1. 2019年11月期第2四半期業績(連結)の概況
ファーストブラザーズ<3454>の2019年11月期第2四半期連結決算は、売上高4,081百万円(前年同期比71.1%減)、売上総利益1,268百万円(同65.6%減)、営業利益416百万円(同86.3%減)、経常利益95百万円(同96.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益12百万円(同99.3 %減)と減収減益となった。
主力の投資銀行事業において、賃貸不動産ポートフォリオの入れ替えに伴う物件の売却(引き渡し)が下期に集中することが要因。ちなみに、3月に売却の開示が行われた2物件(東京都台東区、埼玉県川口市)は、いずれも2018年11月期の売上高の10%(2,186百万円)以上の売却価格であり、上期に契約は終了しているが引き渡し(決済)が下期になるため、業績への貢献も下期となる。また、6月にも同様に売却の開示が行われていることからも、売却活動は順調に進捗している模様である。投資銀行事業の売上高は4,013百万円(前年同期は14,103百万円)、売却粗利が607百万円(同3,094百万円)であった。また、賃貸粗利は595百万円(同551百万円)と、投資銀行事業が売上総利益の94%を占めている。東日本不動産を連結化した直近月次2019年5月以降では、安定収益が大幅に増加し賃貸粗利が販管費を上回る水準で推移している(月次の販管費カバー率約115%)。
投資運用事業は、売上高68百万円(前年同期は27百万円)、売上総利益68百万円(同27百万円)、営業利益48百万円(同22百万円)となった。同社は、大型物件の取引価格は過熱感が高いとの市場認識から物件取得に慎重姿勢で臨んでおり、期中の新規物件取得は行っていない。一方、投資家が主体的に行う不動産投資活動において同社が期中運営のアセットマネジメント業務を追加で受託したために、前年同期比で粗利が増加した。
貸借対照表に関しては、東日本不動産を買収した影響で資産規模が大幅に拡大した。特徴的な変化としては、販売用不動産(仕掛含む)が54,680百万円(前期末比17,400百万円増)と増え、それに伴って負債合計も50,381百万円(前期末比16,621百万円増)と増えた。
2019年11月期は、売上高200億円、営業利益38.5億円と期初予想を据え置き。今期は下期に売却が集中する見込み
2. 2019年11月期連結業績の見通し
2019年11月期連結決算は、売上高20,020百万円(前期比8.4%減)、売上総利益5,380百万円(同17.1%減)、営業利益3,850百万円(同25.0%減)、経常利益3,170百万円(同32.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円(同30.7%減)と期初の計画から変更はない。
セグメント別売上総利益の予想は、投資運用事業32百万円(前期比26.4%減)、投資銀行事業5,347百万円(同17.0%減)と投資銀行事業が中心。投資銀行事業の中でも不動産売却が粗利の大半を稼ぐ構造に変化はない。
投資銀行事業では、売上総利益の通期予想に対する上期の進捗率が22.4%と数字上は低調な水準に見えるが、実態は順調である。今期は上期に契約を行ったが引き渡しが下期になる案件が複数あったことなども影響し、売却が下期に集中することは想定の範囲内である。オフィス及び商業の不動産市場は引き続き良好な売却環境が続いており、計画達成の確度は高いと評価できる。また不動産賃貸粗利に関しては、東日本不動産の保有資産の賃貸収入が下期を通じて享受できるため、前期以上の業績が期待できそうだ。
弊社では、1)足元の市場環境は引き続き良好であり流動性に変化はないこと、2)東日本不動産の保有物件も含めて販売用不動産の残高が過去最高水準であり売却可能物件は豊富なこと、3)下期に想定以上の賃貸不動産収入が見込まれること、などから、業績予想を達成する可能性は高いと見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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