1. 2018年8月期第2四半期累計業績の概要
アクロディア<3823>の2018年8月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比52.7%減の674百万円、営業利益で57百万円(前年同期は282百万円の損失)、経常利益で25百万円(同304百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益で24百万円(同538百万円の損失)となり、すべての利益項目において黒字化を達成した。
売上高の減収要因は、収益構造改革による子会社等の売却を実施したことによるもので、具体的には、ネクスト・セキュリティの売却で約1.4億円、ゲーム関連の一部事業売却で約3億円の減収要因となったほか、ふるさと納税事業の売上計上方法を変更(総売上計上から手数料収入計上に)したことにより3億円強の減収要因となった。これら要因を除いたベースでは前年同期比でほぼ横ばい水準となっている。
売上総利益は売上減によるマイナスの影響はあったものの、2017年9月より発売を開始したIoT野球ボール「i・Ball Technical Pitch」の販売好調が大きく貢献し、前年同期比で7百万円増加の417百万円となった。また、販管費について前年同期比で332百万円の減少となった。内訳は、のれん償却額で134百万円、販売手数料※で83百万円、貸倒引当金の戻入で60百万円となり、その他では子会社等の売却により人件費が減少した。
※販売手数料はソーシャルゲームの課金手数料及び使用許諾料のほか、「きせかえtouch」に関する大手キャリアとのレベニューシェアが含まれる。
また、前年同期は特別損失として子会社ののれん一括償却や減損損失を計上したため、親会社株主に帰属する四半期純損失が拡大する格好となったが、2018年8月期第2四半期累計では大きな損失もなく、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上した。同社が重視しているEBITDA(償却前営業利益)についても97百万円と前年同期比で238百万円の増加となり、四半期ベースの推移を見ても2四半期連続で利益を計上するなど、前期から実施した収益構造改革の効果が顕在化してきたものと考えられる。
2. 事業セグメント別動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高※は627百万円、営業利益は186百万円となった。売上高については前年同期比で800百万円の減収となっている。
※前年同期との比較を見るため、ソリューション事業とその他(物販等)を合算した数値で記載している。
分野別で見ると、プラットフォームソリューションの売上高は、前年同期比145百万円減の272百万円となった。前述したとおり、ネクスト・セキュリティを売却した影響によるもので、それを除けば横ばい水準となっている。安定収益軸であるスマートフォン向けプラットフォームは、「MPI」や「きせかえtouch」が堅調に推移した。IoT野球ボールは投手の新たな指導法としてプロ野球球団や一般ユーザーから高い評価を獲得し、当初予想を上回る約1億円の売上を計上した。IoTインターホンについてははまだ売上規模こそ小さいものの、従来の住宅向けに加えて警備会社からの受注も獲得するなど、市場の裾野が着実に広がっている。2017年10月より新たに加わったビンゴ向けシステム事業は当初の計画どおり、営業利益ベースで月額5百万円ペースとなっているようだ。
コンテンツサービスの売上高は前年同期比653百万円減の247百万円となった。ゲーム関連の一部事業譲渡やふるさと納税事業の売上計上方法を変更した影響によるもので、これらを除けば横ばい水準となっている。その他売上高については、前年同期比横ばいの107百万円となった。
(2) サブリース事業
サブリース事業の売上高は42百万円、営業利益は11百万円となった。旗艦店の「渋谷肉横丁」で商標権の管理を行っているほか、サブリースでは新たに首都圏に2店舗をオープン(八王子肉横丁、沼袋浜横丁)し、6店舗を展開しており、安定した収益を獲得している。決済手段としてAlipayを導入したことで、外国人客の増加にもつながっている。
(3) 教育関連事業
2018年8月期第2四半期から加わった教育関連事業については、売上高で10百万円、営業損失で1百万円となった。従来、五反田と新宿で展開していたが、利便性の高い新宿校にリソースを集中し、現在は新宿で3校を展開している。生徒数についても前年同期比で約3倍増となっており、着実に伸びている。
株式発行等による資金調達が進み、財務内容は大幅に改善
3. 財務状況と経営指標
2018年8月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比846百万円増加の1,827百万円となった。流動資産では新株発行等による資金調達が進んだことで、現金及び預金が374百万円増加した。固定資産では主にエンターテイメントシステムズを子会社化したことに伴い、のれんが400百万円増加したほか、長期貸付金が93百万円増加した。
負債合計は前期末比196百万円減少の496百万円となった。有利子負債が40百万円減少したほか、未払金が59百万円、買掛金が44百万円減少した。また、純資産は前期末比1,042百万円増加の1,331百万円となった。株式発行及び新株予約権の行使による株式発行収入で資本金及び資本剰余金合わせて989百万円増加したことが要因となっている。
経営指標を見ると、株式発行による資金調達を行ったことにより自己資本比率は前期末の28.4%から70.7%と大幅に上昇し、また、有利子負債比率も124.2%から23.7%に低下するなど、財務内容が大幅に改善した格好となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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