好業績銘柄にも関わらず、指標割安で「評価余地も大」
■今回の注目銘柄■
・岩崎電気(6924)
照明灯の総合メーカーである岩崎電気(6924)を、TPP(環太平洋経済連携協定)・東京五輪という2大テーマ性を持つ好業績銘柄として、注目したい。
TPPが大筋合意となり、国内対策の具体化が今後徐々に明らかになっていく見通しとなった。なかでも、「農業対策への注力」は対策の目玉となる公算があり、関連株への注目度は株式市場でも高まるなか、同社は「植物工場向けLED照明」を展開している事で知られており、今後はその優位性が評価されるのではないだろうか。
植物工場には、高温や低温といった異常気象や、長雨・台風など災害の影響を受けずに生産が可能な他、栽培工程の自動化(ロボット化)とも相性が良いなど、多くのメリットから不作リスクが少なく、安定供給が可能。
消費者にとっては直近でも影響がみられる野菜価格高騰や、品薄リスクといった問題が解消され、農業の効率化をストレートに連想できることから、今回のTPP大筋合意で「農業の効率化」というキャッチフレーズが前面に出てくるようであれば、植物工場の優位性イメージも一段と高まることになろだろう。
そして、東京五輪関連の切り口は言うまでもなく、スタジアムや競技場への照明にLEDが採用されるという見通しだ。
9月12日付の日本経済新聞朝刊では、同社・渡辺文矢社長の「新しい五輪会場の9割はLED照明になる」とのコメントが掲載されている。そのなかで、2017年に最大600人体制の研究開発拠点を開設する方針が語られており、東京五輪に向けての意気込みが強く感じられよう。
多くのスタジアムや競技場の照明は長寿命のLEDへ切り替わっており、照明分野で国内売上高のLED比率はおよそ7割にも達する勢いのある同社業績面への寄与度は大きい。
また、同社株の魅力は業績面でも挙げられる。10月に入り、今後は多くの業績修正が発表される可能性が高く、中国経済減速や資源価格下落を背景にリスクを意識させる日柄になる事が予想されるが、同社は8月に16年3月期業績見通しの上方修正を発表し、連結純利益は過去最高の見通しとリスクは非常に小さい。
2大のテーマ性を持ち、好業績にも関わらず、時価は「PER8倍台、PBR0.7倍台」という割安な水準にあり、日足の一目均衡表ではようやく雲(抵抗帯)を上に抜けてきたばかりのタイミング。今後の動向に注目したい。
本村