3. KPIの進捗状況
2025年3月期における進捗状況について、データセクション<3905>は前期比で順調に売上高を増加させている。売上高の先行指標である導入店舗数とカメラ設置台数が、特にチリ市場での大型ショッピングモールへの全店導入が寄与したことにより、オーガニックな成長を推進した。この結果、売上高は前期比で約30%の成長を達成した。また、パナマとスペインの新規連結により、ほぼフル連結化を実現した。導入店舗数は非連結子会社を合算して8,986店舗、カメラ設置台数は非連結子会社を合算して14,360台に達している(国内では2024年3月31日時点、海外では2023年12月31日時点のデータによる)。連結ベースで見ると、導入店舗数は前期比で24.1%増加し、カメラ設置台数は同28.4%増加している。この成長は、既存市場での顧客基盤の拡大と新規市場への積極的な展開が相まって実現されたものだ。特にチリ市場での成功が顕著であり、ほかの南米市場でも同様の成長が期待される。総じて、同社は南米市場でのフォーマルマーケットの成長を取り込み、売上高を持続的に増加させた。導入店舗数とカメラ設置台数の増加が中期的な売上成長を支え、さらなる市場拡大と収益基盤の強化に寄与している。このような進捗状況は、今後の成長戦略の実現に向けて堅実な基盤を築いていることを示していると言える。
4. サステナビリティ方針
同社は、創業以来「技術と実社会の融合」を基盤とし、ビッグデータ解析やAI、深層学習などの最先端技術を社会に実装することで、持続可能な成長と企業の飛躍を目指してきた。この理念は、地球規模の課題に対して企業としての責任を強く意識し、100年後の世界と人々の暮らしに貢献するという長期的なビジョンに根ざしている。「100年後の世界と人々の暮らしに貢献する。」というビジョンを掲げ、持続可能な社会の実現を目指している。ミッションである「Change the Frame」には、「世界中で人々の暮らしを進化させ続ける」という強い意志が込められている。同社グループは、グローバルなビジネスフィールドで活動を展開し、人と地球が共存し繁栄する未来の形成を目指す。
また、同社は、南米の子会社を中心に発展途上国の開発技術の創出と新たなビジネスの拡大を支援している。さらに、総務省と協力してチリの公共機関におけるオペレーション改善を行い、国境を越えたイノベーションを推進している。このように、グローバルなパートナーシップを基盤に持続的なイノベーションを生み出すことを目指している。加えて、東南アジア企業とのパートナーシップを通じて、多様性を推進する労働環境の整備に努めている。2022年からは男性の育児休暇制度を導入し、女性社員の増員も進めている。また、多国籍のエンジニアの採用を積極的に行い、あらゆる人種、文化が違う人材が働きやすい環境を提供している。
データサイエンスがビジネスの中核となる未来に向けて、同社は教育プログラムを提供し、データサイエンスに対する理解を促進している。これにより、あらゆる業界で活躍できるデータサイエンティストの育成に貢献し、データの活用方法や分析結果を分かりやすく伝えることができる人材の育成に力を入れている。同社は、透明性のある企業運営を目指し、定期的な1on1ミーティングや経営会議の傍聴制度を設けている。外部専門家のアドバイスを取り入れ、ビジネスのスケールを試みるとともに、産業医との連携で社員の心身の健康をサポートしている。これにより、コーポレートガバナンスの強化に努めている。
同社は、技術革新と社会的責任を両立させることで、持続可能な成長と企業価値の向上を目指している。グローバルなパートナーシップ、ダイバーシティの推進、人材育成、コンプライアンスの徹底を通じて、100年後の未来に貢献することを目指す同社の取り組みは、長期的な視野に立った戦略的なものであり、今後の成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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