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2019/08/05 - カーバイド(4064) の関連ニュース。■会社概要3) 電子素材電子素材としては、セラミック基板と半導体向け金型クリーニング材がある。セラミック基板事業は、1980年に日本カーバイド工業<4064>工場のある富山県魚津市の北陸セラミックに資本参加して始めた事業で、中心となるのはセラミック基板である。なかでも40年以上供給を続ける高機能チップ抵抗器用アルミナ基板では、トップシェアを誇る。その他、ハイブリッドICや振動子、MEMS、センサー向けに厚膜印刷基板なども手掛け、高耐熱・高放熱・高信頼性を実現し、拡販に努めているほか、資本業務提携している

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カーバイド Research Memo(3):電子・機能製品事業、フィルム・シート製品事業など4事業で構成(2)

配信元:フィスコ
投稿:2019/08/05 15:33
■会社概要

3) 電子素材
電子素材としては、セラミック基板と半導体向け金型クリーニング材がある。

セラミック基板事業は、1980年に日本カーバイド工業<4064>工場のある富山県魚津市の北陸セラミックに資本参加して始めた事業で、中心となるのはセラミック基板である。なかでも40年以上供給を続ける高機能チップ抵抗器用アルミナ基板では、トップシェアを誇る。その他、ハイブリッドICや振動子、MEMS、センサー向けに厚膜印刷基板なども手掛け、高耐熱・高放熱・高信頼性を実現し、拡販に努めているほか、資本業務提携しているデンカ<4061>向けなどに、セラミック基板の原料となる各種原料粉を混ぜて練り合せて形成したグリーンシートの拡販も行っている。なお、プリント配線板事業は2016年に事業撤退し、処理が完了している。

また世界トップクラスのシェアを誇る製品としては、1981年から始めた半導体用金型クリーニング材がある。半導体の後工程では、熱硬化性樹脂封止材を用いて封止成形作業を長時間続けると、封止成形材料に由来する汚れが金型の内部表面に付着する。この付着した汚れを放置すると、素子表面に汚れが付着する不具合が発生する。このような不具合防止のため、内部表面に付着した汚れを取り除く必要がある。具体的には、数百ショットごとに、金型洗浄用樹脂組成物を数ショット成型し、成形金型の内部表面の汚れを取り除く。同社はこの金型クリーニング用のメラミン樹脂成形材料(ニカレットECR)を製造している。同社の強みは、デバイスの封止成形形状及び構造が多様化・精密化したことで、成形金型の形状及び構造にも多様化・精密化が求められる中、成形金型の隅々まで汚れを除去できる、均質で適度な粒形を持つ無機充填物を添加したメラミン樹脂系クリーニング材を供給していることにある。他社製品に対して、メラミン系樹脂が有する極性の高いメチロール基が、熱硬化性樹脂組成物を含む封止成形材料に由来する汚れに強く作用することで差別化されており、同社製品の中でも収益性が高い製品とみられる。

b) フィルム・シート製品事業
フィルム・シート製品事業は製品カテゴリー別に2つに大別でき、2019年3月期の売上高比率では、再帰反射シート47%、フィルム/ステッカー53%という内訳になる。

1) 再帰反射シート
再帰反射とは、光が入った方向に再び帰る反射現象のことである。同社の再帰反射シートは、ガラスビーズやプリズムによる「光の屈折」を利用して、シート内に入った光を入射方向と同方向に戻すことで再帰反射を可能としている。普段目にする代表的な製品は、夜間でも自動車のヘッドライトなどに照らされると明るく浮かび上がる道路標識、道路工事現場などで安全性を高める工事用保安用品などがある。また、日本では法令で定められていないが、日本以外では自動車のナンバープレートに再帰反射シートの使用を義務化している国も多い。

同社は西武ポリマ化工(株)から、封入レンズ型再帰反射シート、カプセルレンズ型再帰反射シートの事業を承継し、ニッカポリマ(株)を設立して事業進出した。当時、再帰反射シートを販売していた西武ポリマ化工は、日本、アメリカ、ドイツ、フランス、スペイン、台湾などの国々で主に封入レンズ型再帰反射シートを販売していた。日本においては先駆した3Mが市場を抑えていたが、西武ポリマ化工は特に欧州などで実績を有していた。

再帰反射シートが用いられる道路標識、ナンバープレートは、各国の安全基準を満たす必要から認可基準が設けられている。同社は欧州、アジアで強みを持ち、新たに自社で開発した封入レンズ型、カプセルレンズ型、プリズム型再帰反射シートを生産している。

現在、中国杭州にある恩希愛(杭州)薄膜有限公司を主力工場として製造し、アメリカ、オランダ、フランス、スペイン、インド、タイ、ベトナム、インドネシア、ブラジルなどの子会社を通じて世界に販売しており、世界市場では3Mに次ぐシェアを確保している。

2) フィルム/ステッカー
フィルムはマーキングフィルム、レーザーマーキングラベル、食品包装用フィルムなど、ステッカーは、グラフィックステッカーや3Dエンブレムなどが主力製品となる。

フィルム事業の歴史は古く、1965年に包装用フィルムの製造・販売を開始したことから始まり、1976年にはマーキングフィルム(カラー塩ビフィルム)市場に参入、その後2009年にはレーザーマーキングラベルも手掛けるようになった。食品包装用フィルムについて、同社は中国進出の日系スーパーなどに供給しているが、競合企業が多く、大きなビジネスにはなっておらず、マーキングフィルムを主力としている。マーキングフィルムは、広告看板、電車の帯などに使われている色とりどりのカラー塩ビフィルムで、タフな耐候性に特徴がある。

レーザーマーキングラベルは、レーザービームを使って、その場で必要な情報を印刷してラベルを作成する材料として伸びている。同ラベル材料は、異なる色の層を2層重ね合わせ、レーザービームで1層目(表層)を削り、2層目を視認させることで情報(文字やイラスト、2次元バーコードなど)を認識させるもの。レーザーマーカー1台で、情報の印刷と要望するラベル形状へのカットを同時に行えるため、必要なラベルを必要な数量のみ作製することができる。シリアルナンバー等の個体情報を必要とする認証ラベルや銘板、生産物の工程管理や製造履歴などのトレーサビリティ情報を印刷するラベル用として最適な材料となっている。またインクを使用しないため、印刷情報を半永久的に表示でき、且つ剥がそうとするとラベルが割れる自己破壊性を持つため、改ざんや偽造などの不正改造も防げる。同社ラベルは国内を中心に自動車大手に採用されるなど、国内シェアの30~40%程度を獲得している。拡販に当たってはキーエンス<6861>やパナソニックデバイスSUNX(株)などのレーザーマーカーメーカーとタイアップしている。

売上規模として大きいのは、柔軟性の高い塩ビフィルムに色とりどりの印刷を施し、2輪車を中心に車体を鮮やかに飾るグラフィックステッカーと、2輪車や4輪車の車体に貼り付けが可能な3Dエンブレムである。

グラフィックステッカーは、1988年にTHAI DECAL CO.,LTD.をタイに設立、東南アジアでコンテナマーク事業に進出したのがきっかけとなったが、当時、タイは日系2輪車の生産が拡大期にあり、車体のデザイン性などで差別化できるグラフィックステッカーが求められていたため、印刷事業に乗り出した。また、ステッカーは高い耐候性と豊富なカラーバリエーション、高い接着性、曲面追従性など顧客のカスタマイズ要求が強く、しかも短納期を要求される製品であるが、THAI DECALはきめ細かい対応で顧客満足度を上げることに成功した。その後、2輪車メーカーの進出に合わせ、1997年にはベトナムにNCI(VIETNAM)CO.,LTD.を設立するなど、2輪車生産拡大に合わせて海外事業を展開し、海外5拠点で生産している。現在、同社は高機能製品を中心に、ポッティング、3Dエンブレム事業を拡大、2輪車だけでなく、農機、建機、自動車、電化製品へと参入市場を拡大する中で、ローカルサプライヤーとの差別化を行い、同社の中でも収益力の高い事業になっている。

c) 建材関連事業
「プラスチック建具」を全国に普及させる目的で、1962年のビニフレーム工業(株)を設立したのが始まりである。プラスチック建具・襖のパイオニアメーカーとして拡大するも、その後の住宅ブームで1968年にはアルミ建材にも参入、日本のアルミ産業の発展とともにアルミ建材メーカーとして成長していった。1994年には、インドネシアにビニフレーム工業として全額出資でPT ALVINY INDONESIAを設立、各種アルミ建材の生産、販売、輸出も開始した。現在は、アルミ建材商品や押出成形技術を生かし樹脂サッシ部材、ユニットバス枠などを製造販売している。

d) エンジニアリング事業
鉄鋼精錬及び粉体ハンドリング技術を有し、鉄鋼・化学・環境分野の産業プラントの設計・施工などを行う。同事業は1969年に同社の設計工務部門を中核とし、分離独立した総合エンジニアリング子会社のダイヤモンドエンジニアリング(株)が事業を担っている。スタート当時は売上の大半をグループ内の仕事で賄っていたものの、次第に外部売上が拡大している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)


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配信元: フィスコ

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