1. 中期業績目標
クオールホールディングス<3034>は2027年3月期までの3ヶ年の中期業績目標を発表した。医薬品の研究開発(アポプラスステーション)から製造販売(第一三共エスファ、藤永製薬)、医療系人材サービス(アポポラスステーション、オンコール)、調剤薬局(クオール)までをカバーする総合ヘルスケアカンパニーとして経営基盤の強化を図りながら持続的な成長を目指す。
業績目標値としては2027年3月期に売上高3,072億円、営業利益240億円を設定した。2025年3月期計画を基準にすると売上高は年率6.7%成長、営業利益は26.5%成長となり、今後グループシナジーを高め各事業において収益性向上を図りながら、業績を拡大していくことになる。従前の3ヶ年計画では2026年3月期に売上高3,000億円、営業利益250億円を目標としていたため、収益拡大ペースが1年先送りされた格好だが、これは第一三共エスファの業績計画を、前期の実績を踏まえて見直したことが主因となっている。薬局事業やBPO事業については、従前の成長ペースから大きく乖離していない。
事業セグメント別の2027年3月期業績目標を見ると、薬局事業では質の向上に取り組むことで年率4%以上の売上成長と40億円規模の収益性改善を実現し、売上高で1,871億円、営業利益で116億円を目指す。BPO事業ではオーガニック成長で年率10%の増収増益を計画しているほか、M&A効果(売上高16億円、営業利益1.6億円)を織り込み、売上高で205億円、営業利益で26億円を目指す。製薬事業では第一三共エスファの成長により、売上高で1,031億円、営業利益で126億円を目標に掲げた。収益性の高い第一三共エスファの事業構成比が高まることで、全体の営業利益率は2025年3月期見込みの5.6%から2027年3月期は7.8%に上昇することになる。
2025年3月期を起点として2年間の営業利益増加額を見ると全体で90億円の増益となり、そのうちの6割を製薬事業の成長と見込んでいる。このため、業績目標の達成は第一三共エスファがカギを握っているとも言え、今後の動向が注目される。後発医薬品に関してはここ1〜2年、供給不足が続くなかで、業界再編の見直し機運も高まっているが、第一三共エスファは後発医薬品で国内第3位の売上規模となる大手であることから、マイナスの影響を受ける可能性は低いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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