2. 事業セグメント別の動向
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前年同期比2.9%減の205,551百万円、営業利益は同15.0%減の6,496百万円となった。売上高の増減要因を見ると、国内物流の物量増加や新規顧客獲得等で2,818百万円、国内物流の料金適正化で824百万円、為替の円安効果で1,458百万円の増収要因となった一方で、海外物流の運賃下落及び物量減で11,207百万円の減収要因となった。海外物流については前年同期比で2割強の減収になったと見られる。前年同期に高騰したコンテナ海上運賃が世界景気の減速もあって新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで急低下したことや、物量についても半導体や家電製品、事務機等を中心に低迷したことが影響した。SBSホールディングス<2384>が注力事業として取り組んでいる3分野の売上高については、3PLが計画どおり50%進捗、ECも計画どおり、国際物流のみ減収となった。
営業利益の増減要因を見ると、前年同期に計上した一過性費用(本社移転及び制服刷新費用)が無くなったことで627百万円、為替変動で60百万円、その他で68百万円の増益要因となったが、国内物流の新拠点立ち上げコスト増等で610百万円、海外物流運賃下落及び物量減で969百万円、光熱費の上昇で318百万円の減益要因となった。国内物流の新拠点としては、2023年2月に「東北低温DC」(宮城県、SBSフレック)、同年3月に丸岡営業所(福井県、SBSリコーロジスティクス)、同年4月に「物流センター一宮」(愛知県、SBSリコーロジスティクス)、「大阪住之江物流センター」(大阪府、SBS東芝ロジスティクス)をオープンしており、2022年10月にオープンした「市川コールドセンター」(千葉県、SBSゼンツウ)も含めて立ち上げ費用のほか、人件費や広告費、ITやLTの設備投資に伴う減価償却費等が増加した。
主要グループ会社別の業績動向について見ると、SBS東芝ロジスティクスは減収減益となった。国内外で半導体や家電製品の物量が減少したことが主因だ。PMI※の進捗は順調で、情報システム関連は2023年2月で統合を完了しており、本社機能の西新宿への集約についても一部川崎に残っていた機能を同年10月に移転し、すべて完了する計画となっている。SBSリコーロジスティクスは減収、微減益となった。国内売上高は新規顧客開拓の効果もあって堅調に推移したものの、海外売上高の減少が影響した。新規オープンした「物流センター一宮」(運営面積1.74万坪)は既に契約満床となっている。地元の食品スーパーや飲料メーカーなどの物流センターとして稼働しているほか、一部のフロアで2023年秋から大塚商会の「たのめーる」の物流拠点として稼働することになっている。
※M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスのこと。基幹システムの入れ替えなども含む。
SBSロジコムは増収増益となった。数年前から強化してきた大学、病院、市役所等の移転業務の受注活動の成果が売上になって顕在化し始めたほか、3PLで既存顧客だけでなく新規顧客の獲得も進んだことが収益増の要因となった。SBSフレックとSBSゼンツウは増収となったものの、新拠点の立ち上げコストが嵩み減益となった。またSBS即配サポートは伸び率こそ鈍化したものの、主力顧客の大手EC事業者だけでなく新規顧客の開拓を進めたことで増収増益基調が続いた。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前年同期比1,133.6%増の12,611百万円、営業利益は同1,293.4%増の7,374百万円と大幅増収増益となった。開発事業において「横浜金沢物流センター」(神奈川県)、「東扇島倉庫」(神奈川県)の2件の流動化を実施し、合計約69億円の売却益を営業利益に計上したことが増収増益要因となった。賃貸事業については、概ね前年同期並みの収益水準だったと見られる。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比7.9%増の4,503百万円、営業利益は同12.3%減の199百万円となった。売上高は人材、マーケティング、環境事業でそれぞれ増収となったが、利益面では人材及びマーケティング事業のコストが増加し減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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