建設事業の売上構成比は約55%、開発事業等が約45%とバランスの取れた事業ポートフォリオを有しており、景気変動の影響を受けにくい体制を築いている。また、2016年3月期から実質無借金経営を継続し、2019年3月期以降は期末借入金残高がゼロ、2025年3月期末の自己資本比率は72.3%と、極めて強固な財務基盤を有している。
建設事業においては、工場・物流施設などを中心とした設備投資需要は堅調に推移している。一方で、労務不足や資材価格の高止まりといった構造的なコスト上昇要因により、収益環境は厳しい状況が続いている。開発事業では、首都圏の富裕層向けを中心にマンション市場が堅調に推移しており、同社の平均販売価格は過去最高を更新している。住宅ローン金利の上昇は懸念材料ではあるものの、インフレ環境下における「価格先高観」が強いこともあって、底堅い需要が続いている。
2024年3月期は売上高133,517百万円(前期比17.4%増)、営業利益17,577百万円(同2.3%増)、当期純利益12,286百万円(2.3%増)となった。建設事業、開発事業の両部門で増収となり、特に開発事業等では首都圏のマンション販売が好調に推移した。資材価格や労務費の上昇といったコスト増はあったものの、増収効果がこれを吸収して増益を確保した。
2025年3月期は売上高131,662百万円(前期比1.4%減)と減収となったが、営業利益18,310百万円(同4.2%増)、当期純利益12,816百万円(同4.3%増)と増益を達成した。開発事業において減収となったものの、建設事業においては案件ごとのきめ細かい採算管理の強化によって工事採算を改善したことが寄与した。売上総利益率は前年の17.1%から17.9%に上昇し、利益体質の改善が進んだ。
2026年3月期は135,000百万円(前期比2.5%増)、営業利益18,600百万円(同1.6%増)、当期純利益13,100百万円(同2.2%増)を見込んでいる。
同社は中期経営計画を策定していないが、1年先の業績を着実に積み上げていく「階段を一段ずつ上がるような成長」を志向している。建設事業では、ホテル、工場、倉庫などの鉄骨造の非住宅案件の受注に注力し、鉄筋コンクリート造の建物に偏った受注構成からの分散を図っていく。また、土地情報の積極的な収集を通じて、付加価値の高い企画提案型営業を推進している。開発事業等では、「エクセレントシティ」シリーズを基軸に、太陽光発電の導入など環境配慮型マンションの展開を進めている。さらに、高齢者施設や再開発案件への参入を通じて収益構造の多角化を進めている。
同社は「安定配当」を基本方針としており、成長投資およびリスク対応とのバランスを考慮しつつ、株主還元を実施している。2024年3月期の年間配当は53円(配当性向25.2%)であった。2025年3月期は設立60周年を記念して記念配当3円を加えて年間56円(同25.6%)を予定している。
また2026年3月期も中間配当・期末配当ともに28円ずつ、年間56円(同25.0%)とする計画であり、安定的な還元姿勢を維持している。
<HM>
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