ダイキアクシス<4245>は、半世紀に及ぶ水処理関連の業歴を持つ。同社は中小規模をターゲットに、生活排水処理、事業場排水処理、公共水域浄化におけるサプライチェーンに必要な事業領域をすべてカバーする一貫体制に独自性がある。社業として推進している「水に関わるインフラの創造」は、国連が2030年までの国際目標とするSDGs(持続可能な開発目標)の6番目の「水・衛生:安全な水とトイレを世界中に。すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」に合致する。環境省は、2017年に策定した「環境インフラ海外展開基本戦略」の中で、日本の技術を途上国に提供し、環境問題の解決支援と日本企業の事業展開につなげる方針を示した。そのなかで、6つの分野の1つとして「浄化槽」が選定された。
1. 人口が世界1位と2位の中国、インドに浄化槽の製造拠点を確保へ
2015年に、インドネシアで日系企業として他社に先駆けて浄化槽の現地生産を開始し、現在フル稼働の状態にある。2018年7月に、インドと中国で浄化槽の現地生産を行うため、子会社と合弁会社を設立した。人口が世界1位、2位を争う両国は、いずれも観光地と都市部以外の地域でのトイレの普及率が低い。「クリーン・インディア」を国策とするインドでは、浄化槽の製造・販売・施工・維持管理を手掛ける子会社を設立した。現地企業に金型などの製造設備の提供と技術指導により、中・小型浄化槽の生産委託をする。2018年秋に生産が開始され次第、インドネシアからの輸入品を置き換え、関税と輸送費の面でメリットを得る。市場浸透は、小型製品から始め、中型・大型へ広げるという、従来の手順を踏む。中国では、「国家環境保護モデル都市」に選ばれている宜興市に拠点を持つ現地企業と組んだ。上海、蘇州を含む太湖エリアをカバーする。2017年に国家主席が「トイレ革命」を農村部でも充足すべきと言及したことで、需要が急速に顕在化している。一般家庭3~4世帯ごとに汚水処理用の腐敗槽を設置し、合弁会社が製造する合併浄化槽が後処理をする仕組みとなる。パートナー企業は、従来から腐敗槽を手掛けている。中国における家庭用合併処理浄化槽の最大年間生産能力は5,000台が計画されている。同社の日本の年間生産規模は12万~13万基で、そのうち小型製品は6,000~7,000台になる。ただし、日本の生産拠点は複数ヵ所に分散しているのに対し、中国は1ヵ所の生産規模になる。
2. 2018年12月期は、第2四半期の予想未達も、通期予想は変更なし
2018年12月期第2四半期の業績は、計画比で売上高が1.0%減、経常利益が同22.4%減と未達に終わった。納期の期ズレが主因で、第2四半期末の受注残高は例年にないほど積み上がっており、下期に売上高に計上される。2018年12月期予想は、売上高35,600百万円(前期比6.1%増)と経常利益1,500百万円(同11.7%増)と過去最高を更新する見込みだ。
3. ESGを志向する経営
2017年に、これまで行ってきたESGへの取り組みを明確にした。環境(Environment)では、CO2の削減、水関連インフラ及び環境マネジメントシステム国際規格の認証を取得した。CO2削減の分野では、バイオディーゼル燃料事業や再生可能エネルギーを利用する小形風力発電機関連事業と太陽光発電に係る売電事業に関わる。祖業である水関連インフラでは、製品やサービスを通じて地球規模の水環境改善に貢献している。社会(Society)では、バイオディーゼル燃料関連事業が「第2回愛媛ふるさと環境大賞」を受賞した。多様性では、2015年に「子育てサポート企業」として「くるみん認定」を取得。ガバナンス(Governance)は、迅速で効率的な事業運営、内部統制体制の整備・改善、透明性の確保に努めている。
■Key Points
・第2四半期までの受注残高が積み上がり、2018年12月期通期予想は据え置き
・海外事業は、中国とインドに新たな製造拠点を開設へ
・2018年12月期は連続増配の計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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