児玉化学工業<4222>は、1946年に創業した樹脂加工メーカーで、この分野において独創的な成形法を開発することで発展を遂げてきた。1962年に東京証券取引所第2部市場に上場、2006年に三菱ケミカルホールディングス<4188>グループの一員となり、2010年からは三菱ケミカルホールディングスグループの翼下で同グループが持つ研究開発力と同社の製造技術を融合させたプロダクトラインの連携に取り組んだ。ただ、その後は同グループの出資比率は低下し、徐々に三菱色が薄くなっている。
セグメントは、主力の「自動車部品事業」「住宅設備・冷機部品事業」及び「エンターテイメント事業」の3つに分かれる。「自動車部品事業」は、各種ピラー類、ラッゲージトリムやトランクトリム、ドアトリム、スポイラー、フェンダーカバー、インストルメントパネル、フロントスポイラーやスカートなど幅広く掛けている。また、近年ではプラスチックを含浸した長繊維ガラスマット成形において、従来工法では困難とされていた均一な長繊維ガラスの分散を維持しつつ、複雑な形状の賦形を可能にしたガラス繊維マットプレス新工法製品の量産化、および、高品位に印刷・シボ付けされたフィルムを加飾に不向きとされる複雑な3次元形状の基材へ均一に貼合することを可能とした三次元加飾工法による製品の量産化など新規品の開発、拡販を進めている。一方、「住宅設備・冷機部品事業」では、洗面化粧鏡、キッチン、トイレ、バスなど、水周りに採用される樹脂製品を提供しており、とりわけ洗面化粧鏡は代表的な製品である。「エンターテイメント事業」は、ゲームパッケージなどを展開する。
売上高構成比は、「自動車部品事業」では国内よりも海外の比率が高い。また、各セグメントはタイ、中国、ベトナムなどで展開している。ただし、過去には海外で苦戦をしたことで、2016年3月期は一時的に東証の上場基準の抵触に陥った。このため事業及び資本構造を転換させ、2017年3月期に上場基準抵触を解消している。また、不振が続いていたインドネシアから2018年3月に撤退したほか、生産体制の再構築や工程の抜本的な見直しをするなどの事業構造改革を進め、その成果が出始めている。
2020年3月期第2四半期累計業績は、収益改善を目的とした事業構造改革の効果により、売上高が8,925百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益が30百万円(前年同期は233百万円の損失)と営業利益が黒字転換し、各セグメントが増益となった。また、2020年3月期通期の業績見通しは、売上高が17,700百万円(前期比5.8%減)、営業利益が300百万円(前年実績は352百万円の損失)とする期初予想を据え置いており、黒字転換を目指している。
■Key Points
・自動車部品と住宅設備・冷機部品に強みを持つ樹脂加工メーカー
・2020年3月期第2四半期は営業利益が黒字転換
・2020年3月期は事業構造改革の成果により、業績改善の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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