INPEX、日本最大規模のエネルギー開発企業として成長拡大 2025年度の総還元性向は約56%、1株当たり年間配当金は100円を予定
株式会社INPEX 個人投資家向けIR動画
MC/司会者:みなさま、こんにちは。株式会社INPEX、個人投資家向けIR動画をご視聴いただき、誠にありがとうございます。
本日の講演者は、株式会社INPEX 取締役専務執行役員、経営企画本部長の滝本俊明さまです。
滝本俊明氏(以下、滝本):INPEXの滝本です。よろしくお願いします。
MC/司会者:今回のIR説明動画は3本立てです。INPEXのCMでもおなじみの「INPEXは何してる?」をテーマに、第1パートでは会社概要および株主還元、第2パートでは事業概要と主要プロジェクト、第3パートでは今後の成長戦略に焦点を絞り、それぞれのパートで司会者と滝本さまの対話を通じて、個人投資家のみなさまに理解を深めていただきたいと思います。
1.INPEXは何してる?

滝本:まずは「INPEXは何してる?」です。今年のTVコマーシャルのテーマで、これに沿って当社の事業内容を視聴者のみなさまにご理解いただくことが趣旨となっています。
2部以降で詳しくご説明しますが、まず当社がどのような会社であるか、株主還元としてどのような取り組みを行っているかをご説明します。INPEXが何をしている会社かご存じでしょうか?
MC/司会者:ざっくり言うと、エネルギーを生み出している会社ですね。
滝本:おおむね正解です。エネルギーを生み出し、エネルギーの安定供給に貢献している会社といえると思います。
スライドの写真は、後ほどご紹介するオーストラリア北西部の大陸棚で、当社が主要プロジェクトとして運営している「イクシスLNGプロジェクト」で使用する洋上の生産施設です。
MC/司会者:このビジュアルは見たことがありますが、この規模の中でどのようなことが行われているのかは知らないため、とても楽しみです。
INPEXは「日本最大規模のエネルギー開発企業」です

MC/司会者:スライドにさまざまな数字が出ています。
滝本:スライドは、INPEXがどのような会社かを1枚にまとめたものです。INPEXの起源は、1941年に帝国石油株式会社法という法律に基づき、半官半民の国策企業としてスタートしました。
その後、1966年に国際石油開発株式会社が設立され、こちらと帝国石油株式会社が2006年から2008年に合併し、日本最大規模のエネルギー開発企業となりました。その概要をスライドに数字でまとめています。
従業員数は約3,700人です。日本の年間エネルギー消費量の約1割に相当する生産量を有します。事業活動の9割が海外事業のため、外国籍の従業員比率は約43パーセントで、日本国籍の従業員と外国籍の従業員が協力して事業を行っています。
直近11月20日の株価の終値は3,135円、時価総額は3兆7,000億円です。株主還元については昨年度の総還元性向が55パーセントで、売上高に相当する売上収益は2兆3,000億円という規模となっています。
MC/司会者:とても規模が大きいですね。
滝本:従業員約3,700人でこれだけの数字を上げている会社は、日本でも非常に珍しいと思います。
一人当たりの稼ぐ力が強い会社です

MC/司会者:一人当たりの稼ぐ力が強い会社ということでしょうか?
滝本:そのとおりです。従業員数は約3,700人で、2兆3,000億円の売上収益を上げています。スライド左側のように、東京証券取引所のプライム市場に上場している企業のうち、時価総額が3兆円以上の企業と比較すると、当社は一人当たりの売上収益で第1位となります。効率的に稼ぐ力が強い会社といえるのではないでしょうか。
また、スライド右側のように、当期利益の一人当たりの金額は1億1,600万円です。これも東証プライム市場で時価総額が3兆円以上の企業の中では第1位であり、当社は効率的に収益や利益を上げている会社といえるのではないかと考えています。
MC/司会者:このように収益を見ると、従業員の数が本当に少なく感じられますね。
滝本:後ほどお話ししますが、オペレータープロジェクトについては一定数の人員が必要です。しかし、「ノンオペレーター」と呼ばれるプロジェクトからも収益が上がっています。このことが一人当たりの収益や利益が高いことに寄与していると思います。その両方を合わせて、このような姿の会社になっているのです。
エネルギー開発事業:当社とエネルギー関連各社の違いとは?

MC/司会者:INPEXはエネルギー開発を手がける会社ということですが、他のエネルギー関連企業とは何が異なるのでしょうか?
滝本:ここは一般の方々にはわかりづらい部分かと思います。石油会社と聞いてどのような会社をイメージしますか?
MC/司会者:石油会社というと、やはりスライドの中段にあるようななじみの深い会社で、自動車を運転する際にガソリンを入れるために行く場所という印象が強いです。
滝本:当社は一般にBtoBの企業といわれており、消費者に直接何かを販売することはないため、少しなじみが薄いかもしれません。一方でENEOS、出光興産、コスモ石油などは、ガソリンスタンドがあり、同じような業種だと思われるかもしれません。
天然ガスや石油、その他のエネルギー開発事業は、川の流れに例えられることがあります。上流、中流、下流の各事業があり、INPEXは主に上流事業を担当している会社です。スライドの一番右の販売部分は、ENEOSや出光興産に任せているかたちになります。天然ガスなどに関しては、当社も中・下流事業を手がけています。
世界には、Exxon MobilやShellなど、当社の約5倍から8倍の規模を持つスーパーメジャーと呼ばれるエネルギー開発企業が存在します。Shellは日本にもガソリンスタンドがありましたが、これらの企業は上流から中・下流まで、つまり開発・生産、精製、輸送、販売までを一貫して行っています。
INPEXは、ENEOSや出光興産と上流専業企業の中間に位置する企業だと考えています。
MC/司会者:日本で上流部門を担当しているのはINPEXだけなのですか?
滝本:当社だけではありません。
天然ガス/LNG事業:開発~供給まで一気通貫で手掛る日本で唯一の会社です

滝本:LNGはご存じですか?
MC/司会者:天然ガスに近いイメージですが、具体的に何かというと少し難しいです。
滝本:天然ガスは気体ですが、運びやすくするために液化して輸送するものをLNG、つまり液化天然ガスと呼びます。
当社は、陸上の開発、海上の開発、液化プラントの運営、タンカーによるLNGの輸送、日本国内でのLNG受け入れ基地の運営、および自前のパイプラインを通じたお客さまへの供給を、一気通貫でオペレーションできる日本で唯一の会社です。
スライドの背景に写っているのは、旅客機が3機ほど入る巨大な液化天然ガスのタンクです。これは新潟県の直江津にあるLNG受け入れ基地で、「LNG受入」を当社100パーセント出資で行っていることを示しています。
MC/司会者:かなり大きそうですね。
滝本:機会がありましたら、ぜひ現地に足を運んでみてください。
INPEXの「稼ぐ力」と「生産量」は成長中

MC/司会者:スライドには(探鉱前)営業キャッシュ・フローと生産量の推移が記載されています。
滝本:当社の稼ぐ力と生産量の推移についてお話しします。(探鉱前)営業キャッシュ・フローに関するスライド上のグラフは、年間でどの程度キャッシュを稼いでいるかを示しています。
2018年には(探鉱前)営業キャッシュ・フローが2,127億円でしたが、2022年および2023年には1兆円を超える規模にまで成長しました。また、これを2035年までに1兆5,000億円程度まで成長させる計画です。
スライド下の生産量は、2018年には原油換算で1日当たり42万4,000バレルでしたが、現在では63万1,000バレルまで増加しています。このバレルという単位は、石油・天然ガス業界ではよく使われます。バレルとは、その字のとおり樽を意味します。
アメリカでは100年ほど前に石油産業が発展した際、樽に詰めて石油を運んだことから、単位としてバレルが使用され始めました。量としては159リットルで、街中で見かけるドラム缶が200リットルのため、それよりも一回り小さいのがバレルに相当します。
63万バレルとは、オリンピックの50メートルプールに換算すると、約40杯分です。
MC/司会者:そんなにたくさんあるのですね。
滝本:街中で見かけるENEOSや出光興産のタンクローリーで換算すると、5,000台から8,000台分の量を1日に生産していることになります。
MC/司会者:ものすごい規模ですね。
滝本:スライド下の薄い水色のグラフは、大手の石油会社や大規模なインディペンデントオイルカンパニーと呼ばれる企業の生産量の推移です。この量を維持するだけでも大変で、莫大な投資が必要ですが、当社にはまだ成長の余地があります。
株主還元を強化しています

MC/司会者:株主還元についてご説明をお願いします。
滝本:2018年の株主さまへの年間配当金は1株当たり18円でしたが、今年はそれを100円まで上昇させることをお約束しています。また、配当と自己株式を合わせた総還元性向は50パーセント以上を中期経営計画でお約束しています。
この結果として配当が2018年比で5倍以上となり、総還元性向50パーセント以上を維持して株主還元を実施していきます。
MC/司会者:スライドは、これまでしっかりと還元されてきたことがよくわかるグラフですね。
株主優待を拡充します(Fan株主の皆様に向けて)

MC/司会者:さらに今回、株主優待が拡充されるということで、個人投資家のみなさまにとって非常に喜ばしいニュースだと思います。
滝本:今回拡充する株主優待の内容をご説明します。個人株主のみなさまにとって、株主優待はやはりうれしいものだと思います。
これまでは400株以上を1年以上保有していただいている個人株主のみなさまに1,000円分、また800株以上を3年以上保有していただいている株主のみなさまに5,000円分の「QUOカード」をお送りしていました。
2025年12月末以降は、2年以上かつ800株以上保有している株主さまには5,000円分、3年以上かつ800株以上を保有している株主さまには8,000円分に変更するという拡充を考えています。さらに、800株以上を8年間保有していただいた株主の方には、1回限りではありますが、当社オリジナルの記念品をお贈りする予定です。ぜひご期待ください。
スライド右上の画像は、今年株主のみなさまにお送りした「QUOカード」です。こちらに写っている人物は、当社の選手社員である平野流佳さんです。スノーボードのハーフパイプ日本代表で、今年ワールドカップで3連覇を果たしました。今年はこのオリジナルデザインの「QUOカード」を贈呈しました。
株主のみなさまや視聴者のみなさまにも、ぜひ当社や平野選手を応援していただけると幸いです。
MC/司会者:長く、多く保有した分だけ、たくさん還元されるのはうれしいですね。
滝本:事業を理解していただき、当社のファン株主になっていただける方を増やしたいという思いから、このような株主優待の拡充を決定し発表しました。
株主優待、施設現場見学会を開催しています

MC/司会者:また、株主優待として現場見学会を開催されているのですね。
滝本:12月末時点で100株以上保有していただいている株主さまを対象に、抽選で現場見学会を実施しています。非常に人気があり、競争率が高くて申し訳ないのですが、今年秋の開催から募集人数を倍増したため、当選確率が上がっています。スライド左側の巨大なLNGタンクもご覧いただけます。
MC/司会者:液化天然ガスが入っているタンクですね。
滝本:そのほか、天然ガスの起源からLNGの販売までをデジタルアートで示した「INPEX Museum」の見学も含めた現場見学会です。
MC/司会者:規模が大きく、とてもきれいでわくわくしますね。
滝本:非常に人気が高いですが、株主さまになっていただくことでこうした特典もご利用いただけます。
MC/司会者:チャンスがあるということですね。
2.見つけて創って届けてる

MC/司会者:続いて「見つけて創って届けてる」と題し、INPEXの事業概要と主要プロジェクトについてご説明いただきます。
滝本:今回は「見つけて創って届けてる」ということで、INPEXがどのような事業を行い、どのようにみなさまの元にエネルギーを届けているのかをご説明します。
エネルギー開発ってどんな事業?

滝本:当社はエネルギー開発事業を行っていますが、エネルギー開発がどのように進められているか、具体的にご存じでしょうか?
MC/司会者:海上にある船や施設を使い、そこから地中に何かを行って、天然ガスを採取しているのではないかという、漠然としたイメージがあります。
滝本:その「何かを行っている」という部分がスライドの内容です。スライド左側の写真は、地表にどのような地層があるのかを調査しているところです。このような地層の調査や、スライド右側のような陸上と海上での物理探査と呼ばれる作業があります。物理探査は、人工地震を起こして地球の地下深くまでその構造や地層の存在を調査するものです。
病院でMRIやCTの検査を受けることがあると思いますが、それで体の断面を撮影しますよね。これは、地球版のMRIやCTと考えていただくとわかりやすいかと思います。これにより、記録が良好であれば地下10キロメートルほどの深さまで、3次元で地下構造をイメージすることができるのです。
MC/司会者:どのように見えるのですか?
滝本:MRIとほとんど同じです。縞模様のようなかたちで、地下の構造がどのようになっているのか、実際に手に取るように見ることができます。
MC/司会者:非常に興味深いですね。
天然ガス、どうやって掘るの?

滝本:地下に石油や天然ガスが存在している可能性がある場合、実際に井戸を掘ってどの程度の石油や天然ガスがあるのかを確かめます。これを私たちは探鉱井や試掘井と呼んでいます。
スライド左側が陸上の掘削リグ、右側が海上の掘削リグとなる船です。左の掘削リグは高さが約60メートルあり、これで地下5,000メートルから6,000メートルまで掘ります。
MC/司会者:そんなに深いところまで掘るのですか。
滝本:右側は水深が約800メートルですが、後ほどご紹介するインドネシアのガス田では、そこから地下4,000メートルまで井戸を掘ることになります。
手元にご用意したのは、掘削の際に鉄管の一番先端に取り付けるビットと呼ばれるものです。本物より少し小さいですが、実際のものはこれの3倍から4倍のサイズで、地球に穴を掘っていきます。
MC/司会者:先端がトゲトゲしていますね。
滝本:ご指摘のトゲトゲ部分はタングステンカーバイドという非常に硬い金属で作られています。硬い地層もこれで掘りますが、さらに硬い地層の場合は、ダイヤモンドを取り付けて掘削します。このようなビットを使って地下5,000メートル近くまで掘り、その地層から引き上げたサンプルも用意しています。
MC/司会者:地下5,000メートルにあったものなのですね。
滝本:これは新潟県の南長岡ガス田という場所の地層サンプルです。黒く縞模様になっている部分に隙間が見えます。ここに天然ガスが圧縮されて詰まっており、地下5,000メートルに存在しています。
そうした場所を探しに行くのが、INPEXにとってもっともエキサイティングな仕事です。
MC/司会者:このようなところに詰まっている、あるいは閉じ込められているものということですね。
滝本:地下にプールのようにジャブジャブとたまっているのではなく、このような地層の岩石の隙間に天然ガスや石油が詰まっているのです。
世界中でプロジェクトを展開しています!

MC/司会者:INPEXのプロジェクトをご紹介いただきます。まず、INPEXの事業活動の約9割が海外ということですが、世界中でプロジェクトを展開されているのですか?
滝本:現在、INPEXは世界20カ国で約110のプロジェクトを行っています。特に、5つのコアエリアとして、日本国内、オーストラリア、中東のアブダビ、ヨーロッパのノルウェー、そして東南アジアに資金と人材を集中して事業を展開しています。
スライド右上に国内「南長岡ガス田」と記載がありますが、みなさまは国内に天然ガス田や油田があることをご存じでしょうか?
MC/司会者:国内ではあまり採取できないと思っていました。
滝本:この南長岡ガス田は当社が操業する日本最大の天然ガス田で、新潟県長岡市に位置しています。そのような事業も国内で行っています。
MC/司会者:規模が大きいとは思っていましたが、ここまで大きいとは驚きました。
オーストラリア イクシスLNGプロジェクト

MC/司会者:INPEXの屋台骨となっているイクシスLNGプロジェクトについて、さらに詳しくうかがっていきます。
滝本:イクシスは、オーストラリア北西大陸棚で行っている当社最大のオペレータープロジェクトで、当社が操業の主体となっています。
「INPEXは世界中から天然ガスを届けてる」とスライドに記載されているように、写真の生産施設を建設し、天然ガスを生産・液化して、日本や東南アジアに輸送しているのがイクシスLNGプロジェクトです。
オーストラリアで天然ガスを開発・生産しています

MC/司会者:スライドはイクシスLNGの施設です。
滝本:次のスライドで詳しくお話ししますが、スライド左側にあるのが沖合生産・処理施設で、CPFと呼ばれています。CPFの大きさは、東京ドームのグラウンドそのものが海に浮かんでいると考えてください。
スライド右側が沖合生産・貯留出荷施設で、FPSOと呼ばれています。FPSOは東京タワーと同程度の長さで、東京タワーが横になって海に浮かんでいるとイメージすると規模感がわかりやすいかと思います。
天然ガス、どうやって掘るの? - イクシスの海底生産システム-

MC/司会者:続いて、「天然ガス、どうやって掘るの?」というスライドです。
滝本:これは「見つけて創って届けてる」の「見つけて」の部分です。天然ガスが見つかると、このような施設を使って生産するというイメージです。
スライド中央の丸で囲んでいるのがCPF、その左側がFPSOです。これは水深230メートルほどのところに浮かんでいます。左下の大きな丸は海底面からこの施設を見たイメージ図です。
MC/司会者:筋がいろいろと伸びています。
滝本:これはワイヤーでアンカリングして、この施設が動かないように固定しているものです。現在イクシスの生産井は約30本掘られていますが、スライド中央の黄色い部分の下に、それぞれ井戸が地下4,600メートルほどまで掘られています。
そこから採取される天然ガスは、CPFの中央から伸びているパイプを通じて、CPFという生産施設に送られます。ここで天然ガスと天然ガソリンやコンデンセートと呼ばれる液体成分が分離され、液体分はFPSOに送られます。FPSOで処理された液体分は、図の黒いタンカーに積載され、出荷されます。
天然ガスは、890キロメートルのパイプラインを経由して北部準州のダーウィンに送られます。このダーウィンには液化プラントがあり、天然ガスはここで液化されてから日本や東南アジア諸国に輸出されるというプロジェクトです。
890キロメートルのパイプラインの距離は、東京から福岡、または東京から札幌までの距離に相当します。天然ガス田からプラントまで送る役割を担っている輸出用パイプラインでは、世界最大規模となります。
天然ガスを「液化」し、海外から日本へ

滝本:天然ガスが890キロメートルのパイプラインを通じて、オーストラリアのダーウィンにある液化プラントへ運ばれます。そこで天然ガスをマイナス162度まで冷却すると気体である天然ガスが液体になるのです。
MC/司会者:ここで液化されるのですね。
滝本:そうして液化天然ガス(LNG)となります。この液化により、体積は実に600分の1に縮小されます。そして、液体になり冷えた天然ガスをスライドの手前に見えるLNGタンカーに積み込み、日本などへ輸送することになります。
スライドでは緑色のカバーがかかっていますが、この中には直径40メートルの球形タンクが4つ収まっています。カバーがかかっているのは、空力抵抗を抑えてLNGタンカーの燃費を少しでも改善するためです。こちらは当社と川崎汽船が運用している「オセアニック・ブリーズ」というLNG船です。
海外と日本の天然ガスを、関東甲信越・北陸地域のお客様の元へ

滝本:スライド左上に日本に来るLNG船があります。その奥に見えるのが、新潟県の直江津にある当社100パーセントでオペレーションしている直江津LNG基地です。
スライド左下にある南長岡ガス田は、新潟県にある当社が保有する日本最大規模の天然ガス田です。このガス田から採れる国産ガスを合わせて、新潟県から西は富山県、南は静岡県や東京都まで約1,500キロメートルに及ぶ幹線パイプラインを通じて、幹線パイプライン沿いの産業ガスや都市ガス会社のみなさまへ供給しています。
MC/司会者:はるばるオーストラリアの海底の深いところから、液体になって私たちの身近まで運ばれてきていると思うと、壮大ですね。
滝本:液体になって運ばれてきた天然ガスは、直江津LNG基地にある天然ガスの気化設備で気体に戻し、南長岡ガス田の天然ガスとともに、国産とオーストラリア産が一緒になってお客さまに届けられています。日本のエネルギー安定供給に少しでも貢献している事業だとご理解いただけると幸いです。
3.みんなの明日を支えてく(成長戦略)

MC/司会者:続いて「みんなの明日を支えてく」を題材に、今後の成長戦略についてご紹介します。
滝本:第3部では、INPEXが今後どのように成長し、10年後をどのように予測しながら、2035年までにどのような取り組みを進めていくのかについてご説明します。10年後を見据えた事業戦略の内容についてもお話しします。
2035年にありたい姿:60-60を目指して

滝本:今年2月に、新たな中期経営計画と新たなビジョン「INPEX Vision 2035」を発表しました。これらの特にご説明したい部分を1枚にまとめたスライドです。
スライド左側に「事業規模を60パーセント拡大します」とあります。第2部で取り上げたイクシスLNGプロジェクトを通じて、この10年間でINPEXは事業規模を60パーセント拡大してきました。そして、今後の10年間でさらに60パーセント拡大を目指すという内容です。
同時に、GHG(温室効果ガス)排出原単位を60パーセント削減するという目標を掲げています。原単位とは、生産量当たりの温室効果ガス排出量を指します。事業規模が大きくなると全体量が増加する可能性はありますが、生産量当たりの温室効果ガス排出量を確実に削減していく方針です。
当社はエネルギーの安定供給を図ると同時に、エネルギーの低炭素化にも責任を持ち取り組んでいきます。これを表したのが「60-60を目指して」です。これは大谷翔平選手の「50-50」を模倣したのではないかといわれることがありますが、当社は昨年3月にこれを策定しており、完全にオリジナルです。
スライドの内容が「INPEX Vision 2035」のサマリーです。
MC/司会者:60というのは大きな目標ですね。
滝本:10年間で、「60-60」に示された60パーセント拡大と60パーセント削減という目標を実現したいと考えています。
今後の成長のカギ INPEX Vision 2035:3つの成長軸

MC/司会者:今後の成長のカギは何でしょうか?
滝本:今後10年間のエネルギー関連の事業環境を予測することは、非常に難しいです。その中でまず、エネルギーの低炭素化を進める必要があります。その際、現実的な路線で進めるとなると、天然ガス、LNGの重要性がますます高まると予測しています。
例えば、石炭火力発電所の燃料を天然ガスに変えるだけで、二酸化炭素の排出量を45パーセント削減することが可能です。したがって成長軸の1つ目として、天然ガス、LNGは今後10年間、20年間、あるいはそれ以上にわたって非常に重要な燃料、エネルギー源であり続けると考えています。
2つ目は、CCS、水素とスライドに記載しています。再生可能エネルギーやエネルギーの低炭素化について、さまざまな取り組みを進めていく必要があります。これは、どれか1つだけを実施すればよいわけではなく、すべての施策を講じて2050年のカーボンニュートラルを目指さなければならないということだと思います。
3つ目としては、天然ガスや石油の需要が、今後10年から20年の間に一定程度電気へと置き換わっていくだろうと考えられます。
「天然ガス/LNGの拡大」、「CCS/水素をコアとした低炭素化ソリューションの提供」、「電力事業への参入」といった取り組みを通じて、今後10年間で成長していきたいと考えています。具体的な内容についてはこの後ご説明します。
グローバルでのLNG需要は今後アジアが中心となる

MC/司会者:まずは、成長軸1「天然ガス/LNG事業の拡大」について教えてください。
滝本:スライドのグラフは、LNGのこれまでの需要と需要予測を示しています。2022年のLNGの需要は約4億トンでした。LNGは今後ますます重要になると考えられており、2040年までに需要は約6億トンから7億トンに増加すると予測されています。
特にアジア・太平洋地域の需要が大きく拡大すると見込まれており、LNGの重要性について強調したいと思います。
アバディLNGプロジェクト(インドネシア)

MC/司会者:世界、特にアジアでますますLNGの需要が高まっていく中で、INPEXとしては今後どのようなプロジェクトが柱になっていくのでしょうか?
滝本:次のコアプロジェクトとして、インドネシアで「アバディLNGプロジェクト」を計画しています。年間生産量は950万トンと、先ほどご紹介したイクシスLNGプロジェクトと同規模のLNG事業を展開する予定です。
今年8月から基本設計作業フェーズに入り、2030年代初頭の生産開始を目指しています。スライドは生産施設の概念図で、イクシスとほぼ同じ規模且つプロセスでLNGを生産するプロジェクトとなります。
場所がインドネシアとオーストラリアの国境付近の非常にリモートな地域のため、開発のスピードには課題があるかもしれません。しかし、イクシスのプロジェクトで培ったオペレーターとしての経験を活かし、目標達成を目指していきます。
エネルギーの低炭素化へ:水素事業

MC/司会者:成長軸2「CCS/水素をコアとした低炭素化ソリューションの提供」について、まずは水素事業について教えてください。
滝本:スライドの写真は、11月に新潟県柏崎市に完成した柏崎水素パークという実証プラントです。水素やアンモニアが環境に優しいエネルギーということは、ご存じの方もいるかと思います。
MC/司会者:使用時にCO2が出ないため、環境に優しいということですね。
滝本:おっしゃるとおりです。水素やアンモニアは、燃やしてもまったく二酸化炭素が出ず、水だけが生成されます。非常にクリーンなエネルギーとして期待されていますが、まだコストが高いのが現状です。そこで、柏崎にて年間700トンの水素を生産する実証プラントを、政府の一部補助を受けながら当社が始めました。
MC/司会者:大規模ですね。
滝本:実証プラントとしては世界的にもかなり大規模で、日本国内では初めてのものです。当社の天然ガスを利用し、その生産過程で発生する二酸化炭素を当社の持っている枯渇したガス田に埋めることで、二酸化炭素をまったく排出しない水素を生産する実証プラントとなります。
柏崎水素パーク

滝本:スライドは、今月11月に主要な政府関係者や地元関係者を招いて開所式を行った際の写真です。今後、ここで得られる知見を活用して、INPEXは水素事業にも挑戦していきたいと考えています。
MC/司会者:天然ガスを用いて、水素やアンモニアの製造が行われるのですね。
滝本:天然ガスから生成される水素はブルー水素と呼ばれます。ブルー水素と呼ぶためには、生成過程で排出される二酸化炭素を地中に埋め、CO2を閉じ込める必要があります。そのような技術を「CCS」又は「CCUS」と呼びます。
INPEX「ならでは」の強みを活かした、電力事業とその周辺分野での事業を展開

MC/司会者:成長軸3「INPEX『ならでは』の強みを活かしたエネルギー・資源分野での新たな挑戦」についてです。
滝本:インドネシアで当社が参入している地熱発電事業についてです。スライドはインドネシアのムアララボ地熱発電所で、右側に白い煙のようなものが見えています。
MC/司会者:温泉のようにもくもくとしていますね。
滝本:まさに温泉なのです。これは何かを燃やして発生する煙ではなく、湯気です。そのため、地熱発電は二酸化炭素を排出しないクリーンな発電事業といえると思います。
最初にお話ししたように、天然ガスや石油の需要は一定程度、これから電力へと置き換わるだろうと予測しています。エネルギーを開発する当社の責任として、安定した電力供給を目指す事業に取り組むことが、この成長軸3の意義です。
電力事業にはすでにさまざまなプレイヤーがいます。そのような中で、井戸を掘って高温の蒸気を地下から取り出す当社ならではの技術を活用した、当社らしい再生可能エネルギー事業としての地熱発電事業です。
MC/司会者:これまで地面を掘って天然ガスを取り出すという事業を行ってきており、それを活かして電力事業にも発展させていくということですね。
滝本:井戸を掘ることで地下水が出てきますが、その地下水にはリチウムやヨウ素といった希少金属が含まれています。それらを取り出して、蓄電池に活用する事業にも挑戦していきたいと考えています。これもINPEXならではの強みを活かした電力事業になると思います。
MC/司会者:非常に幅広く展開されるのですね。
イクシス生産開始以降、生産量、1株当たり配当金ともに増加しています

MC/司会者:これまでのINPEXの成長について振り返ってみます。
滝本:2018年から段階的に配当を増やしており、今年からは3年間の累進配当として、1株当たり100円の配当を計画しています。
生産量については、日量相当42万4,000バレルから63万1,000バレルまで増加しています。
また、2019年当時は個人株主数が約3万人、2.3パーセント程度でしたが、今年6月末時点ではその割合が15.7パーセントとなり、53万人を超える個人投資家のみなさまに当社を支援していただいている状況です。引き続き、当社の事業を十分にご理解いただければ幸いです。
MC/司会者:私も学ぶことが多く、未来にとてもわくわくした気持ちになりました。
地球の力で未来へ挑む

滝本:スライドは、INPEX Visionの公表にあわせてコーポレートブランディングを行い、今年2月にブランドメッセージとブランドステートメントを発表したものです。
ブランドメッセージは「地球の力で未来へ挑む」、ブランドステートメントは「私たちはエネルギーを探し、届け続ける。今日も明日もこれからも、ずっと。」です。どちらも非常に気に入っています。
当社は日本最大のエネルギー開発企業で、地球の力をお借りしながら、日本や東南アジアのみなさまを中心に、エネルギーの安定供給とエネルギーの安全保障に貢献している会社です。
滝本氏よりご挨拶
滝本:INPEXの事業についてご理解いただけたらありがたいと思います。当社は今後もエネルギートランスフォーメーションのパイオニアとして、天然ガスや石油に加え、これから活発になるであろうクリーンエネルギーをみなさまにお届けする会社として貢献していきたいと考えています。
あらゆるステークホルダーの方々とのパートナーシップを通じて、さらなる企業価値の向上に努めていきます。今後ともご支援いただけるとありがたいです。ご視聴いただきありがとうございました。
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