~ワッツブランドを軸に、次なる事業高度化へ~
【ポイント】
・今2023年8月期の3Q累計は大幅な減益となった。既存店が今一歩で、円安に対応した商品導入にも時間を要しており、買収店舗の効率化もまだ途上にある。会社計画の営業利益は9.2億円から4.0億円に下方修正された。
・円安の進行が響いている。100円ショップは、海外からの商品調達が圧倒的なので、1ドル140円への対応には時間を要する。100円では提供できない商品も増加している。ワッツは均一価格を原則とするが、100円以外の高額商品で、顧客ニーズに合わせつつ、全体のバランスを図ろうとしている。
・プロダクトミックスで一定の粗利率を確保し、収益の下支えをしていく方針であるが、収益力の回復には時間を要しよう。1)中期3カ年計画で掲げた目標、2024年8月期の営業利益21億円の達成は難しい、2)プライム市場の条件である流通株式時価総額100億円以上の達成もハードルが高い、ということで、プライム市場からスタンダード市場への移行を表明した。今年10月より実施となろう。
・今後、1)為替が安定し、2)100円という基準価格の変更が業界で目途が立ち、3)その上で、当社の100円ショップを中心としたハイブリット戦略が効果を上げてくれば、売上の拡大と粗利率のアップが見込めるようになろう。
・現在は、仕入れ商品の見直し、高価格商品へのシフト、グループ業態との連携、海外への卸売りなどによって、対応を進めている。音通から100円ショップ事業約140店(音通エフ・リテール)、年商80億円を買収した。2021年10月から連結に入っている。ここも含めて、収益の好転を目指すが、来期の回復も小幅なものにとどまろう。
・今後の経営方針は、1)円安対応の実行、2)委託販売の一段の強化、3)ファッション雑貨事業との連携、4)海外卸売の拡大継続という展開になろう。主力の100円ショップ業界は競争が激化しており、同質化すると下位は不利になる。小回りのきく店舗展開で優位性を発揮しつつ、事業の高度化に着手している。その進捗に注目したい。
目次
1.特色 規模では業界4位ながら、小回りがきく存在
2.強み 迅速な出退店と独自の店舗オペレーションで収益を確保
3.中期経営方針 ワッツブランドをベースに高付加価値化を推進
4.当面の業績 円安への対応に向け、グループ連携を強化
5.企業評価 収益源の多様化に挑戦中
企業レーティング | . |
---|---|
株価 (2023年7月28日) |
634円 |
時価総額 | 88億円 (13.898百万株) |
PBR | 0.70倍 |
ROE | 1.2% |
PER | 57.1倍 |
配当利回り | 2.4% |
総資本 | 25739百万円 |
純資産 | 12045百万円 |
自己資本比率 | 46.8% |
BPS | 908.3円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2013.8 | 41725 | 2074 | 2075 | 1123 | 88.6 | 17.0 |
2014.8 | 43573 | 1784 | 1799 | 948 | 70.0 | 17.0 |
2015.8 | 44462 | 1257 | 1263 | 700 | 51.7 | 17.0 |
2016.8 | 46176 | 1205 | 1193 | 718 | 53.0 | 15.0 |
2017.8 | 47494 | 1209 | 1272 | 839 | 62.0 | 15.0 |
2018.8 | 49480 | 1000 | 1037 | 633 | 46.8 | 15.0 |
2019.8 | 51399 | 716 | 656 | 70 | 5.3 | 10.0 |
2020.8 | 52795 | 1768 | 1731 | 774 | 57.8 | 15.0 |
2021.8 | 50702 | 1669 | 1586 | 965 | 72.1 | 22.0 |
2022.8 | 58347 | 998 | 1148 | 781 | 57.8 | 15.0 |
2023.8(予) | 59000 | 400 | 400 | 150 | 11.1 | 15.0 |
2024.8(予) | 61000 | 500 | 500 | 300 | 22.6 | 15.0 |
(2023.5ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2013年3月1日で1:2の株式分割。2013.8期、2014.8期の配当は、東証2部、1部への変更記念配2円、2015.8期の配当は創業20周年の記念配2円を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/waltutu202307.pdf
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