これまでの業績を振り返ると、景気変動の影響を受ける事業を一部展開しながらも、事業ポートフォリオや地域ポートフォリオを分散して拡充するなど事業構造の変革を途切れなく行ってきたことにより、成長を継続してきたと言える。創業から初期段階では、製造工程の外注化ニーズに対応する形で人材提供数(外勤社員数)の拡大を図ってきたことが同社の成長をけん引してきた。特に、2014年12月期以降に同社の業績が大きく伸びているのは、国内メーカーによる海外生産移管や国内産業構造の変化(鉱工業からIT産業や建築産業へのシフト)への積極的な対応のほか、グローバル規模で拡大している公務民間委託市場や人材流動化の動きへの対応を図ることにより、「国内技術系アウトソーシング事業」や「海外事業」が順調に拡大してきたことが寄与している。特に、2015年以降(コロナ禍前)は、全般的な人手不足感や労働者派遣法の改正に伴う規制緩和により人材派遣市場全体が活況を呈してきたが、同社は積極的なM&Aを通じたグループシナジーの創出を含め、景気変動の影響を受けない事業構造への変革を進める独自の戦略により、同業他社とは一線を画した大幅な成長を実現してきたと言える。
なお、ROEが2020年12月期以降、2期連続で10%を下回ったのは、海外子会社の業績の上振れに伴う一過性の金融費用の発生によるものであり、同社グループの本質的な収益性の低下を示すものではない。2022年12月期は、上記要因が解消されたことにより14.0%まで回復している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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