1. 株主還元策
ティア<2485>は株主還元方針として、配当金については安定配当を基本に財務状況や資金需要も勘案しながら業績向上時には積極的な利益還元を行っていく意向を示している。2024年9月期の1株当たり配当金は前期比横ばいの20.0円(配当性向64.7%)を予定している。大型のM&Aを実施したことに伴う借入金の返済も進めていく必要があるため、当面は安定配当が続くと予想されるが、財務基盤の強化が進み利益成長により配当性向が一定水準以下まで低下すれば、増配余地も出てくると弊社では見ている。また、2019年9月期に株主優待制度を廃止して以降、個人株主数が減少していることや株価の低迷が続いていることを鑑み、株主優待の復活も検討課題として上がっているようだ。
2. SDGsへの取り組み
SDGsに対する取り組みとして、同社は「社会インフラとしての責任を果たす」ため、コロナ禍においても分け隔てのない葬儀を行ってきたほか、自治体と地域防災協定を締結し、自然災害への対応も行っている。また、「幸せに働く環境を創る」ために、ハンディキャップ雇用や高齢者雇用に取り組んでいるほか、多様な働き方を支援する制度の導入なども行っている。環境面での取り組みとしては、再利用可能な葬儀付帯品の活用や社内ペーパーレスの推進、返礼品袋の削減、直営会館の太陽光発電システム導入や霊柩車のEV化などを進めている。
そのほか、不要となったパソコンの社会的支援団体への寄贈や、開発途上国の子どもたちにポリオワクチンを寄付する「古着deワクチン※」という活動にも参加している。また、ESG戦略本部にて、SDGsコミュニケーションの充実を図るため社内報や会報誌の制作を行っているほか、サステナビリティサイトをオープンし、ESGに関する取り組みや関連データの情報開示を行っている。
※不要になった衣類や服飾雑貨を専用の回収キット(3,300円/個)に詰めて輸出販売すると同時に、「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」を通じて、開発途上国の子どもたちにポリオワクチンが寄付される取り組み(日本リユースシステム(株)が運営)。衣類等の輸出先であるカンボジア直営センターではポリオ障害のあるスタッフが従事している。直近では2024年5月に大阪の直営4会館で「人形供養×古着deワクチン」イベントを開催し、参加者から古着等を回収し、55人分のポリオワクチンが寄付された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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