1. ウェルビーイングシティ構想と分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の推進
ファーストコーポレーション<1430>が注力していく領域として最初に取り上げたいのが「ウェルビーイングシティ構想」である。この構想に基づいた分譲マンション自社ブランド「CANVAS」を立ち上げ、現在、第1号案件の「CANVAS南大沢」の第1期分譲が行われている最中だ。
「CANVAS」は人生100年時代に対応した、「住む」という目的だけに留まらない、「豊かな暮らしを実現するための様々なサービスを提供し続けることで、持続的かつ多面的に満たされる暮らしを提供し、持続可能な社会の構築に貢献する」というコンセプトに基づいている。こうした物件は従来、高齢者のみを対象にしたシニアマンションなどが中心だったが、「CANVAS」では全世代を対象にしている点が最大の特徴となっている。コロナ禍の影響により、多様な働き方を実現したいと考える単身世帯、若い家族世帯など、様々なニーズが存在する現在において、外部の機関と連携しながらニーズを満たす多様なサービスを提供していく全世代型のマンションは、今後のマンション形態のメインストリームになる可能性が十分にあると弊社は考えている。
2. アクティブシニア向けマンション
将来的な成長を考えるうえで注目できるのが、健康な高齢者向けのマンション、いわゆるアクティブシニア向けのマンションだ。高齢者向けのマンションというと、多くの業者が介護付きのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)で展開しており、アクティブシニア向けを手掛ける業者は少ないが、同社はこの分野で先行している。
アクティブシニア向けは、そもそも通勤仕様ではないため、駅前立地でなくて良い。さらに、温泉やジムなど付帯設備の建設で単価がアップできるなど、利益面でも期待できる案件だ。東京都稲城市のダイヤモンドライフ若葉台も、アクティブシニア層を主要ターゲットとしたマンションとして共同事業で行った案件であり、分譲は好評を博している。
大型案件のなかには、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。2023年5月期末時点においても、複数の案件が施工・分譲されている状況である。共同事業は効率的に収益をあげることが可能なことから、同社の今後の業績に安定した売上と利益をもたらすことが期待できる。今後もデベロッパーと組む案件が多くなっていくものと見られ、同社業績のさらなる拡大に期待がかかる。
顧客となる取引先も増加している。2020年5月期は31社だったのが、2021年5月期には三菱地所レジデンス(株)、野村不動産(株)、2022年5月期には(株)フージャースコーポレーションが加わり34社、2023年5月期には、先述のとおり大和ハウス工業、ナイスとの取り引きを開始し、取り引きは36社まで拡大している。このほか、具体的な取引先としては、(株)アーネストワン、東京建物<8804>、中央日本土地建物(株)、日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急阪神不動産(株)、(株)中央住宅といった大手の著名デベロッパーが多く名を連ねている。今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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