八洲電機<3153>が力を注いでいるのが、ソリューション・エンジニアリング力の強化だ。単にモノを売る、コーディネートするという商社機能だけではなく、実際に工事を行い、技術力を提供している。
それをより明確化するために、2018年4月にエンジニアリング力を最大限に生かし収益力強化を目的としたエンジニアリングビジネスユニットと、製品販売力の強化を目的としたインフラソリューションビジネスユニットの2つのビジネスユニットに再編した。
さらに、エンジニアリングを中心にビジネス展開することを明確にするため、事業セグメントについても2019年3月期から従来の産業システム事業と社会インフラ事業を統合し、産業・交通事業に変更した。これによって社内の経営管理体制が強化されることになる。
また、空調・給排水・衛生機器設備などの販売、工事、保守・サービスを八洲環境エンジニアリング(株)に承継させ、これらのビジネスについて特化することにより事業の効率化を図った。
実際、2019年3月期の決算を見ても、ソリューション・エンジニアリング力を発揮した結果、前期の大型案件の反動もあって売上高はマイナスになりながらも、2ケタ増益を確保するなど、エンジニアリング力を強化したことの効果が現われている。
一方、これまで工事の発注先だった(株)三陽プラント建設を2018年4月に子会社化。グループのシナジー効果を最大限に発揮させるほか、同社の事業の拡がりが期待できるようになっている。M&Aに関しては、工事関係を中心に今後も積極的に取り組む考え。マッチする企業を探している状況だ。
そしてグループシナジーについては、2019年4月より、新たに情報・通信システム機器に関連する電気工事・電気通信工事及びそれらの附帯工事の設計、施工、情報・通信システム機器の販売及び保守、修理並びにクラウド・コンピューティング・サービスに関する事業を展開する八洲情報システム(株)と九州地区の電力会社に、水力発電機器の販売、保守・メンテナンスを行う(株)西日本パワーシステムが営業を開始し、ソリューション・エンジニアリング力を強化した。
ソリューション・エンジニアリング力をさらに強化し、業務環境の整備を図るため、日暮里のエンジニアリングセンターと本社のエンジニアリング部門を移転集約し、港区芝の「八洲芝公園ビル」内に新「エンジニアリングセンター」を2019年6月に開設した。
ソリューション・エンジニアリング力の強化で課題となるのが人材だ。人材確保が難しくなっているなか、大学との結び付きを強めるなどの施策を打っている。エンジニアリングの拡大に関してはこの面がポイントになりそうだ。
■情報セキュリティについて
同社は、シンクライアントシステムを2014年から導入。社内にサーバーを置かず、従業員のパソコン等にデータが残らないようにしており、これによって社内からの情報漏えいを防ぐ。同時に、これは管理部門の効率化にもつながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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