げる」を実現していきたいと思っています。ARPUの向上は継続的に行っていきますが、今期はユーザー獲得数のペースを上げるというところを見込んで実現できればと思っています。
また、先ほどお伝えしたプラットフォームというところでは、「周辺サービスを拡充させ、事業成長の柱に」ということで、事業検証のフェーズから事業成長の柱にするフェーズとして、2022年から周辺サービスの領域を拡大していきたいと思っています。
KPIハイライト
KPIのハイライトです。特に、SaaSでよく見られる重要なKPIをスライドにまとめています。登録ID数は、無料のIDと有料のIDを合算した数値になっています。昨年の第4四半期末の年末の時点で、476.1万IDを突破しています。課金ID数は、同じく第4四半期末時点で54.9万IDです。
導入社数は34.3万社、ARR(アニュアル・リカーリング・レベニュー)は37.8億円です。ARRはビジネスチャットの「Chatwork」だけではなく、事業取得させていただいたクラウドストレージのSaaSのビジネスもあわせた数字となっています。
NRR(ネット・リテンション・レート)は、前年度までに獲得したお客さまが次年度以降にどれだけレベニューが拡大していくかを表した指標で、こちらも100パーセントを超えています。いわゆるネガティブチャーンという、解約によって売上が減るのではなく、売上が経年で伸びていくという構造を実現できています。昨年までは120パーセントでしたが、2021年末時点では122パーセントということで、少し改善できている状況です。
解約率に関しては先ほども少しお伝えしましたが、0.3パーセントという低い水準を実現できています。ARPUに関しては528.1円で、500円を超える数字になってきています。DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)は、昨年の第4四半期中の最大値で97.8万ユーザーで、100万ユーザーに迫るところまで拡大が進んでいます。
トピック①公募増資により資金調達を実施
主要トピックについてお話しします。1つ目のトピックですが、公募増資による資金調達を実施しています。昨年12月の頭に海外募集による公募増資を実施しています。いわゆるABB(アクセラレーティッド・ブックビルディング)という手法で約20億円ほど調達しています。
先ほどからお伝えしているとおり、中期経営計画で最大限の投資フェーズということで、計画の実現性を高めるための広告宣伝費および人材採用、そしてビジネス版スーパーアプリの実現に向けたM&Aなどの出資に用いることを考えています。
スライドに、目的と資金使途を記載しています。繰り返しになるところもありますが、目的としては2024年に中小企業No.1ビジネスチャットのポジションを確立するための取り組みとして、中期経営計画に掲げている「Product-Led Growth 戦略」「Horizontal × Vertical 戦略」「DXソリューション戦略」の3つの大きな戦略を加速するところに使っていきたいと思っています。
また、株式流動性の向上および海外機関投資家層のさらなる拡充ということで、株価の安定につながるところも目的としています。
資金使途としては、先ほどもお伝えしたとおり、「Product-Led Growth 戦略」を加速するための広告宣伝費で8億3,500万円、組織強化のための採用の人件費で同じく8億3,500万円、ビジネス版スーパーアプリの実現に向けたM&Aおよび資本提携で3億円を考えています。
トピック②「Chatworkスーパーアプリファンド」が本格展開
2つ目のトピックです。ChatworkのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)である「Chatworkスーパーアプリファンド」を今期から本格的に展開していきます。Chatworkと事業シナジーがある企業への出資を行うことをコンセプトとしています。
どのようにシナジーを起こしていくかと言いますと、「Chatwork」は中小企業を中心に470万IDを超える非常に大きなユーザー母数を持っています。ただの純投資ではなく、その顧客群のうち中小企業にとって価値がある事業・プロダクトを展開している方々と資本提携し、そのサービスに対して我々のユーザーを送客します。
それによって、我々はマーケティング費としての収益を得ることができますし、送客によって資本提携した事業・プロダクトはグロースしていきます。将来的なイグジットの際まで非常に効率よくバリューを追加でき、キャピタルゲインとしてグロースも取り込めるCVCとして、「Chatworkスーパーアプリファンド」を展開していこうと思っています。
こちらのコンセプトは昨年から検証を進めています。昨年7月にスターティアホールディングスさまから取得させていただき、適時開示しているクラウドストレージ事業がありますが、51パーセントのマジョリティを有しています。
加えて、2021年12月には、採用関連のSaaSの会社である株式会社ネットオンさまと、福祉・医療業界向けの確定拠出年金などの資産運用に関するSaaSのサービスを展開している株式会社ベター・プレイスさまに出資させていただきました。単なる資本注入だけではなく業務提携も行っています。構造を検証した上で出資したため、我々が送客したものを収益に変えるというコンセプトと非常に相性がよかったです。このような資本業務提携をどんどん加速させていきたいと思っています。
また、Chatworkスーパーアプリファンドのパートナーとして、今期から新たに森雅和氏が就任しました。森氏はもともと弊社のベンチャーキャピタルに在籍しており、ベンチャー投資やスタートアップ投資を行ってきました。そして、事業会社に移ってからは役員としてコーポレート全般を管掌し、その後はウィルグループでCVCの立ち上げおよび運用に従事しました。
ベンチャーキャピタリスト、事業会社のコーポレート、CVCの立ち上げという3つの異なる立場を経験し、幅広い視野を持った非常に優秀な方に参画してもらうことができました。今後は、森氏を中心にChatworkスーパーアプリファンドを本格展開していきたいと思っています。
トピック③TV CM放映を首都圏へ拡大
3つ目のトピックです。TV CM放映を首都圏へ拡大させました。
TV CMの放映開始は以前からお伝えしていますが、広告効果の検証の結果、昨年10月からは首都圏を中心に関東・関西で大きく展開することになりました。現状では、想定を大きく超える認知率向上を実現できています。
スライドにあるグラフに記載のとおり、「Chatwork」の認知率はCM放映前は17.1パーセントでしたが、放映後には28.5パーセントと10ポイントを超える認知率の大きな向上が確認できています。広告代理店から「一般的にはこれくらいのCM投下量で、これくらいの認知度向上が期待できますよ。」と言われた数値を想定値として置いていますが、それを大幅に超える認知度の拡大が実現できました。
パフォーマンスが非常によいため、シェア拡大における最重要フェーズである現段階では引き続きCMを展開をしていく予定です。もちろん各種KPIやLTV/CACにおける費用対効果をしっかり管理しながら、マーケティング投資を積極的に行っていければと思っています。CMクリエイティブの詳細は、スライド右下にあるQRコードをスキャンすると「YouTube」からご覧になることができます。
トピック④ビジネス本部の大幅な体制強化を実現
4つ目のトピックです。ビジネス本部の大幅な体制強化を実現しました。ビジネス本部は当社における大きな部隊で、いわゆるセールス、マーケティング、カスタマーサクセスなどの収益を拡大するチームが所属しています。
2021年度を通して、プラットフォームの新規事業を管掌しているビジネス本部を大幅に体制強化することができました。スライドに記載のとおり、人員数は2021年1月には67名でしたが、今期1月の時点では129名と倍増しています。
さらに、いくつかの課を束ねた部のような組織単位としてユニットがありますが、ユニット数を2つから4つへと増やし、ユニット長にはシニアマネジメントとして優秀な方々に参画していただいています。
現CMOの大森は元UTグループの執行役員、カスタマーエクスペリエンスユニットの齊藤は元ZUUの執行役員です。また、ビジネスデベロップメントユニットの福田は現CSOでビジネス本部長も兼務しているのですが、元エス・エム・エスの執行役員です。組織横断で顧客コミュニケーション戦略を進めていくクロスファンクションユニットの達山は、もともとベーシックという大きなSaaSの会社の執行役員です。
私はもともとエンジニア出身で、CTOからCEOという経歴です。そのため、Chatworkはプロダクトで伸びてきた会社でした。
この1年で、従来の強みであるプロダクト組織に加えて、両輪となるビジネス組織が大幅に強化されたことで、さまざまな戦略を推進していく体制がかなり整いました。こちらは非財務情報ではありますが、当社としては中期経営計画実現に向けての大きな一歩でしたのでトピックとして開示しました。
目標値を大幅に上回る売上成長を実現
中期経営計画における進捗についてです。2021年から2024年を中期経営計画としていますが、その中でも主力のChatworkセグメントにおいては4年間でCAGR40パーセントの成長をコミットしていきます。
スライドのグラフをご覧ください。青い点線部分が目標をプロットしたもので、赤い実線部分が実績になります。1年目の成長率は前年比47.9パーセント増と、目標を大きく上回るペースで進捗させることができました。
成長率を大きく引き上げるには高いハードルもありましたが、先ほどお伝えしたビジネス本部の機能向上や、投資により数字を積み上げることで目標を上回る進捗となりました。そのため、2021年度はこのような実績をご報告できています。
2021年度における中期経営計画の進捗
2021年度の1年間における中期経営計画の進捗についてです。今年度は3つの戦略が順調に進捗しています。
1つ目のProduct-Led Growth戦略は、プロダクトが事業成長を牽引する戦略です。先ほどのトピックでもお伝えしましたが、新規ユーザーの獲得のためTV CMの検証を開始して首都圏へと放映範囲を拡大しました。その結果、想定を超える認知率の向上を実現できています。
また、これまでは実行できなかったような、1,000人、2,000人を超える大型なオンラインカンファレンスを複数回開催するなど、マーケティングの組織能力が非常に大きくなりました。そして、今期のテーマであるユーザー拡大に向けた準備でもありますが、フリーユーザーの獲得推進、カスタマーサクセスの強化を主軸とした大規模な組織再編を実施しています。準備万端な状態で、今期もProduct-Led Growth戦略を推進できればと思います。
2つ目はHorizontal × Vertical戦略です。「Chatwork」はHorizontal SaaSですので業界を問わないものではありますが、業界ごとの課題を理解することでマーケティング、セールス、カスタマーサクセスのコミュニケーション戦略に生かしていきます。
顧客折衝の現場においてのインタビューをひたすら繰り返して、各業界でどのような問題・課題があり、どのような変化が起こっているのか、どのような痛みがあるのかを聞き取り、業界理解に努めています。そして、「Chatwork」を日々使っている業界の方がどのような使い方をしているかを学習しています。このような取り組みを型化することで、同じような業界で同じような課題をお持ちの方に「Chatwork」を使った課題解決を提案しやすくなります。
例えば、マーケティングにおいてはセミナーや勉強会を開催する時にそのようなノウハウを伝え、興味を持ってもらうことができます。セールスにおいては「メールに比べて便利ですよ」というツール機能の売り込みだけでなく、「介護の業界ではこのような法改正がありますよね、『Chatwork』を使えば、それに対応した業務改善ができますよ」などと課題解決型のアプローチができます。
すでに実績は出ていますが、これからは特にマジョリティ層である一般の方にもたくさん使っていただきたいと思っています。ITに詳しくない方々でも使えることが重要ですので、この戦略によってそこに資するような知見が溜まっていくことに期待しています。さらに、今期は我々と相性がよい業界を特定し、そこに関して深く展開していくことに注力できればと思っています。
3つ目はDXソリューション戦略です。これは、ビジネスチャットが拡大していく中において、いろいろなSaaSのプロダクト、ファイナンスのサービス、BPOのサービスなどをクロスセルとして展開していくプラットフォーム戦略です。
先ほどもお話ししましたが、昨年4月から「Chatwork DX相談窓口」を設けて、さまざまな提案をしてきました。この1年間で多くの企業と提携し、すでに19サービスまで拡大しています。そして、サービスを拡大しても効率よく送客につなげられるチャネルを開発し、顧客プロセスを洗練させることができています。
また、昨年7月にはクラウドストレージ事業を取得しました。自社のプロダクトを増やし、「Chatwork」が売れたらソリューションも売れるようにすることで、売上の拡大を図っていきたいと思っています。このように定量的な収益を得るビジネスフローが確立してきたと思っており、今期も拡大を進めていきます。
そして、このようなプロセスが確立されたことに連動して、先ほどお伝えしたとおり「Chatworkスーパーアプリファンド」を立ち上げました。業務提携および資本提携を含め、スーパーアプリ構想の推進を加速できればと思っています。
中期戦略ロードマップを更新
中期戦略のロードマップについては、1年経ったところで少し更新をかけました。内容自体の変更はありませんが、非常に順調に戦略推進できている部分に関しては前倒して今期から実施していきます。
Product-Led Growth戦略においては、TV CMにより認知の拡大が実績として出ていますので、中小企業に対する認知・ブランディング施策の拡大に2022年度から前倒しで取り組みます。また、Horizontal × Vertical戦略においては、多様な業界・業種に対応したDXソリューションの提供にすでに着手できそうですので、2022年度から前倒しで取り組みます。
このように3つの戦略ともによい進捗を見せており、2022年度も大きな実績を示せるのではないかと考えています。
業績ハイライト
井上直樹氏(以下、井上):2021年度12月期の業績についてご報告します。
業績ハイライトとして、通期連結売上高は33.7億円で、前年同期比39パーセント増となりました。Chatworkセグメントの通期売上高は31.5億円で、前年同期比プラス47.9パーセントとなりました。通期売上総利益は23.7億円で、前年同期比プラス34.6パーセントとなりました。通期営業利益はマイナス6億8,000万円でした。
価格改定およびクラウドストレージ事業の連結化によって、全社の売上高およびChatworkセグメントの売上高ともに前期比でかなり大幅に伸長できています。また、クラウドストレージ事業についてはシナジー効果を含めて順調に進捗しています。通期売上高は1.8億円、通期営業利益はマイナス2,400万円で着地しています。
中期経営計画に記載のとおり、採用や広告宣伝費の加速などの先行投資により営業利益の各段階利益はマイナスとなっています。ただし、フリープランの制限強化により有料化が進み、課金ID数は54.9万IDで、前年同期比プラス19.8パーセントと大幅に伸長しています。ARPUについても、価格改定の影響により前年同期比プラス28.9パーセントと大幅に増加している状況です。
業績サマリー(通期)
今お伝えした数字の詳細は、スライド24ページをご確認ください。昨年11月に出した業績予想もすべてクリアしている状況です。
業績サマリー(四半期)
第4四半期の業績サマリーです。価格改定および取得したクラウドストレージ事業の連結化というトピックもあるのですが、特に注目していただきたいのはChatworkセグメントの売上高が前年同期比プラス71.9パーセントとかなり大幅に伸長している点です。営業利益以下の段階利益については、先ほどお伝えしたとおり、先行投資としての人件費・広告宣伝費の増加によってそれぞれマイナスとなっています。
売上高推移
売上高の四半期ごとの推移についてです。全社の売上高および最重要の経営目標であるChatworkセグメントの売上高ともに、昨年の第3四半期から角度が変わるような成長をしています。全社の第4四半期の売上高は前年同期比プラス62.7パーセント、Chatworkセグメントの第4四半期の売上高は前年同期比プラス71.9パーセントと、かなり大幅に伸長している状況です。
登録ID数・DAU数推移
各種KPIで、登録ID数およびDAU数の推移になります。こちらも登録ID数については前年同期比プラス20.5パーセントとなり、増加のペースが再加速している状況です。DAU数も順調に伸びており、前年同期比プラス14.9パーセントで推移しています。
課金ID数・ARPU推移
こちらは直接売上に影響するKPIで、「Chatwork」の課金ID数およびARPUです。ご覧のとおり、まず「Chatwork」の課金ID数については、昨年7月に実施したフリープランの制限強化により有料化が大幅に進み、前年同期比プラス19.8パーセントで推移しています。
特にスライド右側のARPUのグラフをご覧いただくと、第4四半期は非常に伸びているのがわかります。これは価格改定によるところが大きいと思います。ARPUについては528.1円と、500円を大幅に超えて前年同期比プラス28.9パーセントとなり、こちらも大幅に上昇している状況です。
売上総利益・売上総利益率推移
売上総利益および売上総利益率についてです。まず売上総利益については前年同期比プラス55.9パーセントで増加しています。売上総利益率については70.8パーセントと、前年同期比マイナス3ポイントで減少しています。
価格改定および、先ほど山本からお伝えした大型カンファレンスによる売上伸長がかなり寄与しており、売上総利益率については前四半期比で改善している状況です。
営業利益推移
営業利益についてです。先ほどから投資を最大限加速させることをお伝えしていますが、2021年は積極的な投資がかなり功を奏し、中期経営計画における成長目標を大幅に超える成長を実現できました。
今後もシェア拡大における最重要フェーズとして、投資スピードを最大限加速させていきたいと思います。その結果、営業利益については第4四半期マイナス3.47億円となり、投資を拡大させています。
2021年6月より開始したTV CMの放映については、認知率の向上などかなりよい効果が確認できているため、今後も規模を拡大して継続する予定です。
費用構成推移
各費用構成となります。スライド左側の棒グラフをご覧ください。一番上の水色の部分が人件費で、エンジニア・カスタマーサクセス・インサイドセールスなどの採用が順調に進んでいるため、人件費が増加しています。
また、その下の黄緑色の部分が広告宣伝費になります。TV CM放映の効果が確認されたため継続を拡大しており、広告宣伝費が増加しています。売上に対する費用構成比については、スライド右側のグラフをご覧ください。黄緑の折れ線グラフの部分ですが、広告宣伝費率が上がっている状況です。
従業員数推移
従業員数の推移です。採用は引き続き順調に進んでおり、昨年度比でプラス89名となります。第4四半期のみでは、プラス15名の純増となっています。また、従業員数の大幅な増加に対応するため、組織体制の強化が順調に進んでおり、離職率は低水準に維持できている状況です。私からのご説明は以上になります。
2022年12月期 業績予想
山本:当期、2022年12月期の業績予想についてご説明します。2022年12月期の業績予想としては、前期に引き続きChatworkセグメントの売上高成長を最重要の経営目標としています。
中期経営計画としてコミットメントしている2021年から2024年のCAGR40パーセント以上の売上成長に合わせ、2022年12月期の業績予想では、Chatworkセグメントの売上高は前期比プラス40パーセント以上の成長を実現していければと思っています。
また、Chatworkセグメント以外にセキュリティセグメントがありますが、全社売上高で前期比プラス35パーセント以上の成長を目指していきたいと思っています。
利益及び投資に関する考え方
利益および投資に関する考え方です。営業利益のところでご確認いただいたとおり、投資を非常に加速しているため、赤字幅が大きくなっています。それがどのくらいで黒字化していくかについて、利益および投資に関する考え方をお伝えしたいと思っています。
スライド左側の図をイメージとして捉えてください。中期経営計画という単位がある中で、ChatworkセグメントをCAGR40パーセント以上でトップラインの売上を成長させていきます。
それに合わせ、スライド図の青いラインで示した営業利益をご覧ください。SaaSでは最初にコストが先行する構造になります。コストが先行し赤字幅が急に上がっていきますが、いずれ売上成長が伴ってくると、底を打って利益が上がっていきます。いわゆるJカーブといわれる利益イメージになっていくことをご認識いただければと思います。
我々はSaaSのビジネスを展開しており、新規の顧客獲得コストであるセールス・マーケティングのコストは、単年度でかかってくる費用となります。そこで獲得したお客さまは、月額で課金されていき、止めるまでずっと売上として発生するため、次年度以降の売上になってくるところがあります。
そのため、顧客獲得コストというセールスマーケティング費用および広告宣伝費は、単年度の費用というよりは、将来への投資という見方をしていただけるとよいのではないかと思っています。
中期経営計画で示したように、今が投資の最重要フェーズのため、引き続き認知広告も含めた広告宣伝費を増やしながら、中長期的な成長を確かなものとします。広告宣伝費をかける・伸ばすという構造をずっと維持することで、大きく成長させていくことを実現していければと考えてます。
もちろん、TV CMを含めた認知広告では非常に大きなコストを払うため、各種KPIやユニットエコノミクスといわれるLTV(ライフタイムバリュー)およびCAC(カスタマーアクイジションコスト)をしっかり見て、投資対効果を確認しながらコストを使っていきたいと思います。
質疑応答:投資拡大の方針について
司会者:最初の質問をご紹介します。「2021年12月期は上場後初めての赤字となりましたが、今後の見通しについて、お話しできる範囲でご説明ください。投資を加速する時期との認識ですが、来期以降も投資は拡大する見込みでしょうか?」というご質問です。
山本:当社は2019年9月に上場して以来、通期での黒字を2期続け、そこから2021年12月期に関しては、大きく赤字の決算となりました。こちらは繰り返しお伝えしたとおり、中期経営計画で大きく事業成長を加速するための先行投資があります。このため、我々としては健全な投資ができていると認識しています。
また、CAGR40パーセントの売上成長を目標としていますが、2021年度はそれを超える成長が達成できたため、非常に手応えを感じた1年でした。この売上成長がしっかり実現できれば、かけたコスト以上に利益として回収できます。当然、その読みのもとに行っており、きちんと費用対効果が合うところは積極的に投資すべきだと思っています。
特にシェア拡大期では、キャズムを超えてビジネスチャットが当たり前になっていくことが、ここ3年くらいで大きく進むと思います。そこにおいてのシェアが、単純なリカーリングレベニューのアカウント課金だけにとどまらず、その後のプラットフォームの可能性にもつながっていきます。
もちろん規律を持ってということはありますが、シェア拡大や売上成長のため、今このタイミングで積極的に最大限投資したいと思っています。そのROIが見える範囲で積極的な投資を、今期も継続していきたいと考えています。
井上:現在の業績予想については、お示ししているとおり、売上の指標のみの開示となっていますが、利益予想に関しては見通しがつき次第、遅延なくお示しする予定です。
質疑応答:利益予想を開示しなかった理由について
司会者:3点質問をいただいたため、1点ずつ紹介します。1つ目は「2022年12月期業績予想で利益予想を開示しなかった理由を教えてください」というご質問です。
山本:こちらに関しては、TV CMも含め大きな費用がかかるような施策をさまざま準備しています。これらの効果により、実行するもの、しないものを大きく機動的に考えていきたいところがあります。
利益のガイダンスを出してしまうことで、投資家のみなさまに対し間違った情報をお伝えすることになってはよろしくありません。まだ見えるところまでは、利益の開示を非開示としている背景があります。
質疑応答:課金ID数の増加について
司会者:2つ目は「課金ID数は、前期以上に伸ばす想定でしょうか?」というご質問です。
山本:おっしゃるとおりです。今期のテーマとしてはユーザー数の拡大が大きくあります。2021年はARPUの成長がけっこう大きかったと思いますが、ユーザー数の獲得はまだまだ物足りないと思っています。
2022年は、ARPUはもちろん、ユーザー数についても無料だけではなく有料も含めた獲得数を大きく加速させることをしっかりと行っていきたいと思っています。当然、成長ペースを引き上げる前提で、戦略を推進していきます。
質疑応答:ARPUの上昇について
司会者:3つ目は「値上げ一巡後の下期以降は、ARPUが上昇するのでしょうか?」というご質問です。
山本:ARPUは継続的に上昇しています。こちらは非常に安い価格で提供していた旧プランを、順次価格改定しています。
こちらに関しては、現在の標準プライスに合わせたところです。今後大きな価格改定がどれくらいあるかについては、今までほど大きく実施することは少なくなってくると思います。
それではARPUが上昇しないかというと、そうではないことをお伝えできればと思います。我々はプラットフォームのビジネスを展開しています。
ARPUという考え方を今後どのように開示していくかによりますが、いずれにしても「Chatwork」だけではなく周辺サービスが売れることにより、課金IDだけでなく無料IDの方にも1ユーザーあたりの収益を上げることができるのがプラットフォームのビジネスです。ARPUの考え方ではそこには入っていません。
そちらの収益構造、1ユーザーあたりの単価という考え方に関しては、周辺領域の売上が上がっていくことにより、少し定義が変わってきますが、トータルの見え方のARPUを大きくしていくことをイメージしています。
質疑応答:クラウドストレージ事業のシナジー効果について
司会者:「買収・連結化したクラウドストレージ事業についての質問です。その後のシナジー効果について、具体的に教えてください」というご質問です。
山本:クラウドストレージに関しては、PMIを進めているところです。もともとのグループであったスターティアレイズ側から出向されている社員の方々が体制を引き継ぎ、現在も事業を推進しています。当社からも出向社員というかたちで業務の引き継ぎおよび事業理解、グロースを少しずつ行っている状況です。
そこに関しては以前の開示でお出ししましたが、商談設定数という売上にとって非常に重要な先行KPIが大きく拡大しました。PMIを進めている最中ですが、KPI単位では大きな改善がすでに見えてきている状況です。
さらにPMIを進め、現在はプロダクトにも手を入れています。プロダクトのコスト構造や新バージョンも準備しており、そちらが広がっていくことで機能性やコスト面の改善も進んでいく準備をしています。また、そちらの開示内容の充実化も今期はしっかり行っていきたいと思っています。
質疑応答:レンジ形式で開示する選択肢について
司会者:先ほど利益予想を開示しなかった理由についてご質問いただき、回答しましたが、そちらに追加でのご質問です。「それであれば、レンジ形式で開示すべきではないでしょうか? 投資家のお金を使って事業運営しているのであれば、期初段階でどれくらいの費用を使うのか、わかる範囲だけでも開示すべきだと思います」とのご意見をいただいています。
山本:レンジ形式での開示もしたいとは思っていますが、非常に幅の大きな、CMも含めた投資となっているため、いったんこのようなかたちとなりました。ご意見として、次回以降の開示で検討したいと思います。
質疑応答:今後の採用人数の見込みについて
司会者:続いての質問になります。「今後の採用人数の見込みについて教えてください。今後の採用は、これまでの水準と同程度の規模で行う予定でしょうか?」とのことです。
山本:採用は前年度比プラス100人くらい純増し、大きく拡大しています。今期も引き続き採用は必要だと思っています。ビジネス本部が大きくなり、マーケティングやカスタマーエクスペリエンス、事業開発など必要な主要機能が揃ってきて、当社の体制としては拡充できたところです。
セールスやカスタマーサクセス、マーケティングという人員あたりで売上を作れるところは人員が次々に増加していますが、ファンクション単位で大きく拡充させるところは一定数揃いました。
そのため、セールスやカスタマーサクセスの人員数が売上とともに増えていくことはありますが、採用ペース自体は少し緩やかになると見ています。
ただし、人員が増えれば売上が伸びるところであれば、また採用数を増やすことも考えているというイメージで捉えていただければと思います。
質疑応答:TV CMの費用対効果について
司会者:「TV CMの費用対効果について、お話しできる範囲でお答えください」というご質問です。
山本:TV CMは認知率向上が初めの効果です。CMは非常に難しいところがあるのですが、認知率では、一般に行われているもの以上に、大幅に上げられたことが成果としてあります。
実際に認知につながり、知っているから「Chatwork」を選んでいただけるというマーケティング効率が上がり、最終的には獲得につながっていきます。そちらにつながるところに関しては、正直なところもう少し時間がかかります。
現在は15秒という非常に短い尺になるため、「Chatwork」の内容よりは、ビジネスチャットナンバーワンで、中小企業のためのものといったメッセージを端的に伝えています。「Chatwork」を知っていただくためのクリエイティブに寄せているところがあります。
ここから継続し「『Chatwork』はこのようなこともできます」という、いわゆる態度変容により、「欲しい」と思ってもらうところにつなげていくクリエイティブを順次展開していきます。
認知を取り、興味を持ってもらい、「欲しい」と思ってもらう流れで、少しずつクリエイティブを変化させながら、KPIやLTV/CACにつなげていく展開を想定しています。いったん認知を取るという一番頭の施策に関しては、うまくいったところです。
山本氏よりご挨拶
山本:本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございました。2021年12月期は、当社として初めて開示した中期経営計画の1年目となり、ここでしっかり実績をお示しすることが非常に大事だというところで、全力で事業推進してきました。
その結果、中期経営計画のコミットメントを大幅に上回る数字をお示しできたことは、よかったと思うとともに、非常に自信につながっています。1年目は体制を作りながら数字も達成するところではありましたが、体制が整った2年目以降は、ここからさらに成長を加速させることを推進していきたいと思っています。
マーケットの市況感は不安定になりますが、中長期でしっかり事業価値に収斂するという根本は変わらないと思います。我々としては企業価値・事業価値を上げるところに迷いなく進めていければと思っています。引き続きご指導のほどをお願いできればと思っています。本日はありがとうございました。
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