1. 株主価値の希薄化に留意する必要はあるが、経営戦略の柔軟性と機動性は評価したい
イメージワン<2667>の主戦場である国内PACS市場は、新規導入が一巡し、5年程度のサイクルで発生する更新需要を各社が奪い合う厳しい競争環境が続いている。こうしたなかで、同社は自社顧客の堅持と他社顧客へのアプローチによるシェア拡大を目指した既存プロダクトの強化にとどまらず、「Society5.0」や「i-Construction」など政策面から追い風が吹く分野で新規需要が期待される新事業の開拓に取り組んできた。
パートナーに選ばれ続けた結果、エクイティファイナンスを駆使した経営戦略(財務基盤強化と事業構造改革の両立)を柔軟かつ機動的に推進できた点は評価すべきだろう。
とはいえ、エクイティファイナンスが既存株主にとって企業価値の希薄化を強いるものであることは間違いない。2018年5月に新たなエクイティファイナンスに踏み切っているだけに、中長期的な企業価値向上の実現を待つだけでなく、折に触れて、これまでの総括と今後の展望を市場に説明し続ける必要があるだろう。
この点、2018年9月期決算の発表までに中期経営計画がアップデートされる蓋然性が高いことに注目したい。
2. 見直される蓋然性が高い中期経営計画
同社は2016年11月の修正中期経営計画において、2019年9月期の経営数値目標を同社単体では売上高1,600百万円、営業利益110百万円、当期純利益77百万円としているが、2018年9月期の単体業績予想(売上高1,580百万円、営業利益40百万円、当期純利益10百万円)が発射台と考えた場合、売上高はさておき、利益については絶対額、利益率ともに極めてチャレンジングな目標にみえる。
2018年9月期決算発表時に直近の事業環境を踏まえた2019年9月期の単年度業績見通しが開示されるわけだが、このままであれば中期経営計画の目標数値と大幅な乖離が発生する恐れは大きいだろう。この点、会社側も十分認識しており、現在の中期経営経計画が本決算発表までにアップデートされる蓋然性は高いと考える。
一般論として、中期経営計画に対して市場が期待する内容は、1)成長戦略、2)数値目標、3)株主還元政策、の3点セットである。ここでは、新たな事業領域における成長戦略だけでなく、競争激化に直面する領域での収益性改善に向けての取り組み、関連会社による運営に移行したWebサービス事業の位置付け、株主還元に対する時間軸の考え方、など納得性の高いエクイティストーリーが示されることを期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田 吉弘)
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