セーフィー、ARRは60億円に到達し課金カメラ台数は14.7万台で着地 2025年に向け引き続き現場DXを推進
会社概要
佐渡島隆平氏(以下、佐渡島):セーフィーの佐渡島と申します。みなさま、本日はお集まりいただきましてありがとうございます。私から会社概要と成長戦略についてお話しさせていただき、CFOの古田から決算の概要についてお話しさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
まずは簡単に会社概要と成長戦略をお話しします。
当社は2014年に設立し、現在8年目で約300人の社員数を抱えています。カメラの映像をクラウドに集め、そこからまた新しいアプリケーションを生み出すといった事業展開をしている、セーフィーという会社です。
沿革およびマーケットシェア
我々はキヤノングループ、NTTグループ、USEN、セコムなど、大手の企業と一緒にこの市場を作ってきました。現在、約14.7万台の課金カメラ、約47.5パーセントのマーケットシェアを有しております。しっかりと高いマーケットシェアを有し、あらゆるところにカバレッジしていき、それを広げていくのが我々の営業戦略となっています。
環境変化 - 高まる弊社サービスの活用余地
昨今、日本の労働生産人口が減少し続けており、コロナ禍において遠隔で仕事をすることが当たり前になっています。そうして得られるデータは大量になったことで、AIで解析していく動きが加速していたり、GPUのコストが下がっている中、5Gの影響で集まってくるデータを新しいアプリケーションに変えていくこと自体が、社会のニーズとなってきています。クラウドカメラという事業を社会のニーズとして広げていこう、DXしていこう、というのが我々の事業戦略になっています。
ビジネスの成長に伴い拡大する広大なTAM
社会のニーズが広がってきている、というところについてですが、我々の課金カメラの台数14.7万台に対して、国内のカメラの台数は660万台、そして約3,000万台近くで映像を使ってお仕事していきたいという需要がコロナ禍で生まれてきています。
そこをしっかりTAMとして国内でも取っていくのが我々ができる足元の営業戦略です。さらには、グローバルにも映像価値が広がってきていますので、その領域も我々としてはカバーしていきたいと考えています。
2025年12月末のARRターゲット
我々は2025年12月末に200億円から250億円のARRを達成するというコミットメントを実現したいと考えています。年間の成長率は37パーセントから45パーセントのレンジで、毎年しっかりと成長軌道を作っていくことを足元で行っています。
達成するための優先順位
そのARRの200億円から250億円を達成するために、まずは、あらゆるところにカメラを敷き詰めていき、データが集まってくることが非常に重要です。それによりさまざまな業界に広がっていくため、その業界ごとにアプリケーションを作っていくと、将来的な単価上昇にしっかりと響いてくるということです。
まずはカメラを広げることが現状の戦略になっています。そこからリピートオーダーを受けつつ、少しずつ単価を上げていくというのが今後の事業戦略です。
達成にむけた成長テーマ
我々はこれを実現するために、営業の現場では「現場DX」という言葉を積極的に活用することで、みなさまがサービスのソリューションイメージを持ちやすくしています。「映像データであらゆる産業の現場をDXする」を我々のビジネスコンセプトとして設定しています。
オフィスで働く人たちには当たり前のようにZoomやMeetなどのツールがありますが、現場を持っている人たちにとっての当たり前がなかなかありませんでした。
このコロナ禍によってさまざまな現場で遠隔業務が推進され始めていますので、遠隔業務をしっかりとサポートしていき、さらにそれを発展させていくのが「現場DX」に込められたポイントになります。
大きな成長余地 - セーフィーが解決できる顧客課題は多様
少し具体的にお話しします。さまざまな業界で我々のサービスが利用されてきていますが、どの業界のみなさまも、はじめは防犯・記録としてカメラを使います。しかし、いろいろなバリエーションのカメラがありますので、STEP2では遠隔でカメラを使うことでコスト削減や省人化、多拠点の管理を行うところまで広がってきています。
STEP3、STEP4、STEP5は、これから我々が投資しながらさらに広げていこうとしているポイントです。例えば、小売業ではPOSなどと連携したり、建設業では施工管理をデジタル化したり、安全管理などをAIで行ったりします。
そのような新しい需要を、さまざまな業務ツールや新しいアプリケーションによって解決していきます。さらにはデータ化したものをバリューチェーンとして活用することで、業界・社会課題を解決していこうというのが大きな流れになっています。
足元の業績にもきちんと向き合いながら、しっかりと投資を行い、さまざまな業界で使っていただくことが我々の今の戦略になっています。
新たな業界での成長加速
小売、飲食・サービス、建設業界では、足元で売上がしっかりと上がってきています。さらに今までの建設現場などとのお付き合いが非常に広がってきていますので、スマートビルディングや物流、製造、公共などの新しい分野にカメラが徐々に入り始めています。そこをしっかりとセールスし、広げていきます。
また、中長期的に見ると、海外にも需要は伸び続けていますので、こちらもしっかりとサポートし、投資を継続していきたいと考えています。
ランシステムさま(セーフィー×RURAで無人化店舗を実現)
DXについての具体例がなかなか見えてこないところがありますので、簡単にご説明します。ランシステムさんは3年ほど前から当社のお客さまで、いろいろ試行錯誤して使っていただいています。
最近、業務システムを完全に組み込んだオペレーションが運営され始めています。例えば、従来であれば1店舗に1人、2人は店舗のオペレーションをする方が必ずいました。しかし今は、当社のサービスと他のスタートアップのサービスをうまく組み合わせて使うことで、わずか3人で27店舗を同時に管理することに成功しています。
このように、自動化、無人化というかたちで、複合カフェをオペレーションしている事例があります。スライドに記載のとおり、カメラをつけるだけでなく遠隔接客のモニタリングセンターを作り、オペレーションを可視化し、タイミングを見て人が行くということを実現しています。
ミニストップさま
AIの分野はPoC、つまり実証実験を行うことがまだまだ多いと考えています。まだ実証実験の段階ではありますが、ユニークな事例が1つありますのでご紹介します。
コンビニエンスストアのミニストップさんです。スライドの写真のようにレジ横に並んでいるからあげや、その場で作っているお惣菜などの中食は非常に利益率がよいため、タイミングに応じてロスを減らし、利益をしっかりと最大化することが求められています。
そのため、カメラから欠品を自動管理し、POSデータや売上管理データとを紐付けながらリアルタイムでオペレーションを変えていこうという取り組みが行われています。
また、コンビニエンスストアだけでなく、さまざまな飲食のチェーンやスーパーマーケットなどでもこのような実証実験が広がってきています。
この実証実験により、みなさまに新たな価値を発見していただき低コストでオペレーションができるようになれば、このようなシステムがあらゆる店舗に広がり、省人化、無人化の流れも広がっていくと考えています。
八千代市消防本部さま
少し毛色の違う事例として、八千代市の消防本部で行っているものをご紹介します。消防隊員の方が現場に突入した時などに、スライドの写真のようなウェアラブルカメラを使うことで、本部もしくは熟練の方がしっかりサポートしながら、危険な業務を遂行するというものです。
訓練で使っていただくところから、徐々に実際の業務にも使えるようにするため、現在、千葉県八千代市でサポートしています。
Safie Entrance2のリリース
これまで「Safie Entrance(セーフィー エントランス)」をローンチしていましたが、より廉価で、より多拠点を一気に管理できるようなサポートツールもしっかり充実させた「Safie Entrance2(セーフィー エントランス ツー)」を満を持してローンチしています。
検温管理なども同時にでき、勤怠の管理と連携することでカードキーが不要になり、交通費の精算なども非常に円滑にできると好評です。このように、さまざまなオフィス、ビルなどの現場にも導入するかたちを取り、カメラとセットで販売して、スマートビルディングの提案などもできるように進めています。
当社の顧客基盤:大手企業を含む導入実績(一部)
当社の顧客基盤をご紹介します。ファーストリテイリンググループやさまざまな飲食チェーン、大手のゼネコン、デベロッパー、公共のインフラなどにもクラウド化という大きな波が来ています。
ですので、現在入り始めている顧客に対して多面的に導入していくことで、200億円から250億円のARRを実現可能にしていこうと、顧客基盤の拡大をさらに進めています。
集積されたデータを活かしたアプリビジネスの拡大が期待可能
お客さまからさまざまなデータが集まってきており、それらのデータに対し、「見る」「聞く」「記憶する」「しゃべる」「考える」など人が行うさまざまな行為を、「目×クラウドコンピューティング」で行うシステムが当社にはあります。さまざまなAIのベンダーと一緒に、この課題解決をアプリケーション化していっています。
自社で自分たちのサービスを作るだけでは、さまざまなTAMに対してクリアしきれませんので、我々のプラットフォームをサードパーティーのみなさまと一緒に使うことで、それをレベニューシェアしながら、新たな用途の拡大に向けて投資していこうと考えています。
アプリプラットフォーム実現にむけて
AIを提供する会社にとっては、「なかなかデータがない」「開発環境が整っていない」「顧客基盤のスケールが十分ではない」の3点が大きな課題点になります。しかし、顧客基盤や大量データについて、弊社はすでに整っています。
そこに開発基盤を整えることで、お客さまの誰もが簡単にAIを作り、さらにAIのベンダーと一緒に深掘りしたソリューションを作っていけるようなアプリケーションプラットフォームを作っています。
100億円近い現預金を有しており、ここにしっかりと投資していくことで、カメラ1台あたりのARPUを上げていくという戦略に寄与していくための基盤作りを進めています。
映像を活用したアプリケーションマーケット構想
その基盤ができたあかつきにはアプリ・マーケットというかたちで、カメラとアプリケーションをセットで買っていただくと、非常にわかりやすく問題解決に直結できるという構想を持っています。
今は課金カメラ台数を拡大するフェーズですが、この構想はまったく変えずに、粛々と投資しながらしっかりと準備を進め、拡大したカメラ基盤をもとに単価を上げていくフェーズに投資できるようにしっかり準備を進めています。
2022年12月期第1四半期 ハイライト
ここから第1四半期の業績について、古田からご説明します。
古田哲晴氏(以下、古田):CFOの古田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。決算のハイライトについてご説明します。売上高は23億円と、前年同期比29.1パーセントのプラスとなりました。
ただし、スポット収益については、特定卸商流における販売施策の変更の影響がまだ出ており、前年同期比6.4パーセントのマイナスとなりました。一方、リカーリング収益は前年同期比63.9パーセントのプラスとなっています。この結果、ARRは60億円に到達し、課金カメラ台数は14.7万台で着地しています。
粗利率は43.1パーセントで、前年同期比4.4ポイントの改善となりました。今後の成長に向けた人材獲得は積極的に行っているため、四半期で2億1,800万円の営業損失を計上しています。
売上高の推移
スライドに記載したグラフは、売上高の推移を示しています。数字は先ほどお伝えしたとおりですが、リカーリング収益の部分は前年同期比63.9パーセントと、着実な成長を継続しているものの、スポット収益の部分が減収になっている状況です。
売上高通期業績見込に対する進捗
第1四半期の売上高23億円は、通年の予算110億円に対して進捗率21パーセントです。前年の同時期とちょうど同じ進捗率となっており、残った3四半期で売上の拡大、特に既存顧客からの取引拡大や既存業界での新規顧客獲得、さらに新たな業界への進出を行っていく必要があります。
ARR及び課金カメラ台数の推移①
ARR及び課金カメラ台数の推移はスライドのグラフのとおりです。数字は先ほどお伝えしたとおり、ARRが60億円、課金カメラ台数は14.7万台になっています。
ARR及び課金カメラ台数の推移②
解約率について、何度かお伝えした特定卸商流においては、6.2パーセントまで無事に改善が進んでいます。その他の商流についても、特に悪化の傾向は見られず、安定推移している状況です。
売上高構成比およびスポット/リカーリング粗利率推移
売上高の構成比については、パートナー経由対直販の比率において、直販の比率が増加しています。
リカーリング収益対スポット収益では、リカーリング収益の割合が64パーセントまで増加していますが、この四半期はスポット収益が前四半期対比で減収となり、弱かった影響もあります。そのため、64パーセントのような数字が必ずしも続くというわけではなく、今後少し変動する余地があります。
粗利率の推移はほぼ横ばいですが、わずかに減少しているのがリカーリング収益です。サーバー利用コストがドル建てのため、円安の影響を少なからず受けている状況です。
売上総利益の推移
売上総利益は売上高の伸び悩みとともに横ばいですが、粗利率はわずかに改善して43.1パーセントとなっています。
販売費及び一般管理費の推移
販売費及び一般管理費の推移です。当初の計画どおり、人材獲得を中心とした先行投資へ費用投下を実施しました。特に研究開発投資を加速したため、R&Dが増えて、トータルでは販売費及び一般管理費は増加している状況です。
営業利益の推移
営業利益の推移です。当初の計画どおり先行投資を加速させた結果、2億円を超える営業損失となっています。
サマリー
佐渡島:最後に、当社は「現場DX」をビジネスコンセプトとして推進し、2025年にARR200億円から250億円を目指していきます。
現在増加しているエンタープライズ関連の既存顧客へのパイプラインで、DX実現で得られるメリットを示しながら、さまざまな業種で弊社のサービスを使ってもらえるように部署間を跨いだ提案を行っていきます。
エンタープライズ関連は非常に多岐にわたり、パートナー企業のほうがパイプラインが根強くあるため、連携ソリューションを強化して新たなTAMの開発を行っています。認知拡大も下期にしっかり実施していく考えです。
Safieプラットフォーム構築への投資では、人材採用と組織力の強化で、営業面、開発面の両方を実施しなければいけないのが当社の課題です。課題を克服するための人材開発では、新卒採用を2023年から始めるなど新規採用が順調に進んでいます。
投資をしっかり行い、2025年にARR200億円から250億円を達成するというのが我々の方針です。以上でプレゼンテーションを終わります。
質疑応答:課金カメラ台数の推移と潜在解約規模について
質問者:課金カメラ台数ですが、特定卸商流による新規と解約のグロスでの入り繰りや、新規獲得などの状況を教えてください。また、潜在解約規模については、第2四半期以降で見た時にどのように捉えていますか?
古田:特定卸商流の部分は、実際のグロスの数字より改善傾向を正確に伝えるために、月次の解約率の推移をスライドに記載しています。新規の販売も順調に進み始め、解約数も減少してきている状況が解約率に表れています。月別の推移で見ると、減少傾向ではなく足元では増加傾向に変わっています。
潜在的な解約はだいぶ減ってきてはいますが、この商流で過去に積極的な売り方をされた部分がすべて解約されたわけではなく、多少は残っています。
稼働状況の低い解約される可能性のある課金カメラは解約されるもしくは、このまま課金が継続されるのかは今後注視が必要な状況です。
質疑応答:課金カメラ台数の進捗評価と商流の状況について
質問者:ほかの商流の状況について教えてください。3ヶ月間のカメラ台数の増は前四半期比で総じて順調に見えますが、社内での計画比ではいかがでしょうか? また業種別でモメンタムの加速や新しい動きが出てきたなどはありますか?
佐渡島:当社は上場後、今年からビジネスユニット制に移行し、小売業向け、建設業向け、スマートビルディングという新規事業の3軸で部署を分けています。
営業ラインを業種ごとに3分割し、顧客獲得と開発投資を実施しているが、エンタープライズのお客さまの獲得進捗が計画に比べてややビハインドしています。社内の教育もしっかり実施して計画どおりの業績を目指しています。
新しいモメンタムに対する使い方は、DXの進展というかたちで、例えば小売業は無人店舗へのカメラの導入など無人店舗化が非常に多く出てきています。こちらが一番大きなモメンタムです。エンタープライズの足元では、かなり大手の衣料系小売チェーンや通信系の建設会社で「Safie Pocket(セーフィー ポケット)」の非常に大きな契約がありました。
既存店や新規店への全店導入などのポジティブな面もありますので、エンタープライズのお客さまに向けてしっかりとDXを提案できると、新たな使い方が一気に広がっていくということがあります。
また上場後にスマートビルディングにチャレンジしており、先ほどお伝えした「Safie Entrance2」という新しい入退場システムもローンチしています。今後はカメラの連携も検討中です。
またビルの中にしっかり設計段階から弊社サービスが導入されるような商流が拓けてくると、我々のもう1つの新しく大きな商流が拓き出すことになります。建設後に設置される設備のため、建設現場より足が長い商流となりますが、現在進めているところです。今期の数字には直接大きな貢献は出てきませんが、来期以降に反映できるような営業面の施策を打ち込んでいるところです。
質疑応答:手応えを感じている分野について
質問者:今の「Safie Entrance2」のお話とかぶる部分もあるかもしれませんが、高付加価値型のサービスがどんどん蓄積されていると思います。
実証実験や実際にリリースした分を含めて積み上がってきていますが、手応えを感じている分野について時間軸ごとに示していただければイメージがつかみやすいと思っています。例えば1年後、2年後、3年後にどのようなものが本格スタートするか、今の感触があれば教えてください。
佐渡島:11ページのDXのステップに近いのですが、STEP2までの遠隔業務でできることについては、非常にたくさんのカメラが出てきていると考えています。例えば、1クライアントあたり100台、500台の規模感で店舗内に導入していくと、やはり全部は見切れないため、AIでサポートしてほしいというリクエストが増えています。
カメラを見るサポートツールとして、簡単なAIをプラットフォーム上に導入する、または業務システムそのものとAPIを連携していくというところが、ステップの1つ目として今年の後半か来年くらいに徐々に入ってくると思います。
また建設分野でも施工管理のみなさまを楽にしたいという思いがあるため、施工管理ツールとの連携や、一緒に使ってもらうというテストも始めています。いきなり高付加価値にはならないものの、そのようなものが連携し出すと、お客さまにDXを実感してもらえるのではないかと考えています。
まだリリースしていませんが、新たなカメラの開発も進めています。夏以降にエッジAIを搭載したカメラをローンチしたいと考えており、それによって小売店などにAIが少し導入されていくのではないかと思っています。
1年後というところでは、単純に映像で遠隔業務を行うだけではなく、例えばAIで荷物を受け取ったり、来店分析などのマーケティング用途をもう少し深掘りしたり、大手の建設会社で実証実験中の安全管理や、車両の自動検出など、STEP4に向けてAIとの連携を取り組める会社が増えてくると思います。
その先にスマートビルディングのようなまったく新しいビジネスが立ち上がってくると考えており、我々は3段階くらいの長期的な目線で投資を遂行しているところです。
質疑応答:在庫の状況について
質問者:在庫レベルはどうでしょうか? 余剰在庫が滞留しているのかなど、現在の状況はどうでしょうか?
古田:在庫の状況については、かなり戦略的に増やしている状況から変わっていません。やはり半導体不足の影響がいろいろなところに出てきており、新しくカメラを発注しても納期がかなり遅延している状況です。今のところ、もともと先行的に積んでいたものが潤沢にあるため、今後欠品を起こすリスクは少なくなっています。
一方で、売上が想定に比べて少ないところもあるため、きちんと納品できるような通常のサプライチェーンの状態と比べると在庫が多い状況ではありますが、ここは欠品対応というニュアンスで考えています。
質疑応答:通期業績達成について
質問者:第1四半期で7,000台のカメラを積み上げていますが、通期業績を達成するために第2四半期で大きく飛躍するのか、徐々に改善しながら残りの3四半期を推移するのか、どのようなトレンドを想定していますか?
佐渡島:そうですね。そこは急激に増えるというよりも、モメンタムをもう少し上に上げて、維持しながら伸ばしていきたいというのが今の我々のやり方になっています。
質疑応答:新規採用について
質問者:新規採用は残りの四半期も同じようなペースで進める計画でしょうか?
佐渡島:採用はしっかりとできているため、今後のアクセルの踏み方としては、売上の進捗を見てコントロールしながら採用していこうと考えています。一方で、世界的に見てもITエンジニアは非常に不足している状況で、特に日本はそもそも絶対数が少ないため、前広にしっかり進めていこうと思っています。
また、コストという観点で見ると当社も2023年度から新卒採用を本格化し始めています。まだ20人程度ですが、2024年、2025年以降は若い人をかなりの割合で採用し、しっかり育てて、花開くような採用方針を持っています。コスト面という意味では、今までは転職者を採用しているため、新卒で若い人となると、徐々になだらかになっていくと考えています。
質疑応答:スポット収益とリカーリング収益のトレンドについて
質問者:この4月、5月においてスポット収益とリカーリング収益のトレンドについてなにか変化は生じていますか? 足元数ヶ月の状況はどうでしょうか?
佐渡島:例えばスポット収益は特定卸商流で少しリカバリーしてきていますが、今までの勢いがややなくなっており、スローダウンしています。我々としてはKPIとして、ARRを重要視し、エンタープライズのお客さまをしっかり伸ばしていきたいと思っています。
1つだけあるとすると、「Safie Pocket」「Safie GO」は建設現場向けのレンタルというかたちで出しているケースが多いです。例えば日本では3月を期限とした工事も多く、その工事が終わり、新しい予算の始まる4月に、建設現場が立ち上がったり、なくなったりすると、一時的に返却台数のボラティリティが高まります。
「Safie Pocket」「Safie GO」は始めてまだ間もないため、そのようなボラティリティが多少あることが見えてきており、返却時の管理をしっかりと行っていくというのが1つあります。
建設現場の工期を終え、返ってくるのは非常に正常なことですが、「現場でうまく活かせなかった」「使えなかった」ということで返ってきている場合は、我々としてはお客さまの価値にどのようにつながるかをきちんとレクチャーしながら、さらにしっかりオンボードしていくことが求められてきていると思います。そのようなところにもっとリソースを投入していかないといけないと考えています。
質疑応答:ARR200億円から250億円に向けた進捗と課題について
司会者:Q&Aチャットボックスからのご質問です。「ARR200億円から250億円に向けた、長期的な意味での進捗や課題のご説明をお願いします」とのことです。
佐渡島:ARR200億円から250億円、年間成長率37パーセントから45パーセントを達成するためには、我々のカメラの使い方がさらに多面的に広がっていく必要があります。
ですので、「現場DX」やセーフィーというブランドが、エンタープライズのお客さまや意思決定者にしっかり認知されていることがまず1つ大事なポイントになります。広告宣伝をしっかりと行い、中長期的に認知率を50パーセントくらいに上げていこうと考えています。
また、先ほども少しお伝えしましたが、今はお客さまのいろいろなニーズが潜在的なものから顕在的なものに変わりつつあります。そのような顕在的なニーズをしっかりと捉えることはできはじめているのですが、そこにしっかりとオンボードして、コンサルティング、サポートしていきます。さらに、一気に全店舗に入っていくという意味では、エンタープライズの営業のセールススキルの向上が必要です。今は採用で前年比150人くらい急激に伸びていますが、そこに対する育成、成長の支援をしっかり行う必要があると考えています。
また、先ほどもお伝えしたとおり、エンジニアリングをしっかり投入してプラットフォーム化を推進し、AIも含めたソリューションを誰でも簡単に作れるような取り組みを進めることで、200億円から250億円を達成していきたいと考えています。
採用については比較的うまくいっていると思うのですが、特に一番課題と感じているポイントは、入社いただいた方々への教育、または人材の開発組織化です。
まずは組織マネジメントができる人をしっかり育てていき、それによりさらに人を獲得しても生産性が上がるようにしていくことができれば、さらに伸びると考えています。まだ入社した人が一気に生産性をあげるというところまではできていないため、そのような組織開発に大きな課題があると考えており、そこに取り組んでいる最中です。
質疑応答:競争環境について
質問者:シスコなど新サービスがでてきているように見えますが、競争環境はいかがでしょうか?
佐渡島:例えばシスコさまのWi-Fiサービスが、新たにカメラを追加できるようなサービスに発展したり、Googleさまのサービスとして「Nest Cam」というカメラなどが日本に入ってきています。
ただし、どちらかと言いますと「Nest Cam」やBtoCのカメラが多いという印象もあります。そのため、非常に小さなSMBのお客さまは、どちらか迷っているケースもあると思います。
エンタープライズでは例えば先ほどのシスコさまのサービスがありますが、カメラのサービスとしての完成度では当社のほうがかなり高いため、しっかりと完成されたサービスとしてDXを使えるということでは目立った競合はまだありません。
今後映像データを大量に集めて、アプリケーションで課題解決できるということについては、当社もこれだけ成長しているため、当然いろいろな会社が狙ってくると考えています。
我々としてはそのような会社に追い抜かれないように、そのような芽をしっかりと埋めていけるようなカメラのラインナップを整えていくことは非常に重要なミッションだと考えているため、現場の声を丁寧に聞きながら対応している最中です。
BtoBの領域でDXできるカメラということで進出しているのは、優位な部分がまだ多くあると考えています。
佐渡島氏からのご挨拶
佐渡島:本日はみなさまお忙しい中、このようなかたちでご視聴いただきまして誠にありがとうございます。我々としてはまだまだ志半ばの部分で、ARR200億円から250億円達成に向けてしっかりと投資し、お客さまの課題を解決していき、現場DXしていくことに邁進していきますので、みなさまどうぞご支援のほどよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。
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