3. ヘルスケアソリューション事業の収益性は落ち込む、地球環境ソリューション事業は事業構造が激変
ヘルスケアソリューション事業のセグメント利益率(全社費用負担前)を見ると、2015年9月期の5.3%をボトムに2019年9月期は14.7%と改善傾向にあったものの、2020年9月期は-9.0%へと落ち込んだ。コロナ禍の先行きに予断は許さないものの、医療機関への営業活動再開に加え、新型コロナウイルス関連プロダクトの取扱い開始など、2021年9月期に向けて明るい兆しも散見される。
地球環境ソリューション事業のセグメント利益率(同)は低下しているものの、Pix4D製ソフトウェアの戦略的価格改定(引下げ)や契約代理店網の組成・活用(直販に比べ利益率は劣る)、販売促進を目的とした広告費増(すでに一巡)、新規案件に係る人件費増は反映されることなどから見て特に問題視する必要はない。また、新規領域である再生可能エネルギー事業が保有発電所からの売電収入と保有発電所の転売収入から成り立っていることを考えれば、今後についても短期的な収益性変動に一喜一憂することなく、バランスシートの活用状況や財務の健全性を総合的に判断していくことが重要だと弊社では考えている。
4. 2021年9月期業績は厳しい滑り出しながら、期初会社予想を据え置き
2021年9月期通期業績の期初会社予想は、売上高が前期比21.3%増の2,400百万円、営業利益が同552百万円増の100百万円、経常利益が同653百万円増の70百万円、当期純利益が同651百万円増の50百万円である。
2021年9月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比26.7%減の718百万円、営業損失が132百万円(前年同期は225百万円の損失)、経常損失が151百万円(同257百万円の損失)、四半期純損失が169百万円(同266百万円の損失)と厳しい状況となった。とはいえ、1)ヘルスケアソリューション事業は前年同期に比べ増収・増益(黒字転換)となり、セグメントの受注残は219百万円にまで積み上がり、新型コロナウイルス関連プロダクトの受注も部門予算を上回っている、2)地球環境ソリューション事業は減収・損失となったが、再生可能エネルギー分野で第3四半期以降売上計上が期待される進行中の案件を数件保有しているほか、GEOソリューション分野では引き続きPix4D製品等が好調に推移している、といったことを踏まえて同社は現時点において期初に発表した通期業績予想を据え置いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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