ユミルリンク<4372>は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念の下、1999年に創業した会社である。同社の事業領域は、スマートフォンの登場によって近年成長が著しいデジタルマーケティング市場である。そのなかでも特に同社はメールマーケティング(メールを使って行うマーケティング活動)とSMSマーケティング(SMS:ショートメッセージサービスを利用して行うマーケティング活動)の領域において、大規模・高速配信などの強みを持つ「Cuenote(R) FC」、国内キャリア直収型を強みとする「Cuenote(R) SMS」などのメッセージングソリューションを展開するほか、DXを支援している。
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
2023年12月期第2四半期の業績は売上高が前年同期比2.9%増の1,132百万円(うちストック売上が1,107百万円、スポット売上が24百万円)、営業利益が同11.4%増の269百万円、経常利益が同11.3%増の269百万円、四半期純利益が同11.4%増の186百万円となり、売上高・営業利益ともに上期として過去最高業績を更新した。特に営業利益に関しては、収益性の高いサブスクリプションサービスが順調に拡大したことを受け、売上高の伸びを上回った。
サービス別では、主力のメール配信システム「Cuenote(R) FC」が引き続き好調に推移した。同サービスの高い技術力に対する評価からエンタープライズ企業への導入が拡大したことに加えて、DX・オンラインシフトを背景にメッセージの送信数が過去最高を記録したことも業績の拡大に寄与した(契約当たりの平均利用額は前年同期比2.5%増 )。「Cuenote(R) SMS」は、特定顧客の配信減少によって前年同期比で減収となったものの、特定顧客以外の一般顧客に関しては順調に新規契約を積み上げ、一般顧客に対する売上高は同43.9%増となった。そのほか、行政・自治体向けに「Cuenote(R) SMS for LGWAN」の提供を開始するなど、複数の新規サービスや機能をリリースし、今後の新規受注と業績の拡大に寄与することが想定される。
2. 2023年12月期の業績予想
2023年12月期の業績は、売上高で前期比10.1%増の2,400百万円(うちストック売上が同10.3%増の2,351百万円、スポット売上が同0.2%増の48百万円)、営業利益で同10.4%増の575百万円、経常利益で同10.5%増の575百万円、当期純利益で同10.3%増の396百万円と、期初予想を据え置いている。売上高は9期連続、営業利益は5期連続の過去最高業績の更新を計画している。インターネット、SNS、スマートフォンなどの普及によりデジタルマーケティング市場がさらに拡大するなど好調な外部環境の継続が想定され、主力製品である「Cuenote(R) FC」「Cuenote(R) SMS」に注力する。第2四半期に同社売上の85.9%を占めたメール送信サービス市場の2021~2026年度のCAGRは8.0%、同期間のSMS送信サービス市場のCAGRも14.8%と急伸を見込んでいる。顧客のDX・オンラインシフトを背景に顧客が保有するメールアドレス数が増え、メッセージの送信数も拡大している。これにより大規模・高速配信、サービスの安定性、信頼性、サポート体制に強みを持つ同社のサービスに対する需要は好調に推移すると弊社は見ている。外部環境の追い風とそのなかで発揮される同社の競争優位を考慮すると、業績予想の達成は十分に期待できると弊社は考えている。
3. 今後の成長戦略
中期成長戦略の方針として同社は、「メッセージングテクノロジー」と「ソフトウェアサービスの事業化」をさらに進め、SaaS事業の領域拡大により企業価値・株主価値向上を図る。具体的には、メール配信サービス、SMS配信サービスに加えて新たなメッセージングチャネルを拡充するなど、メッセージングプラットフォーム上において従来対応していなかった領域をカバーし、顧客のデジタルマーケティングを支援する新たなサービスを生み出す考えだ。営業面においては引き続き大規模顧客に注力する。既に浸透率の高い「Core30」に属する顧客へは、Web広告の強化によりリード数を増やし、営業人員を増員することによりエンタープライズ顧客の新規獲得に注力することでメールサービスやSMSサービスのシェア拡大を目指す。さらに「Cuenote(R) FC」「Cuenote(R) SMS」を導入した顧客へのクロスセルにも注力し、顧客当たりの契約金額の押し上げを計画している。
■Key Points
・メールの大規模・高速配信技術に強みを持ち、増収増益を継続
・2023年12月第2四半期は売上高、営業利益が上期として過去最高を更新
・2023年12月期も過去最高業績の更新を目指す
・今後も成長が見込まれる市場環境が業績に追い風
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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