~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~
7月28日(火)に年初来安値を付けた(6301)コマツが、決算発表を受けて買い直されました。
29日に4~6月期決算を発表。第1四半期の営業利益が▲21.7%と落ち込みましたが、通期見通しは据え置いたことで、先行きに対する警戒が和らぎました。
また、10日続落していた(5401)新日鐵住金が、30日(木)にようやく反発。上げ幅を6%台に拡大しました。
新日鐵住金は29日に、これまで開示していなかった通期見通しを発表。16年3月期の連結経常利益が、▲18.1%の3700億円との見通しを示しましたが、思ったほど悪くないとして一転して買戻す動きになりました。
コマツ、新日鐵住金は市場では「中国関連」の代表格と位置付けられています。中国の景気減速が鮮明になっていることから、株価は決算発表の前に先行して下落していましたが、決算後にひとまず下げ止まりが見られています。
■中国関連は「設備投資株」が決算後に売られる
一方、同じ中国関連株でも、工作機械や電子部品など設備投資株は業績の発表後に株価が急落しました。
16年3月期の業績見通しを引き下げたことで、(6954)ファナックが29日に10.6%安と急落。翌日も株価の戻りは鈍く、0.2%の小幅な反発にとどまりました。
また、電子部品大手の(6981)村田製作所や、中小型液晶パネル(6740)ジャパンディスプレイが値を落としました。ファナックの下方修正を期に、中国のスマートフォンメーカーの設備投資需要がピークアウトしたと受け止められ、スマートフォン関連株に売りが出ています。
さて、中国国家統計局が7月15日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)の伸び率は、物価変動の影響を除く実施ペースで、「7.0%」と前四半期から横ばいでした。
民間予想では7%を下回ることが予想されていましたが、政府目標である「7%前後」の成長を堅持した形です。ただ、そこはメンツを重んじる中国です。中国人の国民性を考慮する必要があります。
6月中旬から株式市場が急落しており、株安を食い止めるためにデータを操作したのでは?との疑念も一部では持たれており、“当局発表のGDP”は実態とかけ離れているとみたほうが良いのかもしれません。
■コモディティ市場には中国の景気が如実に表れる
中国株だけではなく、コモディティ市場にも変化が見られています。中国の景気減速を織り込む形で、ニューヨーク市場で27日に銅が6年ぶりの安値を付けています。
銅は自動車用の配線や送電線用途などに使われるため、実需によって価格が変動します。中国は世界の銅の半分を消費する世界最大の消費国ですので、中国の景気を反映しやすい商品なのです。
中国経済の実態をより正確に掴むには、当局発表のデータよりむしろ、銅など非鉄市況の動きを注視する必要がありそうです。
小野山 功