2. 成長する宅配水市場と市場シェア
宅配水とは、サーバーとセットで供給されるミネラルウォーターで家庭や事業所などに宅配されるものを指す。2000年以降に普及が開始し、東日本大震災などの影響も追い風となり2012年頃までに急成長を遂げた。その後成長が鈍化した時期もあるが2015年以降成長軌道が回復し、2023年の市場規模は182,250百万円、2018年から2025年の5年間の年平均成長率は3.4%である。近年の動向では、2020年に新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響で在宅時間の増加に伴い宅配水の需要の増加したこと、2022年には業界各社が値上げを実施したことに起因して市場規模が拡大したこと、2023年に浄水型ウォーターサーバーの統計調査が開始され一定の割合で需要があることが確認されたこと、などが挙げられる。なお、2023年に1WAY市場が減少しているのは浄水型の影響と考えられるが、浄水型の成長もやや鈍ってきており、2024年の1WAY市場は2022年の水準に回復すると予測されている(日本宅配水&サーバー協会、同社分析)。「日本の良質な天然水が定期的に自宅まで配達される」「冷温水が簡単に利用できる」「災害に備えた備蓄水としての役割」といった利便性や安全性等によって宅配水(ウォーターサーバー)への認知度が高まっており、市場環境は良好である。国内の世帯普及率は8.7%と同社では推計しており、今後もさらなる普及が期待できる。
宅配水業界は、ガス会社系、水宅配専業系、レンタル・クリーン・オフィスサービス系、飲料メーカー系など経営母体によって分けられる。参入企業は多いものの継続的に顧客数を伸ばしていくことができている企業は数少ない。営業力のみならず、商品力、製造力、物流力などを兼ね備えなければ顧客を増やし維持し続けることが難しいためである。同社は宅配水業界において保有顧客数を純増させる力により業界大手の存在になった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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