2016年相場は新興・資源国にとって前途多難な一年に?
声明内容では、「(懸念されている)インフレ率は中期的に2%へ回帰することを確信」し、「(今後も)緩やかな利上げのみ正当化される状況」であり、「今後も金融政策が緩和的であり続ける」と表現し、「FRB史上最も緩和的な引き締め」(ロイター)との印象をマーケットに与える結果に。
今回の緩和的引き締めにより、預金者には僅かな金利上昇の恩恵を、投資家には僅かな景気回復への自信を、そして企業や政府には僅かのインフレ期待を与えたという、まさに「三方よし」の格好となり、株式・為替・金利マーケットは概ね好意的なファースト・リアクションに。
次のテーマは早速「利上げ回数」へと移り、FRBメンバーによるドット・プロットは9月と変わらず来年末:1.375%となっていることから逆算すると、年間4回の利上げというのが2016年の“利上げロードマップ”草稿になり得そう。
目先のポイントは来年3月(15・16日)のFOMC会合において2回目の利上げができるかどうかという点ですが、その利上げタイミングで重要なのは外部環境の動向。特に新興・資源国にとっては今回の利上げが“パンドラの箱”を開けた形となり、昨今の原油安によるボディー・ブローも相俟って、いつ本格的な副作用を起こしても不思議ではない状況であるということを忘れるべきではありません。
特に、中国・ロシア・ブラジルあたりの“Xデー”を心配する向きも多く、原油安に苦しむサウジアラビアやベネズエラといった産油国についても常に警戒しておく必要が。
来る2016年相場は、今回の利上げがもたらす新興・資源国の副作用について今のうちから留意すべきなのかもしれません。