1. 2019年9月期は実質的に増収増益を達成、財務体質もおおむね健全
イメージ ワン<2667>の自己資本比率の推移を見ると、2004年3月実施した伊藤忠商事<8001>を第2位の大株主として迎える第三者割当による新株発行(2008年3月に国際航業(株)グループが全株取得)を経た2005年9月期末の66.8%をピークに2008年9月期末には25.3%まで落ち込んだが、2015年5月のEBMへの資本業務提携を伴う第三者割当による新株発行とマイルストーン・キャピタル・マネジメント(株)への純投資としての第三者割当による新株予約権発行、2018年5月の純投資目的のSBIグループ(SBIホールディングス<8473>)及び事業パートナーである光通信グループへの第三者割当による新株予約権発行、さらには事業構造改革への注力により、2018年9月期末には75.5%まで上昇した。流動比率についても、2005年9月期末369.0%→2009年9月期末140.9%→2018年9月期末407.1%と同様の傾向を示しており、財務体質の安全性は大幅に良化し、資産効率を考慮した財務戦略を打ち出すべきタイミングを迎えていた。
そして2019年3月に公表された新中期経営計画において「財務健全性を維持しつつ、成長戦略に沿った投資を惜しまない」という財務・事業戦略が示され、速やかに実行に移された結果、2019年9月期決算は売上高1,879百万円(前期比13.7%増)、経常利益692百万円(同676百万円増)と実質増収増益を達成、2019年9月期末の自己資本比率は55.5%まで低下したものの、流動比率は525.4%へと一段と上昇し、バランスシートを積極活用しながらも財務の健全性は総じて問題ない状況にある。
2. ヘルスケアソリューション事業の収益性は改善傾向、地球環境ソリューション事業は事業構造が激変
ヘルスケアソリューション事業のセグメント利益率(全社費用負担前)を見ると、2017年9月期の6.6%をボトムに2018年9月期は14.3%→2019年9月期は14.7%と改善傾向にある。今後は不採算事業を譲渡した効果や好採算プロダクトの立ち上がり効果が顕在化する蓋然性が高く、一段の収益性改善が期待されるだろう。
2019年9月期に地球環境ソリューション事業のセグメント利益率(同)は低下しているものの、Pix4D製ソフトウェアの戦略的価格改定(引下げ)や契約代理店網の組成・活用(直販に比べ利益率は劣る)、販売促進を目的とした広告費増による影響が一巡していること、匿名組合物件の転売収益がセグメント情報に反映されないこと、から見て特に問題視する必要はない。また、新規領域である再生可能エネルギー事業が保有発電所からの売電収入と保有発電所の転売収入から成り立っていることを考えれば、今後についても短期的な収益性変動に一喜一憂することなく、バランスシートの活用状況や財務の健全性を総合的に判断していくことが重要だと考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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