5. 旧GEOソリューション事業ではPix4D製ソフトウェアに注目
一連の事業構造改革を経て、旧GEOソリューション事業のメインプロダクトは、継続課金型事業モデルのPix4D製ソフトウェアと売り切りモデルながら高収益のMalvern Panalytical可視・近赤外分光放射計に絞り込まれている。
Pix4D製ソフトウェアは、特定のハードウェアに依存することなく、UAV(小型無人航空機、いわゆるドローンを含む)や地上で撮影した画像データから3次元形状の復元やオルソモザイク画像(写真に含まれるずれやひずみを修正した画像をモザイク状につなぎ合わせたもの)の生成、画像データに基づく各種計測(体積、面積、長さ)が直感的な操作により行えるものである。用途としては、航空写真測量や農業分野、環境監視・保全対策、被災状況の把握などに利用されているが、国土交通省が推進する「i-Construction (ICTの全面的な活用で建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み)」においてもUAV活用が注目されており、同関連市場は有望視できるだろう。
Pix4D製ソフトウェアは、当該分野で世界シェア60%程度を押さえるNo.1プロダクトでありながら、日本におけるシェアは40%程度にとどまっているもようである。これに対し同社は、2017年12月に国内販売価格をグローバル販売価格に適合させる戦略的価格引下げを実施、全国で20拠点を超える新たな代理店網の組成も行うことでシェア拡大を図っている。こうした戦略推進に伴う販売価格低下は直近において一巡、販売数量は上向いている。さらに同社は、日本国内に2名しか存在しないPix4D社認定トレーナー(Pix4DcertifiedTrainer)資格保有者を抱える正規代理店として積み上げてきた豊富な経験値と優れたサポート力を武器に成果物提供型の新たなサービスの開発にも取り組んでおり、2020年9月期中にも実際のサービス提供が見込まれるだろう。
なお、同社は2012年8月にmicrodrones(ドイツ)とUAVの販売代理店契約を、同年11月にはPix4D(スイス)とUAV撮影画像処理ソフトウェアの販売代理店・ライセンス契約を締結している。日本でドローンへの関心が一気に高まったのは2014年後半から2015年前半であり、同社のシーズ/ニーズに対する感度の高さと迅速な経営判断力を示す好例と言えるだろう。
Malvern Panalytical可視・近赤外分光放射計(対象物の反射率、放射輝度、放射照度を計測)は、売上貢献こそ小さいものの、国内代理店契約に基づく高収益のオンリーワン・プロダクトである。NASA(米航空宇宙局)やUSGS(米地質調査所)の標準器として使用されるほど信頼性が高い製品がラインナップされており、日本では国公立の研究機関、大学等を中心に農業、環境調査、建設、土木、植生調査、海洋調査、資源探査、化学分析、原材料検査、品質・製品識別など様々な分野で利用されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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