1. 2024年12月期の業績見通し
RS Technologies<3445>の2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%増の54,900百万円、営業利益で同17.7%増の14,000百万円、経常利益で同3.2%増の15,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.3%減の7,600百万円を計画しており、売上高と営業利益は過去最高を更新する見通しだ。上期はプライムウェーハ事業の調整が続くため伸び悩むものの、下期以降は調整一巡により成長軌道に復帰する見込み。
2024年の半導体市場見通しはAI・データセンター関連や自動車向けの需要が牽引し、2年ぶりにプラス成長に転じる見通し。メモリ市況も底打ちし、投資マインドの改善が見込める状況で、会社計画は達成可能と弊社では見ている。リスク要因として中国プライムウェーハ市場の動向が挙げられるが、市場全体が軟調に推移したとしてもシェア拡大によって下期に挽回することは可能と見られる。為替前提レートは130円/USD~140円/USDと前期よりも若干の円安前提としており、1円/USDの変動で営業利益は数千万円程度の影響がある。
営業外収支が16億円悪化する見通しだが、補助金収入のうち前期に計上した国内子会社分の約3億円が無くなるほか、投資増によって金融収支が若干減少する以外は特段の悪化要因はなく、為替の円高リスクなども含めて保守的に見積ったものと推察される。なお、2024年12月期の業績計画は2023年2月に発表した3ヶ年の中期経営計画の業績目標値と同額になっている。業績計画については2023年12月末に足元の市場環境などを考慮して改めて積み上げた数字となっている。全体の数値は変わらないものの、事業セグメント別ではウェーハ再生事業が能力増強投資により増額となる一方で、プライムウェーハ事業が減額された格好となっている。また、新規事業として立ち上げた再生可能エネルギー事業については、売上の計上時期が早くても下期以降の見通しであるため、今回の業績計画には織り込んでいない。
(1) ウェーハ再生事業
ウェーハ再生事業は2024年も堅調な成長を見込んでいる。国内外で半導体の新工場が立ち上がっており、これら需要に対応すべく12インチ再生ウェーハの月産能力を国内で前期末比1万枚増の32万枚、台湾で同3万枚増の26万枚に増強する計画としている。設備投資額は両工場合わせて12億円(前期実績21億円)となる。
(2) プライムウェーハ事業
プライムウェーハ事業は、上期は前年同期比で減収が続く可能性が高いが、シリコン部材について顧客の在庫調整が上期で一巡し、下期以降は上向く見通しとなっているほか、プライムウェーハについても8インチの月産能力を前期末の13万枚から18万枚に段階的に引き上げることで、下期は回復基調となると見ている。設備投資額は40億円(前期実績20億円)を計画している。プライムウェーハの販売価格についても前第4四半期が底となるようで、年明け以降は徐々に市況も回復傾向であることから、値戻し交渉を進めている状況にあり、四半期業績では前第4四半期を底にして徐々に回復し、下期以降は成長軌道に復帰するものと弊社では見ている。
(3) 半導体関連装置・部材等事業
半導体関連装置・部材等事業は前期比増収を見込んでいる。前期に獲得した海外顧客向けのレーザーダイオードが順調に推移するほか、半導体製造装置の仕入販売も堅調な推移が見込まれる。また、DG Technologiesの業績も下期以降は回復に向かう見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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