1. 当面の展望・課題
八洲電機<3153>が力を注いでいるのが、ソリューション・エンジニアリング力の強化だ。単にモノを売る、コーディネートするという商社機能だけではなく、実際に工事を行い、技術力を提供している。
それをより明確化するために、2018年4月にエンジニアリング力を最大限に生かした収益力強化を目的としたエンジニアリングビジネスユニットと、製品販売力の強化を目的としたインフラソリューションビジネスユニットの2つのユニットに再編した。
既に、2017年4月に東京・日暮里にエンジニアリングセンターを開設しており、独自技術を活かした工事の受注拡大を目指す体制を整えている。エンジニアリングに注力することによって、過去に比べて売上高の鋭角的な増加は見込めなくなりながらも、利益率が高くなるため、収益構造の改善につながりそうだ。実際、2018年3月期の業績も増収率に比べて増益率が高くなっている。
直近の事例を見ると、鉄鋼メーカー向けのLED照明、高速道路向け受変電設備、大学向け特殊空調、鉄道会社向け車両検修ラインなどの実績を積んでいるが、今後もより付加価値の高い案件の獲得を目指す。具体的には、老朽化設備の更新工事において、情報関連の要素を組み込むなどする。
さらに、ビジネスネットワークによるビジネスチャンスの拡大を目指す。空調設備、LED照明などで取引先や仕入先のビジネスパートナー企業との強い絆を継続し、事業規模・領域の拡大を図る。
一方、エンジニアリングの強化で課題となるのが人材だ。新卒、中途を合わせて、これまでコンスタントに20人以上のエンジニアを毎年採用してきたが、2018年はグループ全体で新卒で32人採用し、うち半数がエンジニアとなっている。人材確保が難しくなっているなか、同社は関連団体の八洲環境技術振興財団を通じた研究助成を行うことで、大学との結びつきを強めるなど施策を打っている。エンジニアリングの拡大に関してはこの面がポイントになりそうだ。
2. 中期経営計画
同社は2020年3月期を最終年度とする中期経営計画を進行させている。数値目標は、連結売上高90,000百万円、連結経常利益2,600百万円、ROE8.8%だ。売上高に関しては、ローリングの可能性があるものの、利益に関しては付加価値が高いエンジニアリング関係に注力するため、達成可能とみている。
■情報セキュリティーについて
同社は、シンクライアントシステムを2014年から導入。社内にサーバーを置かず、従業員のパソコン等にデータが残らないようにしており、これによって社内からの情報漏えいを防ぐ。同時に、これは管理部門の効率化にもつながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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